「松島」でパン屋を続ける意味、これからの目指すところは?
2016年4月にオープンして今年で9年目に入りました。
初めは仙台市内も考えたけれど地元・松島の良さを多くの人に知ってほしいと現在の場所に決めました。
多店舗展開など店を大きくすることは考えておらず、とにかく松島に来てもらいたいんです。
だから卸もしませんし、イベント出店も基本はやりません。
パン好きの方々がうちに来てくれたら、道すがらの風景で松島を観光したくなると思うんです。
また、観光に来た方々が途中でパン屋をみつけて立ち寄ってくれることもあります。
来てくれる人が増えれば街も活性化して、人口減少にも少しずつ歯止めがかけられるのでは?
うちのパンが気に入って「いつでも食べたい!松島に住みたい!」と移住する人が現れたら嬉しいですね(笑)
自分の育った松島を盛り上げたい!だから地域密着でこれからもここでパン屋を続けていくつもりです。
あとは、もっと国産小麦の美味しさを知ってもらいたいです。
全国にいる国産小麦を使ってパンを焼くシェフ達と電話や実際に会って意見交換をさせてもらっているのですが、皆さん本当に熱心で学ぶことが多く刺激を受けまくっています。
また、これからは地元小麦の存在も前面に出し、小麦そのものの美味しさがダイレクトにわかるようなカンパーニュなどハード系のパンの良さを伝えていきたいです。
僕の店ではカンパーニュ生地のパンが人気がありますが数年かかってやっと地元の人たちに浸透してゆきました。
理想は東京都八王子市にある「チクテベーカリー」さんのように棚がハード系のパンで埋め尽くされる光景にしたいです。
冒頭に触れたアグリシステムさんのトイピリカという粉は、慣行農業から新たに有機農業に転換中の農家さんが作ったものです。
農薬や化学肥料を3年以上原則使用せずに育てた農産物は有機JAS認証の格付けを受けられます。その移行期間である1年目2年目の農産物は有機JAS認証を受けていますが「転換期間中」という表示が義務付けられるため、新たにパッケージを作るなど負担が大きいそうです。
転換中の粉であったりオーガニックの粉は手間がかかる分価格も高くなるけれど、お客様には価格差ほど味の違いを感じていただけていないように思います。
だからもっと美味しいパンを作って「これだけ違うんですよ」とその差を縮めていきたいです。
オーガニックの粉を使いたいけれどやはり価格的に無理で使えないという話も聞きますが、無理してでも使っているベーカリーの皆さんは農家さんを応援し、これからの日本の農業を考えている方だと思います。
僕もその一端を担えるようこれからも、ここ松島からパンを皆さんに届けたいと思っています。
相澤さんに直接お話を聞けて、改めて味だけではない国産小麦の良さを感じることができました。
幼少時に訪れて以来数十年ぶりの松島訪問でしたが、相澤さんから見どころをお聞きして次回はゆっくり訪れよう、と駅近くの食堂から漂う美味しそうな浜焼きの香りに後ろ髪を惹かれながら松島をあとにしました。
※リジェネラティブ・ベーカリーについては以下をご参照ください。
https://www.agrisystem.co.jp/regenerativerye2023.html
SHOP INFORMATION
【店名】ぱんやあいざわ
【住所】宮城県宮城郡松島町松島字町内157-2
【電話番号】022-354-0233
【営業時間】8:30~パンが売り切れ次第閉店
【定休日】月・火(祝日の場合営業)、他不定休あり