お客は、注文した肉がすぐ出てこないと怒る

――焼肉は、材料を出せば、お客が自由に焼いて食べてくれるから、店側としては調理場で料理するわけでもなく、比較的ラクなビジネスに見えますが。

飯島大介さん たしかに、肉などの原材料を保管する倉庫を確保しておけば、あとは店を回すオペレーションの問題だけですから、逆に言うと、異業種からも参入しやすいということになります。

しかし、お客は「カルビの追加だ」「ロースだ」「ハラミだ」「レバーも頼む」と、次々に注文します。店が混んできて少しでも持ってくるのが遅れると、お客の不満がたまります。たとえ、大手の店でも「もう、この店には来ない」ということになり、厳しい業界でもあります。

――なるほど。ところで、少子高齢化が進み、客層が変化したということは考えられませんか。個人的な話になりますが、私は70歳代。50歳代までは焼肉をモリモリ食べるのが大好きでしたが、今は脂っこいものは受け付けなくなりました。

飯島大介さん 焼肉店は、今でも人気外食店ランキングの上位に君臨するなど、一定の需要があります。ただ、単価が高いため、めでたい出来事があった「ハレの日」のお祝いに使われることが多いです。

コロナ禍では、ほかの外食に行けなかったので、おおいに使われましたが、現在は選択肢が広がっています。お客が分散してしまっている点も痛手になっています。

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地味だが、もう一度来たくなる店の雰囲気作りが決め手

――今後、焼肉店の将来はどうなるでしょうか。勝ち残るところと、勝ち残れないところの二極化が進むのでしょうか。どんな工夫をすれば生き残れるでしょうか。

飯島大介さん 二極化が進むと思いますが、どんな工夫をすれば生き残れるか、正直、難しいです。焼肉店は、やれることはすべてやり尽くしている業界です。

お客に食材を出して目の前で焼かせるだけという、非常にシンプルなビジネスだからこそ、どこかが「いい工夫」をすると、すぐに真似されてしまいます。

「焼肉ライク」が始めた「ひとり焼肉」だって、現在はどこでもやっており、その店独自のオリジナルを貫くのが難しい状態です。

ただ、さきほど述べたように、大手焼肉店でさえ注文した品がすぐに出てこないと、「もう二度と来ない!」という側面があります。ですから、非常に地味な努力ですが、もう一度来たくなるような店の雰囲気作りが決め手になるような気がします。

(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)