浴室は高齢者にとっては思わぬ危険が潜んでいる場所であり、高齢者の浴室での事故が増えています。また、入浴は介護者の負担も大きく、介護用にお風呂のリフォームを検討されている方も多いかと思います。

そこで今回は、介護用浴室リフォームの必要性や内容、補助金制度などについて解説します。高齢者も安心して快適なバスタイムが過ごせるよう、ぜひ参考にしてください。

1.介護用にお風呂・浴室のリフォームをすべき理由

お風呂を介護用にリフォームすることは介護を受ける人のためだけではなく、介護をする人にもメリットがあります。

どのようなメリットがあるのか、それぞれ解説します。

1-1.介護する人の負担を軽減するため

入浴介助は介護する人にとって身体的負担が大きく、時間もかかります。介護度が低く自分である程度動ける方であれば、お風呂を介護用にリフォームすることにより、ひとりでの入浴が可能になるかもしれません。

つきっきりでお世話をすることがなくなれば、介護者の負担はぐっと軽減されるでしょう。時々様子を見に行ったり声掛けをしたりしながら、空いた時間を家事や自分のために使えます。また、被介護者にとっても、自分でできる範囲で動くことが運動機能の維持に役立ちます。

1-2.介護される人のケガ防止のため

厚生労働省の「人口動態調査」によると、2022(令和4)年に発生した浴槽内での溺死及び溺水は6,656件で、94%にあたる6,286件は65歳以上の高齢者でした。交通事故の総数3,541件に比べ、浴室での事故ははるかに多い件数です。

どれほど健康に気を配っていても身体機能は加齢とともに少しずつ衰え、ちょっとした段差でつまづいたり、バランスを崩して転倒したりすることが多くなります。滑りやすい浴室で立ったり座ったり、足をあげて浴槽をまたぐことは、高齢者にとってリスクを伴う行為といえるでしょう。安全かつ快適にお風呂を楽しめるよう、早めに介護リフォームをしておくと安心です。

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2.介護用お風呂・浴室リフォームの内容と費用目安

手すりを付ける、段差をなくす、滑りにくい床に変えるなど、部分的なリフォームでも介護者の負担を減らし、被介護者が安全に入浴できる浴室になります。。ここでは、介護に役立つ設備とリフォーム内容、導入にかかる費用相場を紹介します。

2-1.手すりの取付

浴室内で移動するときや浴槽に入るとき、手すりがあると安心です。浴室の手入り口、洗い場、浴槽のふち近くや浴槽内など、被介護者がつかみやすい場所を確認して設置しましょう。

設置費用の相場は3~5万円ほどですが、手すりの形状や数によって変動します。

2-2.段差の解消

在来工法の古い浴室では、出入り口に10cm前後の段差があるケースが少なくありません。つまずいて転倒するおそれがあるため、できるだけ足元をフラットにするようにしましょう。

段差解消工事の相場は5~7万円ほどですが、できればバリアフリーリフォームを済ませておくと安心です。浴室の広さやユニットバスのグレード、下地の状態にもよりますが、在来工法の浴室からバリアフリー対応ユニットバスへのリフォーム費用は80~150万円ほどが目安になります。

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2-3.床材の張り替え

タイルは水に濡れると滑りやすくなり、転倒の危険性が高まります。さらに、硬いため、転んだときに大ケガにつながる可能性も。

転倒事故を防ぐために、樹脂などの滑りにくく柔らかい床材に張り替えることを検討してみましょう。タイルの上に介護用の浴室床シートを設置するのも一つの方法です。浴室の広さにもよりますが、床材の変更にかかる費用相場は10~15万円ほどです。

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2-4.浴槽の交換

高さのある浴槽は縁がまたぎにくく、バランスを崩して転倒するおそれがあります。理想の浴槽は、洗い場に立ったときに膝下くらいの高さです。またぐ途中で腰掛けられるスペースがあると、さらに使いやすく安心ですね。

浴槽そのものは素材や機能などで価格が異なり、相場は15~40万円ほどです。ただし、浴槽の高さを下げるために半埋め込み式で設置するには、浴室全体のリフォームが必要です。

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2-5.扉の交換

浴室内の扉付近で人が倒れた場合、内開きの扉は開けにくく救出が遅れてしまうため、外開きの扉にしておくと安心です。外開きにすると脱衣所が狭くなってしまうという場合は、折れ戸や引き戸にするのがおすすめです。

交換費用は扉のタイプやサイズによって異なり、6~20万円ほどが目安となります。

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2-6.浴室暖房乾燥機の設置

冬場の入浴で特に注意したいのがヒートショックです。ヒートショックとは、急激な温度変化によって血圧が大きく上下する症状です。めまいや立ちくらみ、ひどいときには心筋梗塞や脳卒中などを引き起こすこともあり、高齢者の浴室での事故の多くはヒートショックが原因ともいわれています。

ヒートショックの予防は家の中の温度差を少なくすること。浴室暖房乾燥機で入浴前に浴室を温めておくのも効果的です。浴室の状態や選ぶ機種によりますが、設置費用の目安は10~30万円ほどです。

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2-7.バスリフトの設置

バスリストは、座ったまま浴槽に入れるよう電動で昇降する介護器具です。介護者の負担が軽減されることはもちろん、ひとりで立ったり座ったりするのが難しい人も、バスリフトを利用すれば安心してお湯につかることができます。

設置費用の目安は20~30万円程度です。据置式と固定式があるので、浴室の広さや使いやすさを考えて選ぶようにしましょう。

2-8.通報装置の設置

浴室に通報装置があると、もしものときに迅速に外部に助けを求められます。ひもを引くタイプやボタンを押すタイプなど操作方法が分かれるため、被介護者が使いやすいものを選ぶことが大切です。費用の目安は3~5万円ほどです。

2-9.浴室スペースの拡張

入浴介助を安全に行うには、以下のとおり浴室内に十分なスペースが必要です。

浴室内寸
洗い場スペース
介護者
0.75坪 120cm×85cm 0人
1坪 160cm×85cm 1人
1.25坪 160cm×125cm 2人

浴室を拡張するとなると壁を壊す大掛かりなリフォーム工事になりますが、ユニットバスの場合は壁を壊すことなくサイズアップできる可能性があります。以下の記事で事例を紹介していますので、参考にしてください。

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