火災保険料の改定2つのポイント


ポイント
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それでは、具体的な改定の内容2つをみていきましょう。

・住宅総合保険の参考純率を13%引き上げる
・水災に関する料率を5区分に細分化する

参考純率は、地域ごとに定められるため、13%というのは全国平均です。今回、過去最大の引き上げ幅となっています。

最も引き上げられたのは、沖縄県の+23.5%、鹿児島県+20.8%、宮崎県・熊本県+20.5%。佐賀県や福岡県も引き上げられており九州沖縄地方全般での上昇が目立ちます。関東地方で目を引くのは、群馬県+18.1%、千葉県15.2%で、こちらも平均以上の上昇ですが、一方、東京は+6.3%と平均の半分以下という状況です。

また水災は、これまで全国一律だった料率が5区分に細分化されます。最もリスクが低く保険料が安いとされる地域は「1等地」、最もリスクが高く保険料が高い地域は「5等地」の区分となり、1等地と5等地の保険料の差は1.2倍となります。自分の住む地域がどうかは、同機構のHP「水災等地検索」で調べられるため確認しておくと良いでしょう。

参考:損害保険料率算出機構「水災等地検索

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なぜ保険料の値上げが続く?その背景とは

火災保険の保険料は、これまで何度も値上げされています。直近は2年前の2022年10月で、全国平均の参考準率は10.9%引き上げられました。

値上げが続く理由は、自然災害が増えていることが挙げられ、その被害が甚大化していることも要因になっています。例えば、2021年には1月の大雪や7~8月の大雨、2022年は台風14号・15号が相次ぎ、雹(ひょう)による被害もありました。そして、追い打ちをかけるように昨今の物価高や人手不足による資材価格・人件費の高騰も挙げられます。それによって、保険会社が支払う保険金額の総額が増えているのです。

また水災の料率を細分化することになった理由は、水災被害の可能性が少ないと考える人が水災補償を外して火災保険の契約をするケースが増えたことが挙げられます。保険は、相互扶助で成り立つものですから、水災を外す人が増えると保険事故に十分に備えることができなくなるのです。そのため今回は、水災の保険料率を見直しの際に地域によるリスクの大小に応じて公平性を保つことが重視され、5つの区分が設けられました。