深夜の機内で“痴漢”の被害に。熟睡していたら違和感を覚えて…「恐怖で声が出せませんでした」

 海外旅行など遠くの場所に行くのに欠かせない飛行機。座席が見知らぬ人と長時間隣り合わせになることがある。深夜便では機内が暗くなり、周囲から死角になることもあるため、実は“痴漢行為”が発生することも。

 例えば、国内では2013年には新千歳空港から羽田に向かう機内で、70代の男性が隣に座った女性の太ももを触ったとして暴行容疑で現行犯逮捕される事件があった。また、2017年には当時17歳のインドの女優が、飛行機に乗っている最中にわいせつ行為の被害に遭ったとSNSで訴えた。これにより、ネット上では大きな騒ぎとなり、警察が異例の捜査に乗り出す事態となった。

◆飛行機の深夜便で痴漢の被害に

「実は……私も飛行機の中で痴漢に遭ったことがあります」

 そう、怒りをあらわにするのは、都内在住の女性レナさん(仮名・28歳)だ。

 レナさんが飛行機で痴漢に遭ったのは今から6年前のこと。海外で働きたいという思いからワーキングホリデーに参加するために、フィリピンの語学学校に留学することになった。成田空港から留学先の都市まで、フィリピンの格安航空会社を利用したという。

「大学で英語を専攻していたのですが、将来的には海外で働きたかったので、TOEICのスコアを上げるために留学を決めました。フィリピンの語学学校はアメリカやヨーロッパに比べて費用が安いのが魅力なんです。当時は就職しておらず、できるだけ費用を抑えたかったので、飛行機のチケットは格安のものを予約しました」

◆熟睡していたら違和感を覚えて…

「深夜の飛行機だったせいか、機内は比較的、空いていました。私の隣は外国人の若い男性でした。LCCだったので機内食はなかったため、空港で夕食を済ませていました。そのときにお酒を少し飲んでいたのでため、席に座るとすぐに眠くなってしまったんです。恐らく、留学の緊張もあり、前日によく眠れなかったのもあったと思います」

 そのまま、眠りに落ちてしまったというレナさん。熟睡していたが、しばらくすると違和感を覚えたという。「もう到着するから客室乗務員が起こしに来たのかな?」と寝ぼけ眼のレナさんだったが、信じられない光景が目に飛び込んできたという。

◆隣に座っていた男性が最悪の行動に


「隣に座っていた男性が私の服を引っ張って胸元を覗いていたんです。驚きましたが、恐怖で声が出せませんでした。しかもその手が服の中に入ろうとしていたので、とっさに寝返りを打ち、体勢を変えました。そのときに勇気を出して、客室乗務員を呼べばよかったんですよね。でも、眠さもあって『後で言えばいいや』という気持ちで、そのときはふたたび眠りに落ちてしまいました」

 

 その後、着陸の時間が近づき、客室乗務員に起こされて目を覚ましたレナさん。そのとき、隣の男性がいなくなっていることに気がついたという。

「隣に座っていた男性は少し前の空いている席に移動していたんです。当時は今ほどルールが厳しくなく、海外の飛行機では空いている席に自由に移動できました。そのため、私が客室乗務員に言う前に、その男性は逃げるように素早く飛行機を降りていったんです。おそらく、私が乗務員に言うつもりだと気づいたのでしょうね。もはや、怒りを通り越して呆れるしかありませんでした……」

◆その場で客室乗務員に報告を

 現地の空港には語学学校のスタッフが車で迎えに来ていたため、レナさんは急いで空港を出なければならなかった。このように大半の人が飛行機を降りた後にすぐ予定があるため、被害が報告されにくい現状があるのかもしれない。

 これから夏休みなど、長期休暇で飛行機に乗る機会が増えるだろう。特にひとり旅をする人は注意が必要。また、万が一被害に遭った場合は、その場で客室乗務員に報告するのが最善策だ。

<取材・文/カワノアユミ>

―[乗り物で腹が立った話]―

【カワノアユミ】

東京都出身。20代を歌舞伎町で過ごす、元キャバ嬢ライター。現在は夜の街を取材する傍ら、キャバ嬢たちの恋愛模様を調査する。アジアの日本人キャバクラに潜入就職した著書『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)が発売中。X(旧Twitter):@ayumikawano