大手キャリアの情報より、ユーザーの体感・経験を大事に
――なるほど。しかし、Opensignalのような世界レベルの膨大なデータを分析・比較する方法と違って、外出時のさまざまなシーンでの通信品質の比較は難しかったのではないでしょうか。
よくさまざまなシーンやサービスをグラフにし、大手4キャリアを比較したと感心しますが、その際の工夫や留意点は何ですか。
担当者 今回、ユーザー自身が経験した、直近半年の外出時の通信のつながりを聞いています。今あるスマホのつながりやすさの情報は、通信キャリアが発信するテクニカルな情報がほとんどです。通信キャリアやネットワークに関わる人にとっては共感できますが、ユーザー自身の経験や体感は別物と考えます。
そこで、ユーザーに「実際につながりやすかったか、どうか」という体験を5段階のアンケートで聞き、その結果をグラフに可視化しました。
具体的には「電車やバスなど公共交通機関での移動」「繁華街」「主要都市のターミナル駅(東京、名古屋、大阪など)」「エレベーターや地下駐車場などの建物の中」「展示即売会・物産販売会などのイベント会場」「スポーツ観戦(東京ドームなど大きな規模会場)「お花見や花火大会」「コンサートやライブ会場」という8つの利用シーンと、全体的にみたつながりやすさで聴取しています。
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ソフトバンクとKDDI、それぞれの企業努力
――結果をみると、外出時の各シーンでのつながりやすさで、ソフトバンクが非常にいいことが目立ちます。総合でも1位です。この理由は何でしょうか。使っている電波の質、あるいは電波網などの影響があるのでしょうか。
担当者 各社ネットワークについて改善し、発表しているかと思います。その中でも2023年にソフトバンクが実施した説明会によると、通信速度よりもユーザーの体感を損なわないことに最も重点を置いていると発表していました。そういう改善が今回のユーザーアンケートの結果につながったのかと思います。
――ところが、利用サービス別通信の満足度ではバラツキがあり、KDDIが1位、ソフトバンクが2位、シェアトップのNTTドコモが3位という結果です。この結果をどう評価しますか。通信のつながりやすさ以外のどんな面で差が表れたのでしょうか。
担当者 ソフトバンクは参入当初、今の楽天モバイルと同じように通信品質に課題があり、満足度も低かったです。しかし、昨今のOpensignalの通信体感レポートでも評価が高く、今回の調査でもユーザー体感ではトップの成績であり、評価をあげています。
KDDIは2022年に大規模通信障害を起こしてから、高橋誠社長が陣頭指揮をとり、改善努力をした結果、大きな通信障害や速度低下の声は聞こえてこなくなりました。その結果、今回の調査で満足度は高かったといえます。