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●あの芥川龍之介やジョン・レノン夫妻も通っていた銀座の『カフェーパウリスタ』の魅力を改めて深堀り!
さまざまな逸話を持つ歴史ある店が多い銀座のなかでも指折りのビッグなエピソードを持つカフェが、『カフェーパウリスタ銀座本店』。文豪・芥川龍之介が贔屓にしていた店であり、さらには世界的大スターのジョン・レノンとオノ・ヨーコが1978年の来日時に気に入って、3日連続で来店したことでも知られています。
観光客も行き交うにぎやかな銀座通りに面しています。
『カフェーパウリスタ銀座本店』は、明治末期の1911年、銀座6丁目で開業。「パウリスタ」とは「サンパウロっ子」の意味。1923年の関東大震災の被災後に、一時、喫茶店経営から撤退してコーヒー豆の輸入・焙煎業を主軸としていたものの(日東珈琲)、1970年に復活し、現在の銀座8丁目に再オープンしました。
古くは芥川のほかにも、永井荷風が編集主幹となっていた文芸雑誌「三田文学」のメンバーの溜まり場だった時期があったり、菊池寛や与謝野晶子、平塚らいてうもよく来店していたとか。
ジョンとヨーコが座った席と同じ席に座ることができる。ソファの革は近年張り替えたものですが(当時はごげ茶色)、テーブルは当時のまま
店長の矢澤秀和さんによれば、「現在、1階と2階で営業しており、1階にはシャンデリアや鏡など、創業時の店内の雰囲気を残しています。1階を好まれるお客様が多いですね」とのこと。
納得の品質、この店でしか味わえない看板コーヒー
パウリスタオリジナルのカップも素敵
そんなジョンとヨーコが堪能したコーヒーが、「パウリスタオールド」(850円)。創業以来、受け継がれてきた伝統の味です。厳選したコーヒー豆を自社で深めに焙煎。口に含むと、「これぞコーヒー」といった深い香りが鼻に抜け、苦味が効いた重厚感のある味が喉を通ります。ひとたび味わえば、「なるほど!」と店の名前を冠して長年愛されてきた意味がわかるはず。
また、もう一つの人気メニューが「森のコーヒー」(850円)。こちらは農薬不使用栽培で生産しているブラジル農園の完熟コーヒー豆を使っており、パウリスタオールドに比べるとマイルドですっきりして、少し酸味が感じられます。
コーヒーに合う食事メニューもオススメです。一番人気は3種類あるキッシュ。定番の「キッシュ ロレーヌ」(900円)はホウレン草と4種のチーズ、ベーコン入り。ナイフを入れるとあふれんばかりに具が詰まっています。
土台はサックリ系。控えめサイズかと思いきや、食べ応えがある
サラダも付いているので、一皿でけっこう食べ応えが。サクッと食べてコーヒーを愉しむにはもってこいのご馳走です。このほか「サーモンとホウレン草のキッシュ」(980円)、「3種のきのことたっぷりベーコンキッシュ」(900円)なども人気です。
ケーキの種類も充実、ザッハは大人の味わい
どのケーキもコーヒーによく合いそう。これは迷う!
コーヒーのお供といえば、やっぱりスイーツは外せません。ケーキは定番商品が3〜4種類、季節ごとに2〜3種類と、計6種類前後を常時揃えて提供しています。
生クリームたっぷり。ひそかに入っているフランボワーズジャムがいい仕事をしている
人気は、パウリスタで長年親しまれている「ザッハ」(コーヒーセット価格1460円)。ビターなチョコレートに甘酸っぱいフランボワーズジャムがアクセントとして見え隠れ。添えられた生クリームのコクが、濃厚なチョコレートを引き立てます。ワインにも合いそうな大人の味。ワインを含むアルコールメニューもあるのでバッチリですね。
まとめ
コーヒーを店長の矢澤さん。「銀ブラ」の語源は、「銀座のカフェーパウリスタでブラジルコーヒーを飲む」とも言われています(諸説あり)。逸話の多さがすごい
銀座の喧騒からタイムスリップしたような昭和レトロな店内にはゆったりとした空気が流れ、心からくつろげます。自社で輸入、焙煎している上質な豆を丁寧に淹れたコーヒーもさることながら、軽食やスイーツも充実。つい長居したくなる、銀座のオアシス的なカフェです。
●SHOP INFO
店名:カフェーパウリスタ銀座本店
住:東京都中央区銀座8-9 長崎センタービル 1階・2階
TEL:03-3572-6160
営:
1階/月~金9:00~20:00(フード19時、ドリンク19時半LO)、土9:00~19:30(フード18時半、ドリンク19時LO)、日・祝11:30~19:00(フード18時、ドリンク18時半LO)
2階/月~土12:00~18:30(フード17時半、ドリンク18時LO)、日・祝12:00~19:00(フード18時、ドリンク18時半LO)
休:年末年始
(取材・文◎松みのり)