お盆休み、仕事のストレスから開放されている方も多いこの時期。だが、別なストレスを感じている人たちも……。そこで過去6年分の記事から大反響だった帰省や実家にまつわる傑作ネタを再掲載する(初公開2018年8月11日 記事は取材時の状況) * * *
帰省する人、帰省を出迎える人が皆、久しぶりの再会に心躍らせているわけではない。憂鬱な気持ちで帰省する人の本音に迫った。
◆帰りたくない夫と孫疲れする祖父母
嫁姑関係でトラブルになりがちな義実家問題だが、お盆の帰省がツラいのは妻だけではない。夫の悩みはよりストレートだ。河本弘さん(仮名・43歳)の憂鬱は、すでに初夏から始まっている。
「私がまとまった休みを取れるのはお盆のみ。そのため実家の北海道に家族4人で帰省すると、LCCや早割を使っても旅費だけで20万円はかかり、一度の帰省で30万円以上の出費になります。
安い航空券の発売開始が5月頃なので、発売日は朝からパソコンの前で待機して必死です。30万円あったら海外旅行に行けますよね」
一家を支える大黒柱にとって、帰省の出費はバカにならないのである。
◆マンション購入で妻の実家から…
さらにはこんな意見も。
「マンション購入で妻の実家から頭金を借りて以来、義父に頭が上がらない。それまでは年末年始もお盆も僕の実家で過ごしていたんですが、『お盆くらいは孫を連れてウチでゆっくりしないか』なんて言われたら逆らえません。お盆は気が重いです」
そう語る宇野康浩さん(仮名・37歳)は新居購入を機に、生殺与奪の権を握られてしまったようだ。
◆祖父母側だってツライ
ただ、そんな強大なパワーを持つ祖父母側にとっても、実は帰省シーズンは大きな負担だ。2018年7月20日の朝日新聞の投書欄に掲載された60歳の医師の声に、シニア世代から喝采が上がっている。川田千賀さん(仮名・75歳)も、この投書には共感しきりだ。
「孫の面倒を見たり、食事や布団の準備をするのは一苦労。孫たちが帰った後に体調を崩す年寄りが多いそうなんですよ。だから帰省の際は、実家ではなくホテルに宿泊するのが親孝行だという投書でした。
実際、私も孫と会えるのはすごく嬉しいけど、一緒にいると30分くらいで疲れちゃうから夏場は特にツラいの。それに田舎までわざわざ来てくれるんだから、息子の嫁にも気を使うでしょ。ホテルに泊まるのは味気ないけど、正直、迎える側の気は楽よね」
帰省する側は心と財布をすり減らし、迎える祖父母世代もまた、暑い夏場に老骨にムチ打って残り少ない命を削っているのだ。
こうしたお盆帰省問題に解決策はあるのだろうか。育児系サイト「代官山スタイル」編集長の遠藤るりこさんに聞いた。
「逆転の発想で、いっそのこと田舎から親を呼んでしまえばいいのです。近所のホテルに泊まってもらい、食事も外食で楽しめば、互いのストレスは緩和できます。祖父母は旅行を楽しみながら孫と気楽に遊べるし、私たちは親孝行できる。まさにWin-Winでしょう」
お盆に実家で先祖の霊を慰めている間に、現世を生きる家族がギスギスしては本末転倒だ。人生の優先順位を捉え直せば、結論はおのずと明らかだろう。
取材・文/週刊SPA!編集部