あなたの家の庭を芝生の庭にしてみませんか。「難しそう」「手入れが大変じゃない?」などの疑問や不安もあるかもしれませんが、作業自体は意外と簡単。なにより、ふかふかとした芝の踏み心地は、ほかには代えられません。生き生きとした芝生の庭にリフォームしたい、と考えている方がいたら、一歩踏み出してみませんか?
庭を芝生に! 後悔しないためにメリット・デメリットを知っておこう
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公園やガーデンのふかふかとした芝生で一休みしたことはありますか? 見た目にも青々と美しくおしゃれで、優しい踏み心地の芝生はとてもリラックスできる場所。ついつい長居してしまいたくなります。そんな芝生の庭をDIYで自宅にもつくってみませんか? 爽やかな緑の広がる芝生の庭は、すっきりとして眺めるだけでも気持ちよい絵になる場所に。晴れた日は、日陰や木陰でゆったりと読書なども楽しめます。子供や犬などのペットの遊び場としてもぴったりですよ。
天然芝と人工芝の違い、メリット・デメリット
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天然芝とは、文字どおり植物であるイネ科の芝のこと。生き生きと鮮やかな緑色を保ち、感触がやわらか。またプラスチックやビニール製の人工芝と比べて安い費用で敷き詰めることができますが、成長したり枯れたりする植物なので、日々のメンテナンスが必要で、雑草対策なども必須です。庭の手入れや園芸が好きな方には、天然芝の管理はやりがいがあり、苦にならない人もいます。
バーベキューや焚き火、花火、ヨガなどを楽しみたいアウトドア派の方にも、剥き出しの地面のままよりも、天然芝がおすすめです。
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一方、人工芝は、ポリエチレンやウレタンなどの合成樹脂で作られた資材です。毛足の長さもさまざまで、近年では天然芝に見劣りしないものも出てきています。
メリットは、メンテナンスフリーで一年を通して同じ景観が楽しめること。日当たりも気にする必要がなく、マンションのベランダなどどんな場所にも設置でき、枯れることもなく、害虫の心配もありません。ただ、設置コストが天然芝より高くなること、また溶ける可能性があるので火気厳禁である、そして、近年は環境負荷の課題であるマイクロプラスチックの発生に関わっているという懸念点があるなどのデメリットがあります。
この記事では、主に天然芝について解説していきます。
芝生と砂利、コンクリートの違い、メリット・デメリット
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では、芝生、石(砂利や砕石)、コンクリートでは、管理面やメリット・デメリットでどのような違いがあるのでしょうか。
芝生のよさは、なんといっても青々とした緑の見た目。新芽が生え揃い、青々と緑が濃くなるという季節による色の変化も楽しめます。導入時の費用も他と比べて比較的安く抑えられ、傷んだらその部分だけ切り取って張り替えることもできます。
デメリットとしては、先に記述した天然芝の項目にもあるように刈りそろえるなどの管理の手間が挙げられます。
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芝生の代わりに、表土に石を敷き詰めるデザインの場合、砂利や砕石を利用します。砂利とは、岩石が砕け、角がとれて丸くなった2〜5cmの小石のこと。また、同じようなサイズで、角が残っている砕石(さいせき)も庭に敷き詰める石材としてよく用いられます。使用する分量によりますが、地面に敷く建材の中では最もリーズナブルなコストで敷き詰めることができます。色・形状や敷き方によって庭のイメージを和風にも洋風にも変えることができます。
庭に砂利を敷くと水はけがよくなるというメリットがあるほか、踏むと音が鳴るため防犯にも役立ちます。
デメリットとしては、落ち葉の掃除がしにくい、砂利の隙間から雑草が生えやすい(防草シートで対策が可能)、夏は太陽光によって石が熱せられるなどが挙げられます。
コンクリートのメリットは、耐久性の高さ。昨今のコンクリートは性能が高く、半永久的に劣化しないので、一度敷けばメンテナンスの必要がありません。地面を完全に覆うので、雑草対策や害虫対策も必要なく、勾配と排水溝をきちんと作れば、水はけもよくなります。車いすでの移動もスムーズにできます。
手入れの楽さと機能面を重視される方には向いていますが、見た目は無機質になるので、一部にレンガやタイル、人工芝などを配置するとデザイン性が高まるでしょう。
デメリットとしては、DIYで設置するのが難しいため設置工事を事業者に依頼する必要があります。また、施工後はレイアウト変更が簡単にはできなくなるほか、夏は太陽光によって熱せられるので、人や動物にとって過ごしにくい場所になります。
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芝の種類
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芝生にはさまざまな種類がありますが、大きく日本芝と西洋芝に、さらに暖地型と寒地型に分けられます。 日本芝は暖地型のみ、西洋芝には暖地型と寒地型の両方の種類があります。
詳しく見ていきましょう。
日本芝と西洋芝
芝生は原産地によって日本芝と西洋芝に分けられます。
日本芝は、日本に自生する芝。高麗芝(コウライシバ)や野芝(ノシバ)などの種類があり、暖地型(夏芝)で、高温多湿に強く、病害虫に強いというメリットがあります。
日本芝は、西洋芝に比べて葉の色が薄くて幅が広く、冬になると茶色くなって枯れます。
西洋芝は、主にヨーロッパが原産で、近年に日本に輸入された芝。西洋芝には寒地型(冬芝)と暖地型があります。ブルーグラス系、ペントグラス系、ライグラス系といった系統があります。 西洋芝は、一般的に日本芝と比べて葉の色が濃く、細くてやわらかく、繊細です。
暖地型(夏芝)と寒地型(冬芝)
芝生は、生育気温によって暖地型と寒地型に分けられます。
暖地型の芝は、高温と乾燥に強く、生育温度は23〜35℃で春から秋にかけて成長します。11月から3月にかけての冬の間は休眠し、地上部の葉は枯れて茶色くなり、春になると再び新芽が出てきます。関東以西の地域に向いている芝生です。
寒地型の芝の大きな特徴は、寒さに強く、冬でも緑を保つ常緑性があること。日本では、春と秋に成長します。ペントグラスなどは、ゴルフ場の芝などによく使われています。一方で、生育温度は15〜25℃で夏の暑さに弱く、特に関東以西では管理が難しいのが難点。北海道と東北地方で生育が可能です。
冬の間の青々とした寒地型芝の美しさもとても魅力的なので、管理に自信がある方はぜひ挑戦してみてください。
高麗芝に野芝、TM9… おすすめの芝生と選ぶポイント
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芝生の上で過ごしたいと考えているなら、葉が細くて肌触りが柔らかく、比較的管理がしやすい高麗芝がおすすめ。
野芝は葉が太くチクチクしますが、寒さに強く、西洋芝ほど手がかからないので、緑の見た目を優先する場合によく使われています。
トヨタ自動車の開発登録品種で、省管理型コウライシバ(高麗芝)TM9(ティーエムナイン)という品種もあります。景観性のよい芝生を、管理を省いて維持することを目的に開発されたもので、草丈が低いため、少ない芝刈り回数で管理ができます。きめが細かく、葉色が濃いという特徴があり、肥料の量を減らしても、美しい見た目を維持することができます。
芝の種類を選ぶときに気にかけたいことの一つが、芝の生育速度です。端正でふかふかとした芝生を保つためには芝刈りが欠かせません。芝の成長が速ければ、芝刈りの頻度は高くなりますので、あまり手を掛けられない場合は成長が遅い芝を取り入れましょう。よく伸びる成長期にも芝刈りの頻度を抑えることができます。
また、見た目や手触りを優先するか、お手入れの工数を優先するかも考えて種類を選ぶとよいでしょう。踏んでも剥げにくい、踏圧に強いものを選ぶとお手入れが楽になります。