夏休みの“沖縄家族旅行”が台風で中止に…「地獄の空気」を切り抜けた父親の“機転”とは?

 毎年夏から秋口にかけては台風シーズン。特に通り道になっている沖縄は接近や上陸することが多く、飛行機が欠航となる場合も珍しくない。

 なかでも23年7月末に発生した台風6号は、いったん進路を左に取るもその後反転。結果的に沖縄本島には二度接近する形となり、いつもの台風よりも長い間、強い風と雨に晒されることに。そのため、8月上旬は1~2日と5~6日は那覇発着の飛行機全便、3~4日、7日も多数のフライトが欠航となった。

 お盆休みの直前だったが、例年この時期は前倒しで休み取る者も多く、大勢の観光客が沖縄に足止め状態。これから旅行を予定していた方も中止を余儀なくされ、8月5日から家族3人で3泊4日の沖縄旅行を予定していた岩本哲宏さん(仮名・34歳)もそんなひとりだ。

◆台風のせいで搭乗予定の便が欠航に

「台湾方面に台風が向かっていたから最初は5日なら飛行機は飛ぶだろうと楽観的に考えていました。ところが、急に進路を東に取り始めたため、ヤバいなと心配していたら不安が最悪の形で的中しちゃった。息子は妻と一緒にてるてる坊主を作り、『沖縄に行けるといいね!』と祈っていたので、なんとか行きたかったのですが……」

 なお、台風による欠航だったので航空券代は全額返金されたが、問題はホテル代。沖縄の場合、原因が台風であればキャンセル料がノーチャージ(無料)になるところもあるが、あくまで一部のホテルに限定される。

 その場合でも旅行会社や旅行サイトを通さず、宿の公式ホームページから予約した場合など無料となる条件はホテルによっても異なる。

◆ホテルのキャンセル料は6万5000円

 岩本さん一家が滞在予定だったホテルは、残念ながらそうした対応はなく規定通りにキャンセル料が発生。出発前夜に申し込んだ旅行サイト上で手続きを取ったため、宿泊代金の80%をキャンセル料として取られてしまった。

「3泊分で8万円強のホテルだったので約6万5000円。ルールですから仕方ないですが、泊まっていないのにこの出費は正直痛かったですね。

 妻は普段、1円でも安いスーパーで買い物をするタイプだったため、しばらく文句を言い続けてましたけど(苦笑)。ただ、この時は出発前だったため、その点だけはまだよかったと思います」

◆過去には台風や大雪の影響で旅行先で延泊を強いられた


 実は、まだ独身だった20代半ば、1人旅で沖縄を訪れた際には台風接近で搭乗予定の便が欠航。2日間の延泊を強いられ、仕事も休むハメに。さらに別の年の冬には旅行先の北海道で大雪に見舞われ、新千歳空港発のフライトが欠航になってしまったという。

「沖縄で延泊にかかったホテル代やその間の食事代などで2万円以上かかり、北海道では翌日の便に振り替えだったので金銭的な出費は少なかったですが空港での野宿を強いられました。だから、この手のトラブルには慣れていたのは事実です。

 そのことを知っている妻からは『やっぱり車で行ける近場のほうがよかったんじゃないの?』と散々嫌味を言われましたけどね」

◆旅行は中止、でも空港へ

 でも、沖縄旅行自体は中止となったが空港には行ったとか。欠航に伴うキャンセルの手続きはネット上で行えたはずだが、いったい何のために訪れたのか?

「子供のためです。今は仕事の関係で名古屋に住んでいるのですが、中部国際空港にはジャンボ機が展示されている『FLIGHT OF DREAMS』っていう商業施設があるんです。息子は乗り物が好きなので間近に見ることができたら喜ぶかなって。もともと沖縄行きの飛行機が飛んだ場合も早めに来て寄ろうと思っていたので」

◆ボーイング787を家族で見学

 ちなみに展示用ジャンボ機は、現在も国内外で飛んでいるボーイング787。機内を見学した後は、施設内のレストランで飛行機を眺めながらの食事を楽しんだそうだ。

「遊び疲れたのか帰りの電車の中で寝ちゃいましたが、『パパ、昨日は楽しかったね!』と翌日嬉しそうに話していたのでホッとしました。けど、家族での沖縄旅行は諦めたわけではありません。

 本当は今年のシルバーウィークに行きたかったのですが、妻に『一年でもっとも台風が多い時期だよ』と提案した瞬間に却下されてしまったため、気候的に安定している年末年始に行く方向で計画を立てています」

 出発地が大雪で飛行機が欠航なんて可能性もゼロではないので油断は禁物だが、次こそはリベンジを果たしてもらいたいものだ。

<TEXT/トシタカマサ>

―[台無しになった旅行]―

【トシタカマサ】

ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。