台湾では「素食」と記された看板をよく目にする。これは肉や魚を使用しないベジタリアン料理のこと。台湾のベジタリアン人口は約320万で、総人口に対する比率は世界第3位となっている。そして、卵や乳製品など、動物性の食品を食べないヴィーガンは「純素」と呼ばれる。最近は信仰や健康維持の理由のほか、環境保護や動物愛護に対する関心の高まりから若者の間でヴィーガンを好む人が増加している。洗練されたヴィーガンレストランやカフェも多く、これらは非ヴィーガンの間でも好評だ。今回はオーガニックの野菜や果物などを卵やミルクの代替にしている洋菓子店『綠帶純植物烘焙』と、豆乳や植物性ミルクといった天然素材を使用したジェラート店『NICE CREAM』を紹介したい。
味も見た目もうっとりのヴィーガンケーキ。
パティシエ、イザベラさんは元デザイナー。15年前にドキュメンタリーフィルムを鑑賞したことがきっかけでヴィーガンの道へと進む。当時はヴィーガンスイーツが少なかったことから、自ら開発することに。3年前には台湾最大の飲食コンテストで優勝し、その賞金を用いてオフィスを心地よいカフェ空間へリニューアル。写真は山林がテーマの複合施設『勤美0km山物所』とのコラボシリーズ。台湾最高峰の玉山をモチーフにしたケーキは白い部分に豆乳とカシューナッツ、緑の部分にサツマイモの葉を使用。ヨーグルトのような爽やかな風味で、中にはゴマ餡が入っている。そのほか、松ぼっくりをイメージしたチョコケーキや苔をイメージした抹茶ケーキなど、豊かな発想力に驚かされる。
綠帶純植物烘焙
リュイタイツンズーウーホンペイ
台北市松山區民生東路五段36巷8弄64號 12:00~20:00 無休 写真の3種類のケーキは各250元。阿里山金萱茶など飲み物も充実。
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海外でも高評価、ヴィーガンジェラートの名店。
若者で賑わう東區エリアにあるジェラート店。イタリア人のMirkoさんが百年の歴史をもつ老舗のレシピをベースに、台湾らしい素材を用いて毎朝手作りしている。フレーバーは50種類に及び、常時販売しているのは約9種類。定番の豆乳、チョコ、ココナッツ、抹茶のほか、旬のフルーツや烏龍茶などもある。写真は右がドラゴンフルーツ&パッションフルーツ味、左が濃厚な豆乳味、奥はジェラートを用いたシェイクだ。素材本来の風味がダイレクトに感じられるほか、軽やかな甘さも特色。20時間以上が経ったものは販売しないというポリシーも貫く。世界最大級のベジタリアン・ヴィーガンの飲食店を紹介するアプリ「HappyCow」では「世界のおいしいアイス・トップ10」に選ばれている。
NICE CREAM
ナイスクリーム
台北市大安區忠孝東路四段181巷40弄6號 02−8771−7150 12:00~22:00 無休 1玉100元、2玉175元、シェイク175元。
文/片倉真理
※この記事は、No. 129 2024年9月号「&Taipei」に掲載されたものです。
台北在住ライター・コーディネーター 片倉真理
1999年から台北に暮らす。台湾に関する書籍の執筆、製作のほか、雑誌のコーディネートなども手がける。台湾各地を隈なく歩き、料理やスイーツから文化、風俗、歴史まで幅広く取材。著書に『台湾探見』、共著に『台湾旅人地図帳』(共にウェッジ)、『食べる指差し会話帳』(情報センター出版局)など。