チョコレートはニキビに悪いって本当ですか?気になる噂を皮膚科専門医が検証!

「チョコレートとニキビは関係なさそう」とした研究

まず、「チョコレートはニキビと関係なさそうだよ」と報告した研究としては、1969年に JAMA という超一流医学雑誌に掲載された論文が有名です。この研究では、軽いニキビがある65名の方々を、「市販ミルクチョコレートの10倍以上ものチョコレートを含むチョコバー」を食べるグループと、「これとそっくりの全くチョコレートを含まないバー」を食べるグループに分け、ニキビの数に影響があるかどうかを観察しました。

その結果、どちらかのグループのみでニキビが有意に増えるということはありませんでした (参考文献 1,2) 。本研究の結果を見る限りでは、チョコレートとニキビの関係はなさそうですよね。

この研究結果は、日本皮膚科学会のニキビガイドラインでも紹介されています。そのガイドラインでは、「チョコレートなど特定の食物がニキビの悪化要因だという明確な証拠はない」と書かれています (参考文献 3) 。

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「チョコレートはニキビに悪そう」とした研究

一方で、「チョコレートはニキビに悪そうだ」との報告もあります。例えば、2016年に JAAD という皮膚科領域では有名な医学雑誌に掲載された研究では、54名の大学生を「チョコレートを食べるグループ」と「ジェリービーンズを食べるグループ」とに分けたところ、「チョコレートを食べた人たちではジェリービーンズを食べた方たちよりもニキビが増えていた」と報告されました (参考文献 4) 。

この結果を踏まえると、「チョコレートはジェリービーンズとは違ってニキビに悪そうだ」と考えられます。ただ、本研究は規模が大きくはないので、この結果だけから決定的なことをいうのは難しいです。

また、今回の研究では「チョコレートを食べたら ”48時間後” にニキビが増えるかもしれない」との報告がされたのですが、食事の影響でニキビが出るタイミングとして「2日後」というのは早すぎる印象もあります。ニキビと食事の関係を調べる研究の場合、一般的には数週間後の肌の状態をチェックすることが多いです (参考文献 5) 。したがって、この研究結果が本当にチョコレートの影響を確認したものと言えるのかは疑問の余地があります。

また、ヨーロッパ7カ国で生活する1万人以上の方を対象とした調査では、チョコレートを食べる方でニキビが多いとの報告もあります。ただ、その程度はあまり強くはなく、食事よりも遺伝の影響が強そうという結果でもありました (参考文献 6) 。この研究も、チョコレートがニキビに与える影響の有無や程度を明確に示したものとは言い難いです。