44歳のとき、虫歯の治療中に歯科医に唇の痛みについて相談したところ口内炎と診断され、抗生物質が処方されました。そして、処方された抗生物質を飲んでいたものの症状は悪化するばかり。唇だけでなく口の中全体の激痛と突然の高熱に異常を感じたため、内科を受診したところ診断結果は口内炎ではなく……。適切な治療のための病院選びの重要性を痛感した体験談を紹介します。

歯科医の診断は口内炎だったけれど…



44歳のある日、急に唇に小さな腫れを感じ、それが水疱となり、あっという間にその部分の皮がむけてヒリヒリとした激痛を感じるようになりました。私は口内炎だと思い、治療に通っていた歯科医に相談しました。歯科医は口内炎だから抗生物質を3日も飲んでいれば治るだろうと処方してくれたのです。

しかし、薬を飲んでも口内炎らしき部分はますます強い痛みとなり、口の中も激痛が。それでも抗生物質を飲めば治るだろうと飲み続けて3日目の朝、40度近い高熱に見舞われ、不安になってかかりつけの内科へ駆け込みました。

そこで初めて「口唇ヘルペス」という診断を受けました。唇だけでなく口の中にもたくさん水疱ができ、その痛みは水も飲めないほど。高熱もヘルペスが原因とのことですぐに入院もすすめられましたが、まだ中学生の息子がいたので入院だけはなんとか断り、その日は注射と処方を受けて安静に自宅療養をすることに。

内科では「こんなになるまで、どうして放っておいたの!」と開口一番言われてしまいました。経過を説明すると、歯科医から処方された抗生物質はヘルペスにまったく効果がないとのこと。それでも薬を頼って痛みを我慢してしまったことで、治療を遅らせ症状を悪化させることになってしまったのです。

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かつて体験したことのない痛みに苦しむ



内科から処方された薬を飲んだ次の日には熱は38度台に落ち、結局1週間程度は熱っぽかったと記憶しています。しかし、口の中全体の激痛は水を飲むだけでも、まるで小さなガラスの破片を飲んでいるような痛みでした。

そんなとき、ちょうど冷蔵庫にあった飲むヨーグルトを飲んでみたところ、水とは違いとろみがよかったのか痛みはまったく感じずにスムーズに飲むことができたのです。冷えていたので熱のある体にはこの上なくおいしく感じ、数日間は飲むヨーグルトだけで過ごしました。

ヘルペス自体は2週間程度で落ち着くと医師に言われており、たしかに口の中のヘルペスは抗ウイルス薬を飲んでから10日ほどで、ほとんど痛みがなくなり自然に消滅。ですが、3週間たってもまだ唇のヘルペスのかさぶたが完全に取れるまでには至りませんでした。

唇にできたヘルペスは皮がむけると、息がかかるだけで激痛が走ります。そこで以前、靴擦れした部分にラップを貼ると表皮の代わりになるという応急処置法を雑誌で読んだことがあったので、それをまねして唇にラップを乗せてみると驚くほどラクに。そんなふうにしながら痛みに耐えていました。

唇にできたヘルペスは最後の段階になると、皮がむけたところにゴツゴツした岩のようなかさぶたができます。このかさぶたをそのままにしておけば、治るころには自然と剥がれるはずですが、かさぶたは水分で柔らかくなってしまい、すぐに取れてしまうのです。

取れてしまえば、また皮がむけた状態になって激痛に見舞われます。そんなことを何度も繰り返してしまい、唇に合計5つできたヘルペスには1カ月ほど悩まされました。