日本では季節の変化を敏感に感じ取り、年中行事や習わしに添った植物を暮らしに取り入れてきました。
「二十四節気の花あしらい」では難しいルールにとらわれず、気軽に季節を感じられる花を楽しむテクニックを第一園芸のトップデザイナー、新井光史がご紹介いたします。
2024年7月6日から二十四節気は小暑に
小暑(しょうしょ)とは、本格的な夏のはじまりを表した節気です。暑中見舞いを出すのもこのころからで、次の節気の大暑(たいしょ)の最終日までが「暑中」にあたります。
今回は気温が高い時期でも美しい花を楽しめる、トルコギキョウを使った花あしらいをご紹介します。
今では一年中出回り、さまざまな色や咲き方があるトルコギキョウですが、1970年代には原種に近い紫の一重咲きが主流でした。その後、日本で品種改良が進み、ブーケやアレンジメントに欠かせない花となりました。
また、トルコギキョウにはいろいろな名前があり「トルコキキョウ」「リシアンサス」「ユーストマ」とも呼ばれています。
ちなみに、トルコギキョウ(トルコキキョウ)の名前は日本独自のもので、実はトルコ原産でも、キキョウの仲間でもありません。名前の由来はターバンを巻いたような花の形や、トルコ石の色似ている、または原種がキキョウに似ているからなど所説あります。
花をたっぷり使って贅沢に
バラに勝るとも劣らない華やかさがあるトルコギキョウを贅沢にたっぷり使った花あしらいです。
とてもたくさんの花が入っているように見えますが、使用したのはブラウンの「アンバーダブルショコラ」、サーモンピンクの「小夏オレンジ」、紫の「アンバーダブルパープル」、それぞれ5本程度です。
トルコギキョウは決して安い花ではありませんが、1本に3、4輪花が付いている上にとても日持ちがするので、実はコストパフォーマンスがよい花です。
いろいろな花との相性がよいので、先ほど生けたものに「チューリップ咲きのクレマチス」「ブラックベリー」「半夏生」をプラスしました。
形の違う花や実ものが入ると複雑さが増して、より見ごたえがでます。
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色の美しさを楽しむ
トルコギキョウにはさまざまな色がありますが、複雑なフリルの花びらとくすんだ色はこの花ならではの魅力。そんな色の美しさを楽しむために、ここではブラウンと紫の花を組み合わせて、大人っぽい花あしらいにしましたが、カラーバリエーションが豊富な花ですので、濃淡や反対色など洋服をコーディネートするように、色合わせを楽しんでみてください。
紫の花だけにしてみると、とてもシックな仕上がりに。お好きな色を1色だけ、というのも素敵ですね。(黄緑色の花はつぼみです)
ブラウンのトルコギキョウには姫水木とブラックベリーを組み合わせました。
茶系の花は組み合わせが少しむずかしく感じるかもしれませんが、合わせる植物の色のトーンを合わせると、お互いを引き立てあう花あしらいになります。
ここまでに使用した花器は縦横18cm程度の寸胴型で、シリンダーとも呼ばれるものです。こうしたシンプルな花器は花のサイズやボリューム感を問わずに使いまわせるので、ひとつ持っているととても便利なアイテムです。