何度すすっても食べ飽きない豚骨の真髄を感じる「はじまり」800円 |食楽web|

●九州・熊本市でいま最注目のラーメン店『ライフ・イズ・ジャーニー』の魅力をご紹介します。

「人生とは旅である」。

 そんな一風変わったネーミングのラーメン店が熊本市にあります。場所は市中心部の「下通り」と呼ばれる繁華街の奥深く。思わず見落としてしまうくらいの細暗い路地を入った、知る人ぞ知るディープゾーン。ここに、ラーメン好きならわざわざ遠くから訪れる価値のある店、『ライフ・イズ・ジャーニー』(以下、ジャーニー)があります。


一度訪れると味も名前も忘れられない『ライフ・イズ・ジャーニー』

 すでに県外からのファンも駆けつけるジャーニーは今年で創業8年目。元ボクサーという肩書きを持つ店主の斎藤康貴さんは鹿児島県種子島出身。もとは『一風堂』で修業したという腕っぷしの強い拉麺男が手掛けるそのラーメンを食べようとするお客で、店の外にはいつも行列が絶えません。


ジャーニーがあるのは地元の人でも思わず見逃してしまうほどの渋い路地

 基本のメニューはシンプルな豚骨ラーメン「はじまり」と、熊本ラーメンの特長である特製の“マー油”(焦がしニンニク油)で仕上げた熊本豚骨「ここから」の2種。

 どちらもベースは国産の豚骨を日々10時間以上かけて丁寧かつ真っ当に仕込まれた白濁スープ。奥深い味わいを醸し出すそのスープは豚骨特有の臭みがなく、すっきりとした品のある仕上がり。女性の常連客が多いのも頷ける味わいです。

 すする度に「うん、うん」と頷くしかない本格豚骨スープの髄が詰まった「はじまり」を選ぶも良し、焦がしニンニクのスモーキーなパンチを味わうべく「ここから」を選ぶも良し。どちらもまったく甲乙つけ難い名杯です。


2種類のマー油とニンニクチップが入った『ここから』900円

 そんなスープに浮かぶストレートの細麺はいずれも自家製。以前は業者に発注していたものの、斎藤さんは次第にその出来に満足いかなくなり、ついに自家製麺機を導入。毎朝店内で仕込まれるそのフレッシュな麺は絶妙な歯応えと喉ごし、そしてふわりと小麦の香りをまとっており、スープとの絡みも抜群。

「季節や日によって温度や湿度が変わるので、その都度微妙な調節が必要になります。だからこそ麺作りは難しいけれど、奥深くてやりがいがある。今後はつけ麺などいろんなタイプにも挑戦していきたいです」と斎藤さんは笑顔で語ります。


斎藤さんは修業元での経験や人脈を活かしてゆくゆくは世界進出も考えている

 ジャーニーで見逃せないのが、季節によって替わる限定の裏メニュー。通常のラーメンに加えて「鶏塩」や「担々麺」などがその都度加わります。特筆すべきは斎藤さんのラーメンスキルの高さ。過去には二郎系まで難なくインスパイアしてはマニアを唸らせるなど、今では裏メニューの登場を待ち侘びるファンも多く存在するほど。ジャーニーのラーメン道の奥深さを物語っています。


太麺の自家製は多いものの、低加水の細麺は難易度が高いためになかなか珍しい

 それに加えて、実は斎藤さんは有機栽培のトマト農家の顔も持っています。特に夏場は収穫のため時には店を休むこともありますが、ゆくゆくは自分で育てたトマトを使ったオリジナルラーメンをメニューに加えようと企み中だそう。

 他にも店で出したい新たな中華メニューの開発やオリジナルのクラフトビール造り、はたまたみかん農家への挑戦……などなど、聞けば新たなる旅の入り口がそこかしこに広がっている模様。“ライフ・イズ・ジャーニー”の看板は伊達じゃありません。


夜ジャーニーで楽しみたい種子島の秘酒『南泉』。ネイティヴで奥深い味わい

「やりたいことはまだまだ山ほどあるんです。でもそれには人が足りません。いつでもスタッフ募集しているので、やる気のある方、共にこの旅に付き合ってくれる方、いつでもお待ちしてます」と、店主という名の旅人は力強く語るのでした。


夏場は特にトマトの収穫期のため臨時休業も多いので注意[食楽web]

●SHOP INFO
店名:ライフ・イズ・ジャーニー
住:熊本県熊本市中央区新市街5−2
営:11:30〜14:00、18:00〜(※麺が売切れ次第終了)
休:日・祝 ※定休日以外も臨休あり

(撮影・文◎中村 慎)