僕青、アイドル2年目の野心「誰も諦めていない強い心がグループの強み」

今年6月に結成1周年を迎えたアイドルグループ・僕が見たかった青空(通称:僕青)。乃木坂46の公式ライバルとして誕生した彼女たちは、CDデビューやレギュラー冠番組のスタート、輝く!日本レコード大賞の新人賞など目まぐるしい日々を過ごしてきた。

2年目も活動の幅を広げる僕青が、3rdシングル「スペアのない恋」をリリースした。今回は八木仁愛・早﨑すずき・金澤亜美・西森杏弥の4人に、これまでの軌跡を振り返ってもらいながら、お互いの成長した部分や2年目への決意を語ってもらった。

◆「この道を選んでよかった」と思えた1年間

――6月22日に「結成1周年記念僕の観たかったワンマンライブ」を終えてみて、どんな心境でしたか?

早﨑すずき(以下、早﨑) この1年で成長した僕青をお届けできたなと思えたライブでした。それと同時に、もっと上を目指したいなと思い直しました。

西森杏弥(以下、西森) 私はもともと「アイドルになりたい」と思っていたわけではなかったので、「私が僕青に居ていいのかな……」と悩んでいた時期もあったんです。でも、会場に集まってくださったファンの方たちを見て、「この道を選んでよかった」と思えましたね。

――1周年ライブの会場が、メンバー発表会と同じ会場ということで、八木さんは「恐怖の場所だった」とも話していました。

八木仁愛(以下、八木) そうですね。1年ぶりにステージに向かう廊下を歩いていたら、当時の気持ちが蘇ってきたりしたんです。不安もありました。

けど、1年前よりも心強い22人のメンバーで同じステージに立てることが嬉しかったです。ライブもこれまでの僕青の楽曲を披露して、1年目の集大成だったなと思いました。

――金澤さんはアイドルになる前に学校ではあまり馴染めなかったと話されていて、憧れのアイドルになったことで環境も大きく変わりましたか?

金澤亜美(以下、金澤) 学校生活が得意じゃなくて、早く逃げ出したいと思いながら過ごしていたんです。アイドルになりたい夢はありましたけど、それが僕青じゃなかったら、ここまで続けれていられてたかもわからないし、みんなに出会えて本当によかったです。

◆金澤亜美「今は抱きしめに来てくれる」

――ライブでは、1年前のメンバー発表会やオーディションの模様を振り返るコーナーもあって。メンバーには事前に知らされずにサプライズで披露されたそうですが、西森さんは今も嫌そうな顔してますね(笑)

西森 めーっちゃ嫌でした!

――そこまで変わってなくないですか?

西森 全然違いますよ~!(笑)。だってさ、オーデイションの映像って嫌じゃない?

八木 自分の前髪の様子がおかしくてびっくりしました……(笑)

――当時はそれが可愛いと。

八木 そうなんです……。前髪をスプレーで固めていってて。でも、みんな幼くて可愛かったなあ。

――1年経って外見だけじゃなくて内面も変わったと思うので、各々がどう変わったのかを周りのメンバーが教えてもらえますか。まずは、金澤さんから。

八木 喋ってくれるようになったよね(笑)。最初から隣りにいることが多くて帰り道も同じだったりしたんですけど、会話は少なかったんですよね。

でも今は、亜美ちゃんから抱きしめに来てくれたり、話し掛けてくれたり。心を開いてくれたかなという瞬間が感じられて私は嬉しいです!

西森 わかるわかる。みんなが話してたら本当は「亜美もー!」って入りたい子なんですけど、それを隠してて。

最初は私たちもうまく引き出せなかったけど、最近は自分のターンがきたら嬉しそうに話してくれる。

――メンバーに会ったら、「この話をしよう!」って思ったりも?

金澤 自分からっていうよりは、メンバーが話してるなかに自然と入ってくことが多くなったと思います。

◆八木仁愛「いい意味で、わがままになった」

――八木さんにはどんな変化を感じました?

早﨑 いい意味で、わがままになった!(笑)。自分が嫌なことは嫌ってはっきり言えるようになったのかな。もともとそうだったのかもしれないけど、そういう面を出してくれるようになった感じがします。

金澤 あと、前よりも明るくなった気がする。

西森 デビューシングルから今回の新曲までセンターというポジションを務めてくれて、私たちにはわからない悩みも抱えてると思うんです。

全部は共有しきれないかもしれないけど、たまに吐き出してくれることもあって、同じグループのメンバーとしては嬉しいなって。

八木 人見知りじゃないんだけど、誰とでも1つ壁を作っちゃうの。それが解けるまでが長かったんだと思う。

――僕青のドキュメンタリー動画では、「最初は周りの子と打ち解けられるか不安だった」とも話していましたね。何が壁を壊すきっかけになったんでしょう。

八木 この1年ほぼ毎日一緒にいて、家族よりも長い時間を過ごしてきたので。僕青のメンバーは明るくて面白いから、接しているうちに自分の性格にも変化があったのかなって思います。

◆西森杏弥「1番最初に慰めてくれる」

――続いて、西森さんにいきましょう。

早﨑 会ったときは本当に喋らない子だった。

八木 亜美ちゃんとはベクトルが違うんだよね。他人行儀な感じというか(笑)。

早﨑 そうそう。話していても目が合わない感じがしないというか(笑)。

西森 最初はそうだったかもしれない、ごめんよぉぉぉ!

早﨑 それが今ではメンバーの誰かが落ち込んでいたり、元気がなかったりすると1番最初に気づいて慰めてくれるのが杏弥ちゃんだよね。

金澤 最初は杏弥ちゃんと話せなくて距離をちょっと感じてたんですけど、今は自分から話かけにいきたいメンバーの一人です。私は泣き虫なので落ち込んでしまうことが多いんですけど、杏弥ちゃんが自然とそばに居て寄り添ってくれました。聞き上手です。

西森 ありがとう、これからも仲良くしてね(泣)

――西森さんは僕青に応募したきっかけが「就職活動からの現実逃避」でしたけど、1年経って自分の居場所になってきた感じはありますか?

西森 メンバーがそういう居場所にしてくれたという思いが強いですね。もともと女の子の集団にいることが得意なタイプじゃなかったんです。生まれ育った場所は高知の田舎でクラスの人数も少ないし、進学したのが工業高校で女子も少なくて。

活動する前は、正直アイドルグループって面倒くさいこともあるんだろうなって覚悟してたんですよ。けど、僕青は全然そんなことなくて。それが何より驚きでした。

早﨑 そう思ってたメンバーは多い気がする。

西森 今はもう安心感から、こんな自由な感じに出来上がってしまってます(笑)。

◆早﨑すずき「すずちゃんが暗くなったら僕青は終わり」

――最後は早﨑さん。

金澤 全然変わってないような。 

八木 うん。すずが良い雰囲気を作ってくれている場面ってたくさんあって、楽屋でもそうだよね。

西森 だから、すずちゃんが暗くなったら僕青は終わりだ(笑)。インタビューでもいろんなお仕事でも、すずちゃんと一緒だと安心感があります。

――それは感じてます?

早﨑 まったく感じてないです(笑)

――普段は明るい早﨑さんが、1周年記念ライブでは涙を見せる場面もありました。

西森 あれは見ていて、泣きそうになった。

早﨑 泣かないというより、涙を堪えちゃうのが得意なんです。でも、ああやって自分の気持ちを話していたらダメでした。

リハまではあっさりした挨拶だったんですけど、本番前にスタッフさんに「時間を気にせずに自分の思いを欲張って話していいんだよ」と言ってもらって、思いが溢れてしまいました。

八木 わかる、話しながら実感しちゃうよね。

◆「誰も諦めていない強い心が僕青の強み」

――そして、8月7日に発売する新曲「スペアのない恋」は、新しい僕青の一面が見られそうですね。3作連続でセンターを務める八木さんはどう感じましたか?

八木 デビューシングルとは違う明るさがある楽曲ですね。「青空について考える」は等身大の私たちを表現した楽曲で、「スペアのない恋」は成長した今の私たちを感じてもらえるんじゃないかな。夏にもぴったりだしね。

早﨑 あっつい夏っていうよりは、ふわ~っていうような爽やかな夏を感じられます!

金澤 MVの衣装も今までは自分たちの制服だったんですけど、初めて違う衣装を着させていただいて。そういう部分からも成長を感じてもらえると思います。

メンバーの可愛い表情はもちろんですが、間奏のダンスにも注目してもらいたいです。

――前作に続いて、今作も選抜メンバーの「青空組」と非選抜の「雲組」による選抜制度が導入されています。

早﨑 前回の選抜制度は初めての経験だったから、メンバーも悔しいとか悲しいっていう気持ちがありました。

でも今回のシングルでは、「青空組」「雲組」がぞれぞれの活躍を楽しみにしているので、選抜制が良い方向に捉えられているよね。

金澤 私は、選抜制になったことのメリットも感じられるようになって。23人がグループのことを考えながら活動できているからこそ、集まったときにより良いパフォーマンスができているなと思います。

八木 1つのグループに2つの組ができたことによって、各メンバーの魅力が伝わりやすくなったんじゃないかなとも感じます。

――今、西森さんが「僕青の強みは?」と聞かれたらどう答えますか。

西森 良いなと思うのは、みんなが感情を表に出せるようになってきたこと。大人になってくるとそういうところを制御しがちになるじゃないですか。摩擦を生むようなことは言いづらいし、周りにどう思われるかも気になるし。

だけど、1周年ライブの最後にみんなの挨拶を聞いていて、野心に溢れてるなと思ったんです。それを口にできることもいいことだし、僕青に若さがある。

もちろん現実を見て話をすることもあるけど「やっぱりダメだね」とはならなくて、「どうすれば成長につなげていけるのか」を考えられる。誰も諦めていない強い心が僕青の強みだなと思います。

◆自分にとって替えがきかないものとは

――少し話題を変えて、今回の「スペアのない恋」にかけて、自分にとって替えがきかないものを教えてください。じゃあ、金澤さんからいけますか?

金澤 うっ! なんだろう……。

西森 早く言ったほうがハードル上がらないよ~(笑)。

早﨑 (挙手しながら)くだらないかもなんですけど、私あります! 靴のこだわりなんですけど、少しでもヒールがある靴を履きたいんです。

八木 もともと身長高いじゃん。

早﨑 身長が盛りたいっていうよりは安心するの。家のスリッパも厚底にしちゃうぐらいこだわってます(笑)。

――絶対にカバンの中に入ってるものとかでも。

八木 杏弥ちゃんはグミじゃない?

西森 そうね~、お菓子はグミが好きでずっと食べてます。あ、隣りでまた手を挙げてる人がいるので、どうぞ。

早﨑 紫色のもの!

金澤 どんどん出てくる(笑)。

早﨑 中学がバトミントン部だったんですけど、ラケットバッグが紫だったんですめ。ラケバ(ラケットバック)っていつも持ってるから、いつの間にか自分の色みたいに思えてきて。友達からのプレゼントも紫色のものが多かったです。

八木 それでいうと、私は小さい頃からクール系の女性キャラが好きで、名探偵コナンだと灰原哀ちゃん。強い女の子が好きっていうのがこだわりです。

――それは自分の理想像でもあったり?

八木 そうかもしれないです。自分とは対照的な人に惹かれるから。

金澤 中学生から使ってるお箸とスプーンかな。お弁当用の少し短いお箸と、持ち手が全部ハートマークで「あみ」って名前の入ってるスプーンで。おばあちゃんが買ってくれたんです。それが安心するので、替えがきかないものです。

◆頑張れじゃなくて、実力で圧倒したい

――ありがとうございます。リーダーの塩釜さんは「アイドル2年目からは新人ではなくなる」っていう話もされていました。8月30日は豊洲PITでのワンマンライブ「アオゾラサマーフェスティバル2024」も控えています。あらためて、2年目に向かう意気込みを聞かせてください。

早﨑 1年目は自分たちの未熟な部分や成長した姿を見てもらうというライブが多かったですけど、2年目は私たちにしかないパフォーマンスで、会場でライブに観たいと興味を持ってもらえるような活動をしていきたいです。

西森 頑張れっていう見守りの視線で見てもらうんじゃなくて、圧倒できるぐらいの実力をつけていきたいですね。

金澤 私はとにかくアイドルを楽しみたいです。1年目は目の前のことに精一杯だったんですけど、メンバーと一緒に全力で楽しむ。いつかは青空が見えるステージでワンマンライブを実現させたい。

八木 リーダーが言うように2年目は新人という枠からも外れて、他のアイドルの方と同じ土俵で活動していかないといけない。

そうなったときに、僕青としての特徴を多くの方達に知ってもらえるようにしていきたいです。素敵なメンバーの魅力をより多くの方達に広げていけるような活動をしていけたらいいなと思っています。

【僕が見たかった青空】

秋元康総合プロデュースのもと、応募者3万5678人の中から選ばれた23人が‘23年6月15日にグループを結成。同年8月に「青空について考える」でデビュー。3rdシングル「スペアのない恋」が発売中。8月30日には豊洲PITにて「アオゾラサマーフェスティバル2024」を開催予定。最新情報は僕青HPをチェック

<取材・文/吉岡 俊 撮影/荒熊流星>