新しく造成された住宅地にマイホームを建ててから、10年余りがたちました。子育て世代が多い地域で、わが家より1年遅れて引っ越してきた隣人は、50代の夫婦と旦那さんの母親であるおばあさんの3人家族。夫婦はとても気さくで親切な人たちなのですが、そのおばあさんの一線を越えた問題行動に長年悩まされています。近所でも要注意人物とされている隣人の困りごとについてお話しします。

ゴミ袋を開けて分別違反の犯人捜し





そのおばあさんに違和感を覚えたのは、隣人が引っ越してきて間もないころのことです。隣人の家の横にはゴミの集積所があり、周辺約30世帯のゴミが出されます。ゴミ収集日の朝には、おばあさんが朝早くから集積所の傍らに立ってご近所さんに声を掛けていて、収集車がゴミを持っていった後も集積所を掃いていつも清潔にしておいてくれるので、とても助かっていました。

しかしある日、分別のルール違反で収集されなかったゴミが残った日がありました。新しく引っ越してくる人が増えていた時期で、この地域のゴミ出しルールにまだなじんでいない人がいたようです。集積所の管理をライフワークのようにしていたおばあさんも、文句が絶えませんでした。

そんなある日、おばあさんは分別違反で残されたゴミ袋を勝手に開け、犯人捜しを始めたのです。あるときは女性物の13号サイズの服が大量に出てきたと言って大柄な女性のいる家を怪しがり、あるときは子どもの氏名が書かれた学校のテストが出てきたと言ってその家に乗り込んでいったと聞きました。

プライバシーが重んじられる現代に、時代遅れの方法で正義感を振りかざすおばあさんに、近所の主婦たちは何も言えないまま戦々恐々としていました。

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空地に伸びたバラの枝を勝手に伐採

最初は人づてに聞くだけだったトラブルも、やがて私も当事者として関わることになりました。

わが家と隣人宅は地下に雨水貯水槽がある小さな空き地を隔てて並んでおり、所有地自体は接していません。私は空き地側の壁面につるバラを植えていて、初夏には若枝が一気に伸びます。それが空地に垂れ始めたので、週末に枝の処理をしようと考えていました。

ところが、週末に見てみると、あったはずの枝がすべて伐採されていたのです。若枝には翌年花がたくさん咲くので、バラ栽培を趣味にしていた私はがっかりしました。

その空き地に入ってくるのは、ボール遊びをする近所の子どもたちと、落ち葉の掃き掃除をする私か隣のおばあさんくらい。私は嫌な予感がしました。週明けの燃えるゴミの日、わが家のものとおぼしきバラの枝が短く切って束ねられ、ゴミに出されていたのです。後日近所のママ友から、おばあさんが空地から枝を運んでいるのを見たと聞きました。予感的中でした。

隣人の所有地に入ってしまった枝ならまだしも、一時的に空き地に垂れた他人の家の庭木を勝手に切るのは、たしか器物損壊にあたるはず……。腹が立ちましたが、円滑な近所付き合いを優先したい私は、それを隣人に伝えることはできませんでした。