最新の研究で判明睡眠不足により認知症の発症率が上がる

不眠はつらいだけでなく、生活に支障をきたすこともあります。

「深夜に目覚めてトイレに行くときに転倒してケガをしたり、眠気が強い状態で車の運転をして事故を起こすこともあります。また、最近の研究では、睡眠不足の人は認知症になりやすいことがわかってきました」と話すのは、伊藤洋先生です。

「認知症のひとつのタイプであるアルツハイマー型認知症は、脳にアミロイドβという物質が蓄積した後、脳が委縮することで起こります。アミロイドβは睡眠中に分解・排出されますが、睡眠不足の人は十分に排出されないため、アルツハイマー型認知症のリスクが上がると考えられているのです」と伊藤先生。 

老後にも影響しかねない不眠は、早めに改善したいもの。

不眠は複数の原因が絡み合っていることも多く、別の病気が隠れていることもあるので、長引くようなら早めに睡眠外来などに相談をしてください。


アミロイドβは脳脊髄液の流れにのって排出されます。
マウスの実験では、脳脊髄液の流す力は睡眠時に大きくなり、睡眠時は覚醒時よりアミロイドβの除去力が2倍速いことがわかりました。

photograph: PIXTA illustration: Saioko Shiiki text: Keiko Nakayama

大人のおしゃれ手帖2024年8月号より抜粋
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