確定申告を怠った場合の「深刻なペナルティ」

Aさんのように、家賃収入があるにも関わらず、確定申告を行わなかった場合、どのようなペナルティがあるのでしょうか?

この場合、まず無申告だった不動産所得について、所得税や住民税等が発生します。ここに、きちんと確定申告をしていればかからなかったはずの「無申告加算税」が発生します。

この無申告加算税は15%~20%ですが、悪質であると判断された場合には40%の「重加算税」が課されることもあります。さらに、本来払う時期から遅れて支払うことにより、年2.4%~8.7%の「延滞税」がかかります。

「いやいや、家賃収入があるとはいえ大金ではないし、目立たないようにやっていれば税務署にバレることはないのでは?」と考える人もいるかもしれません。

しかし、税務署にとって、無申告者の摘発は重点項目です。自主的に適正納税している他の納税者に対して不公平となるため、厳格に対応しています。

無申告の場合、賃借人が法人であれば年に1度提出する「法定調書」で明らかになるほか、不動産業者に管理などを依頼している場合、その不動産業者に調査が入ることもあります。

また、羽振りのよさを不審に思った人物からの“タレコミ”などから発覚する場合もあります。

このように、さまざまなルートから無申告は明らかになってしまいます。無申告のままでいるよりも、バレた場合の重いペナルティを考えると、適正な確定申告を行ったほうがよいでしょう。

税務署の「お尋ね」には正直に回答を

不動産購入など、大きな金額が動く場合などは、税務署からの「お尋ね」が届く場合があります。今回見てきたように、これをスルーしていると税務調査の対象となり、所得税や贈与税などの申告漏れを指摘されかねません。

また、賃貸物件の経営という場合、適正な帳簿記帳をし、青色申告で確定申告を行えば、税務署のためだけというだけでなく、自身の経営に役立ちます。

建物の大規模修繕などで銀行からの借入が必要になった場合にも、所得税の確定申告などの税務書類は必須書類となるため、「黙っていればバレないだろう」といった安易な考えはもたず、正直に申告することをおすすめします。

宮路 幸人

多賀谷会計事務所

税理士/CFP