キウイ(キウイフルーツ)は、手軽に摂取できる栄養の宝庫だ。実は実だけでなく、皮にも栄養成分が含まれており、食べることができる。健康への貢献や、皮ごと食べるメリット、そして食べ頃のキウイの選び方など、キウイにまつわる知って得する知識をご紹介しよう。

◆高い「栄養素充足率」を誇るキウイ

 キウイは非常に高い栄養素充足率を誇る。栄養素充足率とは、特定の食品がどれだけ多くの栄養素を有するかを示す指標だ。100グラムを食べたとき、ビタミンやミネラルなど17の栄養素が、基準値をどれだけ満たしているかを示す。

 ニュージーランドのキウイ販売大手ゼスプリによると、代表的な品種「サンゴールドキウイ」の栄養素充足率は15.9、グリーンキウイは12.5、ルビーレッドキウイは17.8となっている。これに対し、イチゴは9.2、バナナは8.2、リンゴとナシは1.8となっており、キウイには栄養素が詰まっていることがわかる。キウイには、ビタミンC、食物繊維、カリウムなど、日常生活に必要な10種類の栄養素が豊富に含まれている。

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 このように栄養豊富なキウイは、積極的に摂取することで心臓や消化器系の健康に良い影響を与える可能性がある。キウイを毎日食べることで、血圧を下げる効果があることが研究で示されている。ある研究では、高血圧の人々が8週間にわたって毎日3つのキウイを食べた結果、血圧が低下したという。また、キウイには食物繊維が豊富に含まれており、消化を助け、便秘を改善する効果もある。

◆実は食べられるキウイの皮

 あまり知られていないが、キウイの皮は食べることができる。多くの人がキウイを食べる際に皮をむいてしまうが、実際には皮も可食部であり、栄養価が非常に高い。キウイの皮には果肉以上の栄養素が含まれており、特に食物繊維や抗酸化物質が豊富だ。

 栄養士のジリアン・カルバートソン氏は、米医療機関のクリーブランド・クリニックの記事の中で、「キウイには約60種類の品種があり、すべての品種の皮を食べることができる」と説明している。

 中身が緑色のキウイは、「ファジーキウイ」とも言われる。皮が毛羽立っているため、こちらは食べるのに抵抗があるかもしれない。一方、金色のキウイ(ゴールドキウイ)は、皮が滑らかで毛がないため、いっそう皮ごと食べやすい。

 どちらの品種も、皮を食べることで、食物繊維の摂取量が大幅に増える。カルバートソン氏は、「キウイはどれも食物繊維の良い供給源ですが、皮を食べることで、摂取量は50%増加する」と述べる。

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 豊富なのは食物繊維だけではない。キウイの皮には、果肉の3倍の抗酸化物質が含まれている。抗酸化物質は、体内の不安定な分子であるフリーラジカルと戦い、細胞の損傷や老化、病気の兆候を防ぐ役割を果たす。カルバートソン氏によると、ゴールドキウイの皮を食べることで、ビタミンEの摂取量が32%増えるという。ビタミンEは免疫システムを強化し、感染症と戦う助けとなる。

 なお、皮に生えている毛が気になる場合、キッチンタオルやナイロンブラシで軽くこすってそぎ落とすと良い。また、まるごとスムージーに加えれば、皮の食感を気にせずに摂取することもできる。

 ただし、腎臓結石を患っていたり、過去に生じたことのある人は、キウイの皮を摂取してはいけない。カルバートソン氏は、「キウイの皮にはオキサレートが多く含まれており、腎臓結石のリスクを高める可能性がある」と警告している。

◆おいしいキウイの選び方・保存方法

 さっそく買いに行きたくなるが、どうせ食べるならばおいしいキウイを選びたいものだ。店頭で選ぶ際には、いくつかのポイントがある。

 まず、キウイの外観をチェックすることが重要だ。熟したキウイは手で軽く押すと少し弾力が感じられる。香りも重要で、甘い香りがするものは熟している証拠だ。一方、最も目が行きがちな皮の色については、ゴールドキウイもグリーンキウイもあまり成熟度の参考にならないという。全体的に均一な茶色で、傷やへこみがないものを選べば十分だ。

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 保存方法は熟しているかどうかによって切り替えるのがポイントだ。熟していない場合、室温で保存するのが最適だ。直射日光を避け、エチレンガスを放出するリンゴやトマトなどの果物から遠ざけておくと良い。エチレンガスはキウイの熟成を早め、早く腐らせてしまう恐れがある。

 もっとも、より早く追熟を進めたい場合、あえてリンゴやバナナと一緒にビニール袋に入れるテクニックがある。ゼスプリによると、常温で2〜3日置くことで、より早く甘みが出るという。

 一方、熟したキウイは冷蔵庫で保存するのが良い。冷蔵庫に入れることで熟成が遅くなり、食べ頃を約5〜10日間ほどキープできる。もっとも、冷蔵庫内であっても、エチレンガスを放出する果物に近づけないことがポイントだ。

 また、大量にあるなど食べきれない場合も諦めることはない。キウイは冷凍保存が可能だ。米家事雑誌のリアル・シンプル誌が方法を紹介している。冷凍保存する場合、キウイの皮をむいてスライスし、クッキングペーパーに並べて冷凍する。冷凍が進んだら密閉容器に移し、再び冷凍庫に戻す。約3ヶ月間おいしく食べられるが、食感は変わってしまうため、スムージーなどに使用するのが良いという。

◆キウイを使ったアレンジ料理の数々

 積極的に食べたいキウイだが、ほかの食品と組み合わせることで、飽きずに長く楽しむことができる。キウイを使ったアレンジ料理は幅広い。

 サラダに加えれば、甘酸っぱい風味がアクセントとなり、全体の味わいを引き立てる。また、スムージーに入れると、ビタミンCや食物繊維が豊富なため、栄養価が高まり、一段と健康的な飲み物になる。

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 米健康情報誌のヘルス・ラインは、キウイを使ったドレッシングやソースもお勧めだとしている。たとえば、キウイとヨーグルトを混ぜて作るドレッシングは、サラダやグリルした肉料理にぴったりだという。また、キウイを使ったマリネソースは肉や魚料理に新鮮なフレーバーを加えてくれる。このほか、ヨーグルトのトッピングや、サルサの材料としても使える。

 キウイの特徴をマスターして、栄養たっぷりの皮と実を、最大限おいしく摂取しよう。