私は35歳のシングルマザーで、小学3年生の娘と2人暮らしです。子育ても助けてくれる兄とレストラン経営をしながら、仕事と育児を両立させています。そんなある日、とある言動で有名なママ友が来店してきたときのお話です。

ドン引きのママ友

来店したのは、娘の同級生の一家。そのママは、とにかくケチで有名なのです。スーパーやレストランで働いているママ友を見つけては『原価はこれくらいでしょ、それなら原価分しか払わない!』と値切るなど、ドン引きの言動をしていると聞きました。

その家族のせいでサービス業のママたちは、遠い店舗に異動するなど大変な思いをしているというウワサまであります。

私がレストランを共同経営していることは知られていなかったはずですが、どこから聞きつけたのでしょう……。席に着いた途端、「店長は私のママ友。呼んできてくれる?」と名指ししてきたのです。

このままでは、恐れていたことが起きそう……と、嫌な予感がしました。

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案の定…

私がしぶしぶ彼女たちのテーブルに向かうと、危惧していた通りこんなふうに言ってきました。

「この一番お高いコースを4人分。1人あたり4000円って書いてあるけど、原価はもっと安いでしょ? ぼったくりよね~。たかが数百円の原価で何倍も回収するなんて。でも私はだまされない、原価しか払わないから!」

ここで私はとあることに気が付きました。そんなに原価にこだわるなら、とことんそうしてもらおうじゃないの! と。

「わかりました。原価をきちんとお支払いいただけるなら、いくらでもどうぞ」

彼女は、高級コースを値切れたと思って満足したのか、「原価きっかりなら払うってば!」と豪語するので、私も笑顔で約束したのです。

「それでは、当店のスペシャル料理をお楽しみください」

それから2時間後……。いよいよこのママ友一家のお会計の瞬間です。私は自らレジに立ちました。