使い慣れたキッチンとはいえ、キッチンでの立ち仕事は思っている以上に体に負担がかかります。ご高齢でキッチン仕事が難しくなってきた方は、キッチンの便利な設備を取り入れることで、無理なくキッチン仕事ができるようになるでしょう。
また、車椅子に乗る方や立ち仕事が難しい方は、キッチン全体をバリアフリー仕様にリフォームすることでキッチンを使えるようになります。
ここでは、キッチンで考えたいバリアフリーリフォームを費用や事例とともに解説します。
この記事は、バリアフリー・介護リフォームを専門とする合同会社バリアフリー工房の内間さんにご協力いただき作成しています。
1.キッチンのバリアフリーリフォームの内容・費用
キッチンのバリアフリーリフォームの内容ごとに、気をつけたいポイントや費用を詳しくお伝えします。
バリアフリーキッチンに入れ替え | 100~150万円(足元にスペースのあるキッチン) |
電動昇降棚の設置 | 15万円~ |
手動昇降棚の設置 | 10万円~ |
食器洗い乾燥機の設置(卓上) | 5~10万円 |
食器洗い乾燥機の設置(ビルトイン) | 25万円~(設置できない場合もある) |
IHクッキングヒーターに変更(ビルトイン型) | 45万円程度 |
IHクッキングヒーターに変更(据え置き型) | 35万円程度 |
照明の設置 | 1万円程度 |
コンロ連動型レンジフードへの交換 | 25~40万円(コンロの交換も含む) |
※金額については、家の状況や設置する物の内容によって変わってきます。
使いやすいキッチンに入れ替え
車椅子や椅子に座った状態でキッチン作業ができるよう、足元にスペースのあるキッチンに変更する方法があります。一般的なシンクより浅めなので、座った状態でも足が当たりません。
また、座った状態での作業を想定しているため、座った状態で水栓レバーにも手が届くよう設計されています。
立って作業ができるけれど使いづらい場合は、使いやすい高さのキッチンに交換することも検討しましょう。
使う方の身体状況によって使いやすさは変わりますので、実際に水栓器具に手が届くのか、使いにくいところはないかなど、細かいところにも気を配りましょう。
バリアフリー工房
内間さん
IHクッキングヒーターに変更
IHクッキングヒーターはガスと違い、炎が出ないので安心です。そして掃除がしやすいことも大きな利点です。
しかし、ガスと電気では熱の感覚が異なりますので、初めは料理のしにくさを感じることもあるかもしれません。また、調理後は天板が熱くなりますので、慣れるまでは注意が必要です。
電動・手動昇降棚の設置
手動式
電動式
出典:panasonic
キッチンは手の届きやすい位置に調理などの作業スペースがあるため、収納スペースのほとんどは高い場所か低い場所です。特に高い場所の収納は出し入れも困難で、使いづらいものです。
そこで、電動もしくは手動の昇降型収納棚があります。電動の場合、上の棚がボタンを押すだけで昇降するので、簡単にものの出し入れができます。手動の場合も、小さな力で棚をゆっくりと下ろすことができるため便利です。
食器洗い乾燥機の設置
食器洗い乾燥機(食洗機)は、食器洗いが大変、苦痛になってきたと感じる方におすすめします。
食器を洗う手間が省けるのはもちろんのこと、少ない水で一気に大量に洗えるため、節水にもなります。
コンロ連動型レンジフードにする
コンロの点火・消火に連動して自動的にON・OFFができるレンジフードがあります。
換気扇やレンジフードは高い位置にスイッチがあるため、スイッチに届きにくい方や、手を上にあげる動作が困難な方におすすめです。
ただし、コンロに連動機能が付いている必要があるため、コンロも一緒に交換しないといけない場合が多いことは注意しましょう。リモコンで操作できるレンジフードもあるので、そちらも一緒に検討すると良いでしょう。
手元灯の後付け
手元が見えにくくなるとキッチンでの作業は危険がともないます。手元灯を設置して手元を明るくすると良いでしょう。
また、手をかざすと明かりがつくセンサー付きの照明であれば、作業しながら明かりをつけられるため便利です。
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2.キッチンのバリアフリーリフォームの事例
車椅子のまま食事ができるようにカウンターを設置
対面型キッチンにはカウンターを設け、車椅子のまま食事ができるようにしました。