都市での生活に欠かせないタクシー。暑さ寒さを避けて目的地まで運んでくれる、快適な移動手段だ。しかし、とんでもない運転手に当たってしまうと、地獄のドライブと化す。
今回は実際に筆者(綾部まと)が体験した、タクシーで起きた不愉快な出来事を紹介する。
◆行き先を告げると舌打ちされる
筆者が最寄り駅から自宅まで、タクシーを使おうとした時のこと。行先を告げた瞬間に、運転手から舌打ちをされたのだ。「聞き間違いか?」と思っていたが、盛大なため息とともに車を発進させた運転手を見て、確かにあれは舌打ちだったと確信した。
この経験は、今回が初めてではない。以前にも行き先を告げた瞬間に、舌打ちをされたことがあった。それらの共通点は、距離が短いこと。しかし距離が短いとはいえ、客は客である。乗車中は始終、不穏な空気が車の中に漂っていたことは言うまでもない。
◆本来なら2000円の道で6000円かかる
銀座から豊洲まで、タクシーを使おうとした時のこと。いつまでたっても一向にたどり着かなかった。どうやら運転手は迷ってしまったらしく、ぐるぐると迂回していた。到着した時には6000円もかかっていた。運転手は「申し訳ないね」と1000円まけてくれた。本来なら2000円程度で行けるはずなのだが……。
このように道を知らない運転手に当たってしまい、想定よりも多く払わされてしまうことは、誰もが経験しているのではないだろうか。お金の問題はともかく、タクシーを使う時は急いでいることが多い。そういう時には「勘弁してくれ」という気持ちになる。
他にも“一丁目”と“五丁目”を聞き間違えられて、全く違うところで降ろされそうになってしまったこともある。その時は3000円、余分にかかってしまった。行き先を告げる時は、大きな声でハキハキと明確に伝えて、運転手からの返事も確認する方がいいのかもしれない。
◆雨の日に「シートを濡らさないでください」と怒られる
たまに遭遇して最も「今日はハズレだな」と思うのが、神経質な運転手だ。車内をきれいにすることに、異常なまでにこだわる運転手が存在する。運転手にとっては1日の大半を過ごす場所なので、気持ちは分からなくはないのだが、常軌を逸するレベルで要求されることもある。
ある雨の日、筆者が子どもを連れてタクシーに乗った時のことだ。タクシーに乗車した直後に「シートを濡らさないでください」と言われた。子どもの靴を脱がせて座らせたのだが、その後も運転中に「傘はこちらにひっかけてください」「シートを汚さないでください」と、子どもは大人しく座っているにもかかわらず、小言を言われ続けた。
目的地に到着して安心していたところ、運転手はため息をつきながら、自らも車を降りた。そしてトランクから掃除道具を取り出して、聞こえよがしに文句を言いながら、シーツの清掃をし始めた。私の目から見て、何も汚れているように見えなかったのだが……。
――今回はタクシーで起きた、不愉快な出来事を紹介した。ハズレの運転手に当たり続けるメリットは「世の中には色んな人間がいるんだな。勉強になったな」とやり過ごすことができるようになり、メンタルが強くなることだ。もちろん中には親切な運転手もいる。タクシーで嫌な目にあった人も、懲りずに利用することをおすすめしたい。
<文/綾部まと>
―[乗り物で腹が立った話]―
【綾部まと】
ライター、作家。主に金融や恋愛について執筆。メガバンク法人営業・経済メディアで働いた経験から、金融女子の観点で記事を寄稿。趣味はサウナ。X(旧Twitter):@yel_ranunculus、note:@happymother