まとめ
- 塗り薬を指の関節1個分出した量を 1FTU と呼び、塗る範囲の基準にできる。
- 5g チューブと 25g チューブでは、 1FTU で塗れる面積が2倍ほど違う。
- 塗り薬のタイプごとに適切な量を使用して初めて本来の効果が発揮される。
「皮膚科で軟膏を処方されたけど、どれくらい塗ればいいの?」と疑問に思われたことはありませんか?
飲み薬なら「1回1錠、1日2回」などのように用法用量がはっきりしていることが多いですが、塗り薬の場合は自分のさじ加減でなんとなく塗ってしまいがちです。
しかし、塗り薬も飲み薬と同様に、適切な使い方をして初めて本来の効果を発揮できるものです。
今回の記事では、チューブ、軟膏容器、ローションタイプの塗り薬の適切な使い方について、皮膚科医が解説します。
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チューブに入っている場合
「チューブに入った塗り薬を人差し指の先端から第一関節まで出した量」を「1 FTU (=finger-tip unit) 」と呼びます (参考文献 1) 。
1 FTU = 約 0.5 g であり、この量で「指まで含めた手のひら2枚分」に塗ることができるとされています (参考文献 2) 。
しかし、これは主に 25 g チューブに入った塗り薬にしかあてはまりません。
皮膚科などでは 5 g チューブや 10 g チューブに入った塗り薬を処方される事が少なくありませんが、これらの口径 (塗り薬の出口の幅) は 25 g チューブに比べて小さいものがほとんどです。
そのため、小さい口径から 1 FTU を出しても手のひら2枚分に塗ることはできないのです。
具体的に、手のひら2枚分に塗るためには、
- 5 g チューブで 2 FTU
- 10 g チューブで 1.5 FTU
が目安となります (参考文献 3-5) 。
同じ 5 g チューブでも製品によって口径に差があったりしますが、基本的にはこの量で覚えておくと良いです。
ちなみにアトピー性皮膚炎の治療薬であるコレクチム軟膏は、 5 g チューブも 10 g チューブも 1 FTU = 0.5 g で設計されています (参考文献 6) 。