男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
—あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?
誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。
さて、今週の質問【Q】は?
▶前回:付き合って1ヶ月。LINE未読スルーされ、合鍵で彼の芝浦のタワマンに突入したら、意外にも…
それは本当に、突然のことだった。
結婚を視野に入れて、同棲を開始して半年。彼氏の雅也から急に別れを告げられた。
「真央…僕たち、終わりにしない?」
頭が真っ白になる。今年で34歳になる私は、まさか雅也から振られるなんて思ってもいなかった。
むしろ雅也との結婚を考えていたから同棲もしたし、絶対にこのまま結婚だと信じて疑わなかった。
ここで別れるなんて、私の人生計画が台無しだ。
「なんで…どうして?他に好きな人ができた?」
「いや、違う。それはない。でも真央との結婚が想像できなくなって」
こうして、私は交際期間1年、同棲半年の雅也から振られ、結婚の夢も砕けた。
この年で、振られるのは辛すぎる。大きなケンカもなく、甲斐甲斐しく家事もしていたしすべて順調だったはず。
それなのに、どうして振られたのだろうか…。
Q1:同棲をする前の擦り合わせが間違っていた?
雅也とは、友人の紹介で出会った。「結婚したい」と常々言っていた私に、友人が「独身でいい奴がいるよ」と紹介してくれたのが雅也だった。
出会ってすぐに意気投合し、三度目のデートで私たちは付き合うことになった。
交際するまでも順調だったし、付き合ってからも楽しく和やかな日々は続く。
「真央って結婚願望あるの?」
「あるよ!35歳になるまでに、絶対結婚したいと思ってる。雅也は?」
「僕もあるよ。そろそろ36歳になるし」
最初の頃に、お互いの結婚に対する認識もすり合わせ済みだった。
「じゃあ…結婚も視野に入れながらだね」
雅也がそう言ってくれて、本当に嬉しかったのを覚えている。
しかもタイミングまで味方してくれたのか、私が34歳になる前くらいに、ちょうど住んでいる家の更新がやってきた。
「雅也って、今の家に住んでどれくらいになる?」
雅也は四谷の1LDKに、私は三宿でひとり暮らしをしていたけれど、彼と暮らせるのか探ってみる。
「もうすぐ1年半とかかな。なんで?」
「いや、家の更新が迫っていてさ」
「真央、更新なの?」
「そうなの…。でも更新料支払うのももったいないし、雅也はどんな感じかなと思って」
更新料を支払うのが嫌だったことは大きい。それに同棲となれば、ほぼ雅也が支払ってくれるだろうから、家賃はだいぶ安く済む。
それに、「どちらかの家の更新をきっかけに同棲を始めて、そのまま結婚した…」なんて話はよく聞くから、結婚を前提にした同棲は結婚への近道だとも思った。
すると雅也はしばらく考えてから提案してきた。
「なるほどね…。どのみち今の家も狭くなってきて引っ越そうと思ったから、一緒に住む?」
この言葉を聞いた途端、自分でも目がパァッと輝いたのがわかった。
「本当に?本当にいいの?」
「うん」
同棲カップルの末路は、3パターンある。
一つは、無事にそのまま結婚すること。もう一つは、別れること。
そしてもう一つは、一緒に暮らしてしまうと男性側の結婚するメリットがなくなってきて、そのままズルズルとルームメイトのようになってしまう…という結末だ。
「雅也は、結婚する気があるんだよね?」
「もちろん」
「じゃあこの同棲の先に、結婚を決めておこう」
「そうだね」
悲しい結末にならないためにも、ちゃんとお互いに結婚の意思を確認してから私たちは一緒に暮らし始めた。
雅也と二人で選んだ部屋は、勝どきにあるタワマンの18階。54平米の1LDKで家賃25万円。二人で住む家としては、お得感のある物件だった。
私の職場は銀座、雅也の職場は大手町だったから、お互い仕事場にも近くて快適だった。
家賃は、私は5万円、雅也は20万円を負担。その分、掃除や料理などは私のほうが多くするという、至って標準的な負担割合だったし、お互い合意した。
Q2:男が同棲を開始して“無理”と思った言動は?
同棲を開始してから、特に大きなケンカもなかった。
それに加えて、私は結構良い彼女だったと思う。掃除洗濯はもちろんのこと、料理もほぼ私がしていた。
― 真央:雅也、今夜は何食べたい?
― 雅也:何でもいいよ!ありがとう。でも遅くなるかも
― 真央:わかった。気をつけて帰ってきてね♡
雅也が遅くなる日は起きて待っていたし、食事もすぐに用意できるようにしていた。友達に話したら「やり過ぎ」と怒られたけれど、私は尽くすのが好きだし、家のことをするのは好きな方だ。
「真央、無理しないでね」
「無理はしてないよ。好きでやっているだけだから」
「真央って、本当に良い奥さんになるよね」
そう言われるのも嬉しかったし、何よりも私は雅也と一緒に暮らし始めて幸せだった。
食事をしながら、他愛もない会話をする時間さえ楽しい。
「そういえば今日さ、会社の同僚と一緒にランチに行ったんだけど。ダイエット中なのにパスタ大盛り頼んでて、笑っちゃった」
「矛盾してるね(笑)」
「でしょ?あとさ、他の同僚が…」
― 同棲っていいな。
そう思っていた。それに私は雅也が遅く帰宅しても怒らなかったし、束縛なども一切していない。
例えば、土曜夜、雅也は大学時代の友達と飲んでいて深夜1時過ぎに帰宅した。
気を使って、静かにドアを開けた雅也。私はリビングにいたので、一応玄関までお迎えに行ってみる。
「おかえり、雅也」
すると雅也は急な私の登場に驚いたらしい。
「わ!ビックリした!真央まだ起きてたの?先に寝ててくれて良かったのに…」
「うん、一応。心配だったから」
「遅くなってごめんね」
「全然大丈夫だよ」
遅く帰宅しても怒らず、起きて出迎える彼女。
どう考えても、悪い点が見当たらない。
「雅也、仕事で疲れてるのに飲み会まで大変だね」
「今日は大学時代の友達だったから、逆に息抜きだよ」
「そっか、それなら良かったけど。お疲れさま、お風呂入る?」
「うん、ありがとう」
気を使っていたのは私のほうだし、うるさく怒ることもせずに雅也を自由にさせていた。
ケンカもしないし、彼が仕事で疲れて帰ってきたら美味しい食事があり、掃除も洗濯もされていて、彼だって幸せだったはず。
― いろいろやり過ぎた?どうして?
料理が激マズだったとも思えないし、彼が「別れたい」と思った理由がどこをどう探しても見つからない。
何より34歳で家も彼氏もなくなるなんて、想像を絶する辛さでひたすら嘆いている。
▶前回:付き合って1ヶ月。LINE未読スルーされ、合鍵で彼の芝浦のタワマンに突入したら、意外にも…
▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由
▶NEXT:7月14日 日曜更新予定
男が同棲を解消したかったワケは…