〝水〟をテーマにした「ブシュロン」の圧巻のハイジュエリーコレクション〝OR BLEU(オル ブルー)〟

希少な宝石の数々、クリエイティビティー、そして緻密(ちみつ)な職人技――。ハイジュエリーの世界には各メゾンのあらゆる要素が凝縮している。パリで6月にハイジュエラーが発表した、豪華な新作コレクションの数々を現地からお届けする。

年に1度、クリエイティブディレクターのクレール・ショワンヌがどこまでも自由な発想でクリエイションを追求するブシュロンの「カルト ブランシュ コレクション」。今回はアイスランドの水から着想を得て、あらゆる生命に欠かせない貴重な資源〝水〟をテーマに〝OR BLEU(オル ブルー)〟と題したコレクションを発表した。

アイスランドの水は力強く、エネルギーに満ちあふれている。ショワンヌは、滝や流氷、氷や波など、躍動する水が様々に変化し、形を変える一瞬の表情をとらえ、ジュエリーの世界に落とし込んだ。滝の奔流からはダイヤモンドのネックレスを、波のうねりからはショルダージュエリー、そして氷河からは水の流れによって彫刻されたかのようなロッククリスタルのブレスレットを制作。全編ほぼモノクロームの静かな世界は、水の色、質感、光の反射、透明感などを見事に表現し、まるで生きているかのような水の造形美を革新的な26作品に詰め込んだ。

この制作にはアイルランドの大自然を抽象的な世界に落とし込むドイツのアート写真家のヤン・エリック・ワイダーと、水の大胆な音を環境音として録音しエレクトロ・ミュージックに取り入れるフランスのサウンド・アーティストのモレキュールの2名のアーティストが携わった。ブシュロンのクリエイティビティの限界を押し広げ、ハイジュエリーの世界をアートにまで昇華させる美しいコラボレーションの代表的な作品を紹介する。

CASCADE(滝)

最初に目を引いたのは、ブシュロンのアトリエで制作されたこれまでの作品の中で最も長い148センチに及ぶロングネックレスだ。まるで糸のように、流れ落ちる滝を表現した作品は、直線的なラインを描きつつ、5通りの長さとイヤリングに形を変えることができる。幾重にも重なる水の流れは繊細なダイヤモンドのラインで表現され、様々なカッティングを施した1800石を超えるダイヤモンドを配すことで、ボディの中心にすっと細く流れ落ちる水のきらめきを際立たせている。

ネックレス(ダイヤモンド、ホワイトゴールド)

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ONDES(波紋)

メゾンの制作チームの類いまれなる挑戦がうかがえた「オンド」は、水面にしずくが落ち、均衡の取れた輪が幾重にも広がっていく波紋の一瞬をとらえた瑞々しく繊細な作品だ。自然が生み出す美しい波紋の現象を表現するために、制作チームは3Dソフトを用いて水のあらゆる動きを分析し、ネックレスと2つのリングをデザインした。透明感あふれる水面の波紋を表現する素材はロッククリスタル。肌が透けて見えるほど薄く研磨したロッククリスタルに、円形の彫刻を施すという超難関な課題にも挑戦。ロッククリスタルの下には約4500石のラウンドブリリアントカットのダイヤモンドが敷き詰められ、ネックレス全体がボディのラインに沿うように工夫されている。同心円状に広がる波紋の中心にはベゼルセッティングしたダイヤモンドがきらめきを放つ。

〈中〉ネックレス(ダイヤモンド、ロッククリスタル、ホワイトゴールド)、〈右〉リング(ダイヤモンド、ロッククリスタル、ホワイトゴールド)