植木鉢、古びた食器…先輩社員の“プレゼント攻撃”に積もる疑問「要らないモノを押し付けてくる」

 第一印象は良かったのに、お付き合いが長くなればなるほど残念になっていく人も少なからず存在する。相手が職場や取引先の人間ともなると、かなり厄介。今回は、やさしくて親切だと思っていた職場の先輩に悩む北山優樹菜さん(仮名・27歳)に話を聞いた。

◆何でも勧めてくる先輩の女性社員

 優樹菜さんは、結婚して引っ越したことをキッカケに従業員10名以下、女性社員1名の中小企業に転職。不安いっぱいで入社したとき、女性社員で先輩のK美さん(57歳)がとてもやさしく親切に接してくれたことが好印象だった。

「親子ぐらい年が離れていたこともあってか、『娘みたい』と可愛がってくれ、関係は良好。仕事のやり方も丁寧に教えてくれました。ただ、いま思えば、その頃からいろいろなものを結構強めにすすめてくる印象はあったかもしれません」

 けれど当時は、社員が無料で飲めるお茶やコーヒー、職場内の誰かが出張時に買ってきてくれたお菓子やK美さん自身が購入したものなど。入社したばかりの優樹菜さんが気を使ったり遠慮したりしないよう、配慮しているのかと思っていたとか。

◆「遠慮しなくていいから。ねっ!」

「ただ、その行為は徐々にヒートアップ。いつ頃からか自宅にある古めの食器や雑貨を持ってきて、私にくれるようになっていきました。しかも断りにくい圧を出してくるので、しんどい。やんわりと断ってみても、出したものは絶対に引っ込めません」

 しかもタチが悪いのは、「ねぇ、これ見て~!」と、自宅から持ってきたモノを最初に見せてくること。それが、ただ単に見てほしいモノなのか、それとも優樹菜さんに渡そうと思っているものかがわからないため、否定的なことは言えない。

「そのため、『年代物ですね』『昭和レトロ感ありますね』など、当たり障りのない言葉を言うようになります。でも、それが私に渡そうと思っていたものだった場合、『でしょ~、そういうと思ってた。これ、あげるわね』と押し付けてくるのです」

 いくら「お気持ちだけ」と断ってみても、笑顔で「遠慮しなくていいから。ねっ!」と押しつけてくる。毎回のように押し切られるため、「自宅にモノを増やすと旦那に怒られるので」と断ってみても、無駄。

◆ガラクタとしか思えないものまで押し付けてくる

「K美さんは『そっと置いておけば大丈夫よ。男の人なんて、家に何が増えてても、なかなか気づかないんだから』と持論を持ち出してきます。私が『でも…』と言おうとしても、『遠慮なんていらないんだから』とモノを押しつけられて終わりです」

 ただ、K美さんに悪気がある様子はない。優樹菜さんがモノを受け取ると、「嬉しいわ。私にも娘がいたら、こんな感じかな」としみじみ言うため、無碍にもできずにいた。ところがある日を境に、これまで以上にガラクタを押しつけてくるようになる。

「2~3日ぐらいに1個のペースで渡してくるので、さすがに困って『K美さんの家のモノ、全部なくなっちゃいますよ。本当にもう、大丈夫ですから』と強めに言ってみましたが、『いま、家を片付けてるから大丈夫。プレゼントだと思って』と返してくるのです」

◆モヤモヤしたまま関係を保つしかない

 優樹菜さんは、「もう、どう反応していいのかわかりませんでしたし、それって不要なモノを私に押しつけてるってこと?と不快にも感じました」と続ける。古びたポーチから底についた土を落としきれていない植木鉢まで、K美さんからのプレゼント攻撃はいまも継続中。

「自分の趣味ではない不要なモノをもらうのは本当に迷惑だし、正直ストレスです。でも、同じ職場で毎日顔を合わせることを考えると、迷惑だとは言えません。不要なものはコッソリ処分して、先輩社員との関係を良好に保っていますが、ずっとモヤモヤしたままです」

 いまは、K美さん宅からモノがすべてなくなるのを待っているという優樹菜さんは、「最初にちょっと距離を縮めすぎたかも?」と後悔する。毎日顔を合わせる人と長く良好な関係を保つためには、最初からある程度の距離を保っておくことが大切かもしれない。

<TEXT/山内良子>

―[モンスター上司]―

【山内良子】

フリーライター。ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! 金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意