夏は恋の季節、そこで過去5万本の記事より大反響だった禁断の恋にまつわる話をピックアップ!(初公開2020年3月27日 記事は取材時の状況) * * *
結婚した後、相手の性格が交際時と変わってしまい、「こんなはずではなかった」と嘆く人は少なくない。その結果、離婚につながってしまうこともある。現在、離婚裁判中の山内翔さん(20代・仮名)。もちろん、幸せな家庭を築くはずだった。しかし、結婚後から妻が豹変。「給料が低い」「家から出ていけ」。気づけば、“モラハラ妻”になっていた。モラハラとは、モラルハラスメントの略。相手を侮辱し、精神的に追い詰めることだ。
山内さんが悩んでいた理由はそれだけではない。妻の裏切りが発覚。そして、可愛い我が子が、実は……。
◆中学時代の同級生と交際、妊娠が発覚するが…
山内さんは数年前、中学時代の同級生・美咲さん(20代・仮名)と結婚した。
「中学時代はあまり話をしなかったのですが、20歳を過ぎたころ、妻がSNSで僕を見つけて連絡をしてきました。何度か遊ぶうちに、付き合うことになって。お互いに気を使わず気楽な関係で、喧嘩もほとんどありませんでした」
幾度もデートを重ねるうちに、美咲さんの妊娠が発覚。山内さんはいつも避妊具をつけていたので、驚いたと話す。だが、避妊具も100%ではない。男としてけじめをつけようと結婚を決意した。
とはいえ、友人からは「避妊をしなくてもなかなか子どもができなかったのに、毎回避妊具をしていてできるのはほぼありえない。子どもが生まれたら、念のためにDNA鑑定をしたほうがいいよ」と忠告を受けた。その友人はなかなか子どもに恵まれなかったという。それでも、まさか別の男の子どもを妊娠しているとは夢にも思わなかった山内さんは、美咲さんを信じた。
しかしこの結婚を機に、美咲さんが変わっていく。
◆優しかった妻が暴言ざんまいのモラハラ妻に
「付き合っていた頃は、おしゃべりだけど、比較的穏やかな性格だと思っていました。でも、結婚後は気性が荒くなりました。『給料が低い』と言うことや、私が言ってもいないことを『言った』、思っていないことを『思った』などと迫ってくることもありました。本当に、喧嘩が絶えませんでした。それから、LINEの返信が遅くなった時や、SNSで女性のコメントに返信するだけで浮気を疑われることがよくありました」
喧嘩の中で、美咲さんが自らの非を認めることはなかった。全て山内さんが悪い、私を怒らせるあなたがいけないと責め立て、喧嘩をするたびに「離婚するぞ」と怒鳴ってきたという。
当時は、妊娠してホルモンバランスが崩れ、ストレスが溜まっていることが原因と考えていた。しかし、それがモラルハラスメントの始まりだったのだ。
出産前は事情があって同居していなかった山内さん。会うたびに暴言を吐かれても、子どもが生まれたらストレスから解放され、以前の穏やかな妻が戻ってくるはず……そう信じて耐え続けていた。
だが、なぜか出産直前は連絡がまともに取れなくなっていたという。久しぶりに連絡がついたのは出産予定日の1日前だったそうだ。
「妻から『陣痛が始まったから来るなら来て』と突然言われて。それで急いで向かったら、すでに生まれていました」
◆妻のモラハラは加速…
生まれたばかりの赤ん坊は、紛れもなく我が子だと思った。離れて暮らす我が子に「毎日1秒でもいいから会いたい」と願った。そして、妻と子どもとひとつ屋根の下で“家族”として生活することを心待ちにしていた。
子どもが生まれて2か月、ようやく同居ができることになった。山内さんは3人で暮らせることの嬉しさが大きくなる一方で、美咲さんの態度に辟易するようにもなった。モラハラは加速し、ついには……。
「暮らし始めてから、本当に妻のモラハラがひどくなって。主に暴言です。理由は言えないのですが、わずか1か月も経たずに私の荷物が家の外に放り出され、とうとう家を追い出されてしまいました」
この一件で、山内さんのストレスが限界に達した。同時に、これまでの妻との関係は、対等なものではなく、妻が上、自分が下の上下関係にあったのだと気づく。
「自分の思い通りにならないと妻はキレていました。自分以外の意見は“自分のことを否定する悪いもの”として認識していたのだと思います。私の意見を拒否し、聞く耳を持たず、いつも話し合いができなかったので……。私はいつしか話し合いをすることを諦めていました」
山内さんは、これ以上は自分が持たない、と離婚を決意した。
◆ついに離婚裁判へ。子どものDNA鑑定をすることに…
離婚したい旨を美咲さんに伝えると、すぐに離婚調停を申し込んできた。山内さんは弁護士に相談、「子どものDNA鑑定を行った上で養育費を決めてから離婚する」という条件での離婚を希望した。1回目の調停で山内さんの訴えが認められ、2回目の調停でDNA鑑定が行われることになったのだが……。
「妻は2回目の調停に姿を現しませんでした」
やむなく裁判へと移行することになった。調停から裁判に移行するまで、DNA鑑定が絡んでくることや、その裁判所では初めての事例だったということもあり、手続きに4か月かかったそうだ。裁判が始まるまでの間、美咲さんはLINEや手紙で何度も連絡をしてきた。
「妻からは、『私が調停に行かなかったからもうDNA鑑定はする必要がない、養育費もいらないから早く離婚届を書いて』と連絡が来ました。私の会社まで直接来たこともありましたね」
しかし山内さんは「調停でDNA鑑定はできなかったから、裁判でDNA鑑定をもう一度行う。裁判が終わるまでは離婚届は書かない」と伝え、あくまで決着が着いてから、という姿勢を貫いていた。すると、妻の彼氏と名乗る男性からLINEが来たという。
「『いつまでこの関係を続けるのか? 裁判をするつもりなのか?』と言ってきました。私は『あなたには関係ないので』と何も話しませんでした。この男からはこれ以上連絡はありませんでしたが、この男こそが浮気相手だったようです」
◆山内さんにはツラすぎる結果に…
美咲さんはDNA鑑定書の提出を渋っていたのだが、やがて観念したのか、提出してきた。
そして、可愛い我が子は、自分の子どもではなかったことを知る――。
鑑定が行われるまでは、ずっと信じていた。妻は浮気をしていない、絶対に自分の子どもだ……しかし、そんな山内さんにはツラすぎる結果となった。
「浮気相手との子を妊娠して、お腹の子が私との子どもではないと知りつつも平気な顔で嘘をつき続けていたことが一番ショックでした」
浮気が確定したことで夢から覚めた。山内さんは今振り返ってみると、たしかに、妻の行動にはおかしな点があったという。
その後、浮気相手の名前こそ明らかになったが、職業、年齢、妻とどこで出会ったのか、いつから関係を持っていたのかなど、詳細は教えてもらえなかったそうだ。
鑑定書で自分の子ではないと知らされてからは、我が子として育てた子どもを可愛いと思えなくなってしまった。
「子どもに罪はないので恨みなどありません。ただ、ろくでなしの妻にこれからも育てられるのかと思うと可哀想で仕方ありません。しっかりした大人に成長してほしいです」
◆妻へのいちばんの復讐は…
裁判はまだ続いている。美咲さんと浮気相手は同居こそしていないが、関係は継続しているらしい。
「私にとって、『浮気した妻より幸せになること』が妻へのいちばんの復讐です」
浮気発覚後、かなり精神的に落ち込んだという山内さん。
「すぐには立ち直れませんでした。ただ、自分一人で抱え込まず、仲間やSNSで同じような境遇の人に話を聞いてもらうことや、共感してもらうこと、熱中できる趣味を見つけて一生懸命とりくむことで徐々に回復してきました」
裁判が早く終結し、落ち着いた生活を取り戻して欲しい。<取材・文/星谷なな>
【星谷なな】
5歳の頃からサスペンスドラマを嗜むフリーライター。餃子大好き27歳。 たまに写真も撮ります。Twitter:@nanancypears