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●日本絶景の旅。福井の観光名所「東尋坊」。その沖合に浮かぶ無人島の「雄島」を巡り、歴史とグルメを堪能する旅をお届けします。

 前回、三国湊の観光と和菓子巡りをお届けしましたが、この三国エリアには風光明媚な絶景スポットがあります。それが、無人島「雄島(おしま)」と、観光名所として名高い「東尋坊」です。

 三国駅からバスで15分ほど。もしくは車でお出かけすると、車窓から流れる港町の風情を感じながら向かうことができますよ。

 最初に向かったのは雄島。無人島に気軽に渡れる、日本でも数少ない場所。

 この島は昔から神の島としても崇められている、今でいうパワースポットなのです。心もひんやりとするような無人島……何が現れるのか。フォトジェニックな景色とともに周ってみましょう。

神の島と呼ばれる神秘的な無人島「雄島」を散策しよう


雄島にかかる赤い橋が映える

 雄島は東尋坊の沖合に浮かび、1300万年前の溶岩でできた周囲約2kmの無人島。東尋坊からは車で約5分のところにあるので合わせて訪れましょう。

 無人島でありながら、朱塗りの橋がかかっているので歩いて渡ることができます。

 天気がいいと、青い空と海、緑生い茂る無人島、赤い橋のコントラストが一層鮮やかに浮かび上がり、美しい。未知の世界へ誘うような橋を、海風を受けながら渡っていく心持ちが、ワクワク感とハラハラ感で満ちていきます。


「大湊神社」の鳥居

 橋を渡り切ると、大きな鳥居がお出迎え。両脇に鎮座する狛犬の土台の岩は、雄島を形成する岩(流紋岩)で作られています。

 雄島は、昔から「神の島」と崇められてきた神秘的な島。鳥居を見上げしばし、鬱蒼とした緑の島に圧倒されます。

 未だ手付かずの自然が残る無人島は、大湊神社を巡るだけもよし、島内をぐるっと一周できる約1.2kmの散策路をゆくもよし! さて、島内へ入ってみましょう。

雄島が“神の島”と呼ばれるワケ。その伝説とは

 島の入り口は、いかにも無人の神の島といった吸い込まれそうな佇まい。まるでジブリの映画に出てきそうな神秘的な雰囲気。謎のひんやりとした空気が心も体も包み込み、一歩踏み入れたら、何者かに姿を変えるような気さえしてきます。ひやっ。

 島内に入ると、ひんやりとした神聖な空気。ヤブニッケイの原生林が生い茂る島は美しい陰影に包まれていて幻想的。

あ、たぬき!

 人がいても逃げる様子もなく、野生の君はゆっくりと横切って行きました。たぬきくん、神の島では住まい方も違うものですね。

 そして78段の階段を登ると、その先には、「大湊(おおみなと)神社」の拝殿が現れます。


大湊神社

 西暦650年の歴史を誇る古社は、無人の中で静かに海を見守っています。

 雄島はなぜ、神の島と呼ばれているの? 

 それは越前の最も突出した地の利に位置し、姿の美しい雄島を神聖な「神島」として周辺の人々から崇められてきたそう。また、大湊神社の大神などが弓矢で異国の軍船を退治したという伝説から、弓矢の神としても崇められ、海上の安全や豊漁を見守る存在に。今でもそれらを祈願し、「雄島祭り」が開かれているそうです。

 この神社の一角には、海に向かってたてられた東尋坊を望む鳥居も。


雄島から見る東尋坊と、山々。穴場の絶景フォトスポット。

 雄島橋の袂にある食堂&喫茶「マリンハウス雄島橋」。ロードサイドらしい風情もフォトジェニック。こういうお店でのんびりとするのも、いいものですね。

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世界3大絶勝! 自然遺産「東尋坊」で絶壁と、老舗喫茶のひんやりスイーツ

 福井県に来たら、やっぱり訪れたいのは、有数の観光スポットであり、世界三大絶勝の「東尋坊」。

 1300万年前に噴き出したという溶岩でできた巨大な岩が、海岸線に沿って約1kmに渡り続いています。

 絶景スポットまでは商店街が続いているので、食べ歩きしながら、夏は涼みながら冬は暖をとりながら向かいましょう。

 海鮮の美味しい町ならではの磯焼きのお店がたくさん軒を連ねています。通りに届くイカ焼きの香りにフラフラと店先に立ち寄ってしまいます。

 商店街を抜けると広がる、海と空。古くからありそうな店の佇まいもこの風景によく合います。


東尋坊のメインスポット。ここは東尋坊のほんの一部。越前加賀海岸国定公園の特別保護地区にあり、国の名勝・天然記念物にもなっています

東尋坊の独特絵の景観を作る柱状節理とは


覗き込むと吸い込まれそうな東尋坊の絶壁!

 絶壁の上まで行くと、青い海に吸い込まれてしまいそうな絶壁! 足がすくむとはこのこと。ザザーーンと荒波が打ちつける音も拍車をかけます。それでも美しい岩肌と海の青さに見惚れる瞬間。

 東尋坊ならではの景観を生み出しているのは、世界的にも希少な柱状節理(溶岩やマグマが冷えて固まるときにできる柱状の割れ目のこと)という地形。地表近くまで上昇したマグマが冷えて縮み、五角形や六角形の柱状の割れ目ができたそうです。

 ちなみに、雄島から東尋坊周辺に遊歩道を歩くのもおすすめ。小道の脇には三国町ゆかりの文学者の碑が並び、日本海の荒波で削られた海蝕洞(かいしょくどう)などを眺めながら、海岸沿いを散策できます。

 遊覧船もあるので、海から東尋坊の壮大さを眺めるのも素敵かも!