ものづくりに興味を持ってほしい

――この本に込めたメッセージというか、読者に伝えたかった事を教えていただきたいんですが。

【ヨシムラ】今回のこの本に限らず、普段から思っていることではあるんですが、この本の「はじめに」でも書いていることですけど、私たちの身の回りにあるものって、必ず誰かが考えて作ったものなんですよね。そこには、関わった人たちの知恵とか工夫とか苦労とか、いろんなストーリーがあるなと思っていて、その一端に想像を巡らしてもらえると嬉しいなと思います。

この本に載ってるものもそうですが、ここに書ききれなかったような話とかもいっぱいあります。あと、ここには載っていない、文房具以外の世の中にあるものとかも同じようにストーリーがあるので、これが一つの入り口とかきっかけとなって、そういうものに興味を持ったりとか、想像を巡らしたりしてもらえるようになるといいなと思っています。

――文房具に限らず、ものづくり全般的に、もっと子どもたちに興味を持ってほしいということですね。

【ヨシムラ】そうですね。そういうところから、「じゃあ、次は自分に何ができるんだろう」という感じで将来につながっていけたらよりいいですけどね。まあ、「自分にも何かできるんじゃないか」と思ってくれたらいいなと。

今あるものも、いきなりその状態でできたわけじゃないですよね。文具王とかもよく言っていますけど、万年筆もウォーターマンがいきなり発明したわけじゃなくて、その前に前身みたいなものを作っていた人がいて、その前には付けペンがあって、羽根ペンがあってみたいな。いきなりすごいものが突然変異で現れるっていう事も、まあなくはないんですけど、基本ほとんどなくて。目の前にあるものを見ながら、みんながちょっとずつちょっとずつ、ほんのちょっとずつ良くしていったことの積み重ねが今なので。そのつながりの中で今生きてる自分には、どんなちょっとしたプラスができるのかというように、前向きに捉えてもらえると嬉しいです。

――すごく良いメッセージが込められてるんだなっていうのを改めて思いました。この本読んで、ものづくりにも関心持ってもらって、立派な大人になってもらえるといいですね。

【ヨシムラ】まあ、日々の生活の中で、自分が便利になるように工夫してみるとかでもいいんですよ。ノートをちょっと改造してみるとか、ペン立てをちょっと改造してみるとかね、そういう方向でもいいんですけど。自分の手で何か変化を加えられるという事に気付いてほしいなという感じなんです。

――高畑さんは何かありますか?

【高畑】ヨシムラさんが伝えたい事が非常に明瞭だったので。ただ、子どもが最初に読むものなので、そこは誠意を持って、なるべく正しい知識とか、誤解のない知識を持ってもらいたいなと僕は思っています。なので、1 行書くためにいろんな本を読んで調べるみたいなことをさせてもらいました。子ども向けの本は、その時その時で多少紆余曲折がある。例えば、恐竜なんか学説が変わっちゃったりとかすることもあるけど、その時に本気で学者が考えたことが、ちゃんと反映されているっていうのは結構重要だと思います。そういう意味では、子どもに知識を与えるというのは責任もあるので、僕としては面白おかしいだけではないところに行ければなと思いました。

【ヨシムラ】積み木を積むときに、最初が歪んでるとずっと歪んじゃうからっていう感じですよね。

【高畑】そうですね。子供の時にあんまり間違った知識にならないようにというのはあるので。僕も完璧かっていうと、これから調べていったら何か見つかるかもしれないんだけど、今考えうる限りで「こうじゃないの」っていうことに関しては、なるべくしっかり調べたつもりです。

――最後に、何かメッセージがあれば。

【ヨシムラ】子ども向けの本にしていますが、参考文献がすごく充実していて。事典という性質上、1個1個のものに関してはどうしても使える紙面が限られているので、本当はもっともっと面白い話があるんだけど、本当にその一部しか入れられていないというのがあるんです。だから、ちょっと興味のあることがあったら、参考文献を載せているので、新刊書店にはないかもしれないけど、図書館に行けばあると思うので、どんどん自分で調べてもらったりすると面白いかなと思っています。

――夏休みの自由研究で取り上げてもいいぐらいですよね。

【ヨシムラ】自由研究めっちゃいいと思います。鉛筆の話だけで作れると思いますよ。

【高畑】ここにあるエピソードの周りを深掘りすると、十分自由研究ネタにはなると思います。

【ヨシムラ】興味持った方向に、いくらでも拡げようがあると思うので。それこそ、シャープペンの話から「JISって何だ?」みたいな方向に拡げてもいいし、「何でJISが必要なんだ?」みたいなことに拡げてもいいし。ぜひ、自分の興味を育ててほしいなと思います。

――この記事が載る頃は、ちょうど夏休み時期になると思うので。

【ヨシムラ】自由研究にぜひ(笑)。

【高畑】文とびを見ている方は、お父さん、お母さんだったりする方が多いと思うので、自由研究とか自主学習のネタ本として見てもらってもいいし。大人の方自身にも読んでいただいて、周りの子どもとか、いろんな人に読ませてあげることで、文房具好きが増えてくれると嬉しいなと思います。

――ヨシムラさんも同じ気持ちですか?

【ヨシムラ】営業マンの方なんかは、雑談のネタに使えると思うので、アイスブレイクとしてご活用いただければ。

――大人の方にもどうぞということですね。今日はありがとうございました。

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