富山でしかつくれないウイスキーを、世界へ。未来に継承すべき北陸最古のウイスキー蒸留所「三郎丸蒸留所」の魅力と想い

北陸最古のウイスキー蒸留所として、伝統を継承しながらさまざまなイノベーションに挑戦し続けている三郎丸蒸留所。2024年6月末には三郎丸シングルモルトウイスキーシリーズの最新作となる、2020年蒸留のシ

  • 最古から今、そして未来へ
  • 最新作、シングルモルトウイスキー『三郎丸Ⅳ』
  • 富山でしかつくれないウイスキーを

最古から今、そして未来へ

1952年製造開始の、北陸最古のウイスキー蒸留所

1862年に母体となる若鶴酒造が創業し、1952年よりウイスキーの製造を開始した三郎丸蒸留所。戦後の米不足で日本酒づくりが難しい状況下でウイスキーづくりを始め、初のウイスキー商品となる『サンシャインウイスキー』を発売し始めます。しかし1953年の火災により約635坪が全焼。その後、半年もかからず工場の再建に成功した背景には、「地域の人々の誠意と努力」があったと言います。

それから時を経て、2016年。「北陸唯一の蒸留所を、そしてこれまで続いてきたウイスキー造りを途絶えさせるわけにはいかない。」との想いから老朽化した蒸留所の改修プロジェクトがスタート。クラウドファンディングとしては当時、日本で5番目の金額を達成するなど多くの人々の支援が集まり2017年に生まれ変わったという経緯を知ることでも、その人気や注目度の高さの様子が伺えます。

2024年6月末に行われた東京発表会でこれまでの経緯や展望を語る、若鶴酒造株式会社代表取締役社長・三郎丸蒸留所 マスターブレンダー&マネージャー、稲垣貴彦さん

そして現在。北陸で最古の見学のできるウイスキー蒸留所として、全国から人々が訪れる場所となっています。また敷地内には、富山の旬菜を楽しむことができる酒蔵レストラン【竈flamme炭三郎】も併設。ウイスキーの魅力を、様々な方法で「五感で楽しめるようにした」と稲垣さんは話します。

駅から徒歩60秒、という立地の良さもプラスに働き、今では海外からの旅行客も含め、年3万人弱が訪れる場所となっているそう。見学・体験ができるスペースのリニューアルも行っているそうで、今後は更に地域の活性化に繋げ、富山の観光産業推進の一助となる計画を見据えているとのことです。ウイスキーをつくることだけにとどまらない、その視野の広さが三郎丸というブランドの価値や魅力を益々底上げしているのではないでしょうか。

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最新作、シングルモルトウイスキー『三郎丸Ⅳ』

2024年6月に発売されたばかりの新作『三郎丸Ⅳ』

コンセプトに「The Ultimate Peat(ピートを極める)」を掲げているという、三郎丸のウイスキーづくり。稲垣さんが曽祖父から続くウイスキーの味に感銘を受けたというそのピートの味わいとは、“スモーキーさ”、と言うとわかりやすいでしょうか。

『三郎丸Ⅳ』に使用されている、ハイランドピート(左)とアイラピート(右)

『三郎丸Ⅳ THE EMPEROR(皇帝)』※には、スコットランド・内陸ハイランド地方のピート(以下、ハイランドピート)のみでの仕込みが行われています。ハイランドピートはアイラピートに比べ、スモーキーさがストレートで力強く、乾燥した木を燃やしたような乾いたニュアンス。木桶の導入により独自の乳酸菌による多様な発酵がおこなわれるようになり、フルーティーさとモルティさが両立しています。

※昨年発売された同三郎丸シリーズ『三郎丸Ⅲ THE EMPRESS』には、アイラ島のピート(アイラピート)を使用しています。