その土地でしか味わえない食や、ものづくりに出合うことは、旅における大きな楽しみのひとつ。さらに、その町に暮らす人たちが織り成すカルチャーに触れられれば、より一層、旅の思い出が心に刻まれるもの。訪れたのは日本で4番目の人口規模を誇る札幌市。でも歩いてみると、どこかのんびりとした空気が流れている。今回の案内人でレストラン『グリ』を営む小野理恵子さんにとってこの町は「いい意味で頑張りすぎず、それぞれ個人の”好き”を表現できる場所」。同じ思いを持つ人々が集う、大好きなスポットを聞いてみた。

Landscape_山々に見守られ、四季折々の花が咲く。時季によって表情が変わる『大通公園』。


札幌のランドマーク『さっぽろテレビ塔』(札幌市中央区大通西1)からは山に向かって延びる『大通公園』(中央区大通西1〜12丁目)が見える。1871(明治4)年に市街を南北に分ける火防線として造られた『大通公園』は東西に約1.5㎞。約90種、4700本の木々に囲まれ、四季折々の花が咲く。正面に見えるのは1972年の冬季オリンピック札幌大会の舞台となったスキージャンプ台がある大倉山。冬には雪をかぶった真っ白の世界となる。「札幌はなんでも揃う都市というイメージが強いかもしれませんが、町の至る所から山々が見え、『大通公園』など緑をとても近くに感じられます。春夏秋冬、どの季節もため息が出るほど美しい」と案内人の小野理恵子さん。

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Craftwork_北海道全域から木彫り熊が集結。『遊木民』で自分だけの熊を探す。


木彫り熊を中心にフクロウや植物などをモチーフにした木彫り製品を販売する『遊木民』(札幌市中央区北7条西19−1)。60年ほど前に木彫り製品の卸問屋として始まり、2016年に現在の店舗兼工房をオープン。右ページ:おなじみの鮭をくわえた熊からスキーをする熊までポージングも多様。「店内に並ぶ木彫りのなかから自分だけの”マイ熊”を探すのが楽しい」と小野さん。


八雲や旭川、阿寒湖など道内各地に伝わる木彫り熊をはじめ、全国の若い作家の作品も。シナやエンジュ、イチイ、クルミなど、素材となる樹種によって色や質感は様々。木彫り職人でもある3代目店主の川口直人さん、先代で父の拓二さんが彫った木彫り作品も販売する。