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●昭和30年(1955年)の創業時から現在に至るまで、メニューはシチューとグラタンのみ! 東銀座、歌舞伎座の近くにある『銀之塔』の絶品シチューとグラタンを味わいに行ってきました。
歌舞伎座からほど近く。数々の歌舞伎役者たちが贔屓にし、歌舞伎座の楽屋まで出前で提供することもあるという銀之塔。昼も夜もメニューを変えずに通し営業しているため、観劇前後に遅めのランチや早めの夕食をとる歌舞伎ファンで連日にぎわいます。冬のピーク時には150食以上出ることも。
歌舞伎座近くの路地を入ったところに佇む『銀之塔』
シチューは、ビーフ、野菜、タン、そしてミックス(ビーフとタン)の4種類。今回はその名物シチューとミニグラタン、小鉢2品がセットになった「ミニセット」の「ミックスシチューセット」(4200円)を注文しました。
こんなシチューは初めて! 3日間煮込んだ和風味
お箸でいただくミックスシチューセット
やってきました! グツグツと煮立った土鍋で提供されるシチュー。すね肉や香味野菜を加えて煮込み、丁寧にアクを取っては濾す作業を3〜4日続けて煮込んでいるため、雑味や余計な脂が落ちてまろやか。コクはあるのにギトギトしていない、やさしい「和」の味わいです。これはご飯がほしくなる〜! パンではなく白米がセットになっている理由が食べたらわかります。
出前でも熱々で届けられるように土鍋を使っているのだとか。お肉はお箸でほぐれます。アクセントとなっているシナモンの香りが効いています
お肉はトロトロにやわらかい! 大きめにカットされた甘いニンジンやほくほくしたジャガイモが入ったミックスシチュー。土鍋なので冷めずに最後までいただけます。ご飯が進む進む!
エビ入りグラタンも老若男女にやさしい味
もう一つの名物「グラタン」。パルメザンチーズがたっぷりとかけられていて香ばしく焼き上がっています
そしてもう一品。グラタンは、クリーミーなホワイトソースの中にエビとシイタケが入っていて、こちらも隠しきれない和を感じます。
「シチューもグラタンもレシピは創業当時から変わっていません」と語るのは、マネージャーの中島大輔さん。
底に入っているのがシイタケです。グラタンなのに和を感じるのはこのシイタケのおかげかも。
「実は創業者はもともとレストランだけでなく質屋などさまざまな商売を営んでいました。レストランが人気が出たので質屋を辞めて、戦前に建てられた質屋の蔵もレストランに改造。店内には蔵の鉄の扉がそのまま残されています」(中島さん)
いかにも蔵らしい重厚な扉が当時の面影を残しています。
フランスにある鴨料理の名店『トゥール・ダルジャン』を日本語に訳すと「銀の塔」。その店にあやかり、今も店頭にはカモののれんがかけられています。フランスを発祥とするシチューやグラタンでありながら、和のエッセンスを存分に取り入れた自慢の味。ぜひ味わっていただきたいと思います。
●SHOP INFO
店名:銀之塔
住:東京都中央区銀座4-13-6
TEL:03-3541-6395
営:11:30~20:00(19:30LO)
休:年末年始
(取材・文◎松みのり)