「なんでウチの子が真ん中じゃないの?」保護者会でキレる母親…パパ友の“思わぬ反撃”で無言に

 学校などの教育機関では以前から問題となっているモンスターペアレンツ。特に幼稚園や保育園の場合、保護者が毎日送り迎えを行うので顔を合わせる機会も多い。そのため、気に入らないことがあると先生や保育士にすぐ文句を言う父兄も少なくないようだ。

 来生暁彦さん(仮名・41歳)の下の娘さんは今年春まで地元の幼稚園に通園。昨年の学芸会ではクラス全員で合唱を披露したが、ある児童の母親は我が子の“立ち位置”が気に入らなかったのか、クラス担任の女性の先生に文句を言っていたそうだ。

◆「なんでウチの子があんな場所なんですか!」

「合唱では前後2列になって歌っており、その子の位置は後ろの列の右端。場所は公平にくじ引きで決められたのですが、それでも不満だったのでしょうね。

『なんでウチの子があんな場所なんですか!』と帰りの迎えの際に文句を言っている場面に遭遇したこともあります。ウチは夫婦共働きなのですが私はリモート勤務のため、子供の送り迎えは自分の担当なんです」

 問題の母親はいわゆるボスママ系のキャラ。来生さんは挨拶程度の会話しか交わさない関係だが、最初のころは職業や自宅についてあれこれと尋ねられ、「値踏みされているようでいい印象は持たなかった。正直、お近づきになりたくないタイプ」と語る。

◆保護者会で先生を責めるボスママ

「ウチの娘も後ろの列の左端から2番目でしたけど、私も妻もボスママのような不満は微塵も感じませんでした。だから、それで怒る人がいるんだと逆に驚きました。

 先生はまだ20代の若い方だったから困惑した様子でしたね。周りの先生方がすぐにフォローに入っていたため、ずっと責められるようなことはなかったのですが」

 しかし、学芸会の約半月後に開かれた保護者会でも「ちょっとよろしいですか?」と議題を遮って文句を言い始めるボスママ。クラスごとに行われていたこともあり、この時居たのは担任の先生だけ。そのため、延々とクレームの集中砲火を浴びていたという。

◆ボスママのせいで止まる保護者会


「この日の議題は、数か月後に控えたバザーについて。でも、ボスママのせいでなかなか話し合いを始めることができず、いい迷惑ですよ。本人はそんな場の雰囲気はお構いなしって感じでしたけどね」

 ところが、ここで来生さんより少し年下の1人の父親が口を開く。「その話、いつまでかかります? みなさん忙しい中、来ているわけですからさっさと本来の議題に入りましょうよ」と発言したのだ。

 これにはボスママも一瞬驚いたようだったが、この父親を軽く睨みながら「私にとって大事な話なんです」と反論。先生へのクレームをやめようとしなかった。

◆父親の1人がボスママのカスハラ攻撃を非難

 そのため、男性は穏やかだった先程の口調より語尾を強め、「だから、クレームは後にしてくれって言ってるんですよ! まったく分からない人だなぁ」と言ったのだ。迫力に気圧されたのかボスママは無言になり、それからは無事にバザーの担当についての話し合いを進めることができたそうだ。

 でも、ボスママは諦めていなかった。保護者会が終了した途端、先生のもとに詰め寄り再び文句を言い始めたのだ。

 だが、ここでも男性が間に入ってブロック。そのうえで「貴女は『歌の上手い子を中央に集めたほうがいい』と仰いましたがここは公立幼稚園です。歌の上手さで並び順を決めるっておかしくありませんか? どうせ自分の子供が真ん中じゃないから許せなかっただけでしょ。そんな理由でクレームなんてくだらないですよ」と真っ向から主張を否定したのだ。

◆ボスママを撃退した父親は、有名なベンチャー起業家だった


 すると、ボスママは「自分の子供が真ん中だったからそんなこと言えるのよ!」と言うも男性からは「えっ? ウチの子も一番端だったけど」と一言。これは想定外だったのか言葉に詰まってしまったようだ。

「この父親はとあるベンチャー企業の社長さんで、ウチの会社とも業種的なつながりもあるので知っていますが、かなりのやり手で有名な方。ただ、半リモート勤務らしく私みたいに積極的に子供の送り迎えを行っているんです。

 彼は『並び順が不満だったら他の父兄の同意を得られそうな代案を出しましょうよ。でないとただのカスハラになってしまいますよ』と諭すように言っていました。後で本人に尋ねたら『先生がかわいそうでしたし、ボスママにムカついただけです。大人げないことをしました』と笑っていましたけどね」

 例えば、明らかに学校や教職員に非のある内容なら別だが、そういったケースとは明らかに異なる。時と場合によっては抗議が必要な場面もあるかもしれないが、それが言いがかりのようなただのクレームにならないか冷静に判断してほしいものだ。

<TEXT/トシタカマサ>

―[カスハラ迷惑客を成敗]―

【トシタカマサ】

ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。