プルメリアの栽培環境

日当たり・置き場所

プルメリアを育てる時は、屋外・屋内いずれの場合も日当たりのいい場所がおすすめです。日光を十分に当てないと花が咲きづらくなる恐れがあります。

また、過湿に弱く根腐れを起こしやすいため、屋外に地植えする場合は水はけのいい場所を選びましょう。

プルメリアは茎が柔らかく、強い風で傷んでしまう恐れがあります。管理場所を選ぶ際は、風当たりにも注意してください。

プルメリアは日当たりや水はけ、温度管理が適切なら、地植え・鉢植えどちらでも育てられます。ただし、屋外に置く場合は気温の下がり過ぎに注意し、必要に応じて場所を変えなければなりません。

耐寒性・耐暑性

熱帯花木のプルメリアは暑さに強く、寒さに弱い植物です。

温度が0℃以下になることを避けるため、庭などに地植えしている場合は10~11月に掘り上げて暖かい場所に移動しましょう。冬場は水やりをやめて、0℃以上の環境で休眠状態にし、春になったら少しずつ水やりを再開します。

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プルメリアの育て方のポイント


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用土

水はけのよい用土が適します。販売されている鉢植えは、水もちのよいピートモスを主体とした用土に植えられていることがあります。ピートモス主体の土では水分過剰になりやすく、初心者の場合、立ち枯れなどの病気や、冬越しの失敗などのトラブルが多くなります。

用土としては、多肉植物用の培養土が手軽でおすすめです。また、一般的な培養土を使いたい場合は、赤玉土中粒を3割程度足すとよいでしょう。

自分で配合する場合は、赤玉土小粒に腐葉土3割、川砂1割を配合した用土、また6~8号鉢以上は赤玉土中粒を使うのがおすすめです。水はけのよい用土を使うことが、失敗なく簡単に育てるための大きなポイントになります。

水やり

表土がしっかり乾いてから、たっぷり水やりしてください。よく乾燥する夏は、水やりの際に葉全体に水をかけるようにすると、ハダニなどの害虫の発生が防げます。

過湿にすると根腐れしやすく、また樹姿が徒長気味になって軟弱になり、花付きも悪くなります。

春から6月までは、特に過湿による根腐れや病気などのトラブルが発生しやすい時期です。水の与えすぎに十分注意し、5月はやや乾かし気味に管理したほうがよいでしょう。

肥料

大きく成長させて花をたくさん咲かせたい場合は、5~10月にリン酸分の多い化成肥料などを規定量か、やや少なめに与えてください。窒素肥料が多いと枝ばかり伸びて花が咲きにくくなります。

肥料を控え気味に育てると枝の成長が抑えられ、コンパクトで引き締まった樹姿になります。矮性品種なども、液体肥料を7〜10月に月1回のペースで、規定量を与えればよいでしょう。

<病害虫>

害虫の発生は少ないです。乾燥した場所では、ハダニが発生することがあります。水やりの際に勢いよく葉水すると、発生を防ぐ効果があります。

過湿にすると立ち枯れ病などが発生しやすくなります。梅雨時は、鉢を雨の当たらない場所に移動すると安心です。

春によく多発するのは、枝先が黒くなって枯れるブラックティップと呼ばれる症状です。大株は枝先が枯れるだけですが、小株はそのまま根元まで腐って枯れてしまうこともあります。プルメリア・オブツサとその系統に多く発生します。6月までは雨が当たらず、日当たりと風通しのよい場所に置くのが理想的です。

プルメリアの詳しい育て方


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植え付け・植え替え

植え付け、植え替えの適期は5~9月。1~2年の間隔で植え替えをしますが、過湿を嫌うので、大きすぎる鉢を使わないようにしてください。大きめの鉢を使った場合は、鉢底石を多めに入れて水はけよく植えるようにしましょう。

強風対策

枝の先端部に葉が集中するので安定が悪く、鉢が倒れやすいです。茎が柔らかいので、倒れると折れてしまうこともあります。鉢転倒防止用のストッパーを使うか、柱など支えられる場所に枝を括りつけるとよいでしょう。

台風や暴風雨が予想される時は、前もって室内に避難させるのが確実に安心です。室内への移動ができない場合は、あらかじめ鉢を倒しておきます。そして、その上にシートなどを被せるとよいですが、中途半端に固定するとシートが飛んだりバタついたりして被害が拡大することがあるので注意してください。

剪定

分枝が少ないので、ほとんど必要ありません。むやみに剪定すると、長期間花が咲きにくくなります。大株になって枝が密集しすぎたら、軽くすかすように切るとよいでしょう。

伸びすぎて仕立て直したい場合は、株元から30~50cmの位置でバッサリと切り戻して大丈夫です。ただし、開花まで2~3年かかる場合が多いです。

冬越し

11月までに室内に移動してください。水やりの間隔をあけて徐々に減らし、葉が落ちたら断水します。

15℃以上を保つと落葉しませんが、冬に落葉することでさび病やハダニの発生を防ぐことができます。断水している間は、日光に当てる必要はありません。部屋の中央付近など、温度が下がりにくく温度変化の少ない場所が適します。床からの冷え込みが予想される場合は、発泡スチロールの中に入れたり、断熱シートなどで覆うとよいでしょう。

3月頃から室内の日光が当たる場所に置いてください。ただし急な冷え込みが予想される日は、窓から離れた部屋の中央付近に移動すると安心です。葉が3~4枚になり勢いよく成長を始めたら、水やりを再開します。はじめは表層を濡らす程度の量を与え、徐々に水やりを増やしていきます。

増やし方


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4~8月に、挿し木で簡単に増やすことができます。挿し木は、先端部の充実したやや木化した枝を使うと理想的です。20~30cmほどの長さに切り、日陰に置きます。2~3週間して、切り口に小さなコブのようなカルスができたら植え付けてください。温度が低い4月頃は、カルスができるまで時間がかかる場合があります。鉢は4~5号の深めの鉢(腰高鉢)などを使用し、用土は赤玉土小粒など、清潔で排水性のよいものが適します。

挿し木後に水やりし、その後は表土が乾燥してから水やりします。置き場所は、室内の明るい場所に。7~8月は、戸外の軒下など雨の当たらない涼しい場所がよいでしょう。

海外のお土産用プルメリアの枝に注意

ハワイまたは東南アジアからのプルメリアの苗や枝は、日本向けの検査証明書がないと国内に持ち込めません。これは、ミカンクロトゲコナジラミの日本への侵入を防ぐための措置です。お土産などの販売店で枝が売られていますが、気軽に土産として持ち帰らないように注意してください。

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プルメリアを地植えする場合


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5月から10月の期間限定ではありますが、庭などに地植えして育てることもできます。植え付ける際は、周囲より20~30㎝ほど高くしたレイズドベッドや畝などに植えると水はけがよく、立ち枯れや徒長を防げます。

植える場合、プルメリアの株は、中~大株を植えたほうが失敗が少ないでしょう。水やりの心配がなく手間いらずですが、強風に注意してください。台風が到来する場合は枝が折れる心配がありますが、少し掘り起こして寝かせると被害が防げます。

秋に掘り起こして鉢植えにする際は、赤玉土だけか、赤玉土にパーライトを3割程度混ぜた用土を使用するのがおすすめです。温度が低下していく時期の植え替えなので、腐葉土などの有機物を入れると根腐れする可能性が高くなります。

丈夫で手間いらず! プルメリアを咲かせて自宅でリゾート気分


‘カリフォルニア・サン’

プルメリアは生命力が強く、手間いらずで丈夫な植物です。初心者で栽培に失敗している人は、通常のピートモスが多い水もちのよい培養土で大きめの鉢で育てている場合が多いようです。多肉植物のような花木と想定して、水はけのよい用土で育てて冬は断水すれば、意外と育てるのは簡単です。矮性の品種など種類を選べば花もよく咲きます。プルメリアの栽培にぜひ挑戦して、トロピカルな美しい花と甘い香りを身近に楽しんでください。

Credit

文&写真(クレジット記載以外) / 小川恭弘
– 園芸研究家 –


おがわ・やすひろ/1988年、東京農業大学農学部農学科卒業。千葉県館山市の植物園「南房パラダイス」にて観葉植物、熱帯花木、熱帯果樹、多肉植物、ランなど温室植物全般と花壇や戸外植物の育成管理のほか、園全体のマネジメントなどの業務に18年携わる。現在フリーランスとして活動。著書に『わかりやすい観葉植物』(大泉書店)、『ハイビスカス』(NHK出版)がある。