希少な宝石の数々、クリエイティビティー、そして緻密(ちみつ)な職人技――。ハイジュエリーの世界には各メゾンのあらゆる要素が凝縮している。パリで6月にハイジュエラーが発表した、豪華な新作コレクションの数々を現地からお届けする。
1780年にパリで創業し、ナポレオンの皇后ジョゼフィーヌを始め、今日に至るまで世界中の顧客をとりこにし続ける「ショーメ」。6月に発表された新作ハイジュエリー「ショーメ アン センヌ」は、音楽、ダンス、魔法という3つの芸術からインスピレーションを受け、躍動感にあふれる。
音楽「ハーモニー」
音楽をテーマにした「ハーモニー」は、まるでサファイアやダイヤモンドが音符となり、五線譜の上で特別なハーモニーを奏でるようなポエティックな作品だ。メゾンを象徴するブルーを想起させるサファイアは、同じ深いトーンの石のみを厳選して並べられ、ダイヤモンドとしなやかに交差しながらダンスを繰り広げる。ラインを描くエッジ部分は徐々に細くなり、まるですーっとフェイドアウトしていく音の世界を表現しているようだ。職人たちは気の遠くなるような700個のベゼルと2800個の爪のセッティングを施し、正面からはもちろんのこと、横や裏から見ても完璧な細部の美しさを追求している。装着した際にネックラインにぴったり沿うように、柔軟性を持たせた作りであることも、職人の技術の高さがうかがえる。
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ダンス「バレエ」
「ダンス」の中でひときわ目を引いたのは、まるでチュチュをまとったバレリーナたちがクルクルと回るような躍動感にあふれた作品「バレエ」だ。ホワイトゴールドの花びら1枚1枚に独立した動きを与えるアーティキュレーションは、8.03カラットから4.13カラットまでの美しいクッションカットのセイロンサファイア5石を並べた、イーグルクローセッティングという並外れた技巧が使用されている。踊るようならせん状の構造でネックラインをしなやかに包む優雅なネックレスは、ショーメのシグネチャーであるトワ・エ・モワ・リングとイヤリング、ウォッチが加わり、圧巻のパリュールを生み出す。