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●昭和8年(1933年)創業のたこ焼き屋『会津屋』。一度にさまざまな味を楽しめる「3種盛り」を食べてきた。

 大阪グルメの代表格ともいえる「たこ焼き」。どの店も出汁や粉、具材にこだわっていて、味わいはさまざまです。せっかく大阪を訪れたなら、いろいろなお店で食べ比べを楽しみたい人も多いでしょう。

 数ある名店の中でもぜひ訪れて欲しいのが、たこ焼き発祥の店『会津屋』です。有名なグルメ漫画「美味しんぼ」で紹介され、2016年、2017年、2018年と3年連続ミシュランガイドビブグルマンを受賞。また、2019年に大阪で行われたG20サミットで世界の首脳に紹介されたこともあり、高く評価されています。

 大阪を中心に10店舗展開する同店。筆者は、大阪観光の中心地・なんばにある『会津屋 なんばウォーク店』にお邪魔しました。広々としたイートインスペースがあり、名物のたこ焼きのほか、たこぶつやたこわさなどの一品料理やアルコールも取り扱っています。

生地の旨さで勝負する『会津屋』


大阪メトロ日本橋から徒歩1分

『会津屋』の特徴はカツオ出汁と醤油で味付けした生地。創業当時は電子レンジで温めることができなかったため、冷めてもおいしく食べられるよう生地にこだわっています。。生地の旨味をそのまま楽しむため、ソースや青のり、マヨネーズといったトッピングはなし。小ぶりであっさりした味なので、何個でも食べられます。

 今回は、一度にいろいろな味を楽しめる「3種盛り」を注文しました。

牛肉の旨味が詰まった「元祖ラヂオ焼き」とは?


1200円

 左から「和風タルタル」「元祖ラヂオ焼き」「元祖たこ焼き」の順に並んでいます。まずはたこ焼きの原型と言われる「元祖ラヂオ焼き」から食べてみましょう。

 初代店主が「ビール片手につまめる食べ物はないか?」と考えて誕生した一品で、中には甘辛く炊いた牛すじとコンニャクが入っています。”ラヂオ焼き”という名前は、当時流行していたラジオやラジウム温泉から付けられました。当時は決まった具材がなく、牛すじやコンニャク、豆、ねぎなどいろいろな物を入れていたそうです。


ホロホロ食感の牛すじ

 外側はパリッ、中はとろとろふわふわ。やわらかく煮込まれた牛すじとプリプリ食感のコンニャクが相性抜群です。具材にも出汁にもしっかり味がついているので、ソースやマヨネーズなしでもイケる! 噛むたびに牛肉の旨味が広がる、贅沢な味わいでした。

お客さんの声から生まれた「元祖たこ焼き」


創業から2年後に誕生 [食楽web]

 ラヂオ焼きを食べたお客さんからの「大阪は肉かいな。明石はたこ入れとるで」という一言で生まれた「元祖たこ焼き」。兵庫県・明石の名物”明石焼き”をヒントに何度も試作を重ね、出来上がったものを”たこ焼き”と名付けて店に出したところ瞬く間に大人気に。その後、全国に広まったそうです。


おやつやおつまみにピッタリ

 具材はたこと天かすだけと至ってシンプル。こんがりと焼かれた表面に歯を入れると、出汁の風味とたこの旨みがドバッと溢れ出します。ソースやマヨネーズがかかっていない分、外のパリパリ感が長続きして最後までおいしく食べられました。

シャキシャキ食感が堪らない「和風タルタル」


酸味とコクがクセになる

 たこ焼きに、酸味が効いたマヨネーズとたっぷりのねぎがのった「和風タルタル」。クリーミーな生地とプリプリのたこに、ねぎの風味とシャキシャキ食感が加わり、良いアクセントになっています。マヨネーズがサラッとしているのでしつこくなく、たこ焼きそのものの味がしっかり感じられました。

調査結果

 粉もんの街・大阪で90年余愛され続ける『会津屋』。ソースをかけずにいただくラヂオ焼きやたこ焼きは、何個でも食べられる素朴な味でした。大阪を訪れた際は、ぜひ食べてみてくださいね。

(撮影・文◎安達春香)

●SHOP INFO
会津屋 なんばウォーク店
TEL:06-6212-1132
住:大阪市中央区千日前1丁目なんばウォーク5-8号なんばウォーク 3番街南通り
営:11:00~22:00(L.O.21:30)
休:なんばウォーク定休日
https://www.aiduya.com/