月々約8.3万円の介護費用…在宅介護と施設介護の差は
介護保険サービスは、かかった費用の1割※を自己負担します。
※所得によって2割、3割の自己負担となるが、この記事では1割負担とする。
介護保険施設に入所して介護保険サービスを利用すると、費用の1割負担のほかに、居住費や食費、日常生活費などが別途必要となります。
また、居宅サービスでは要介護度別に利用できるサービスの支給限度額が定められ、限度額を超えてサービスを利用すると超えた分は全額自己負担となります。
(公財)生命保険文化センター「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査(速報版)」によると、介護保険サービスの自己負担分を含む介護に要した費用は次のようになっています。
・住宅改造や介護用ベッドの購入費などの一時的費用の合計:平均74万円
・月々の介護費用:平均8.3万円
・在宅介護:平均4.8万円、施設介護:平均12.2万円
・介護を行った期間(現在介護を行っている人は、介護を始めてからの経過期間):平均61.1カ月(5年1ヵ月)
・4年を超えて介護した人:約5割
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大輔さんの母の介護費用はいくら必要?
要介護2※に認定された大輔さんの母親は、担当のケアマネージャーに退院後のケアプランを作ってもらいました。
※要介護2とは、食事や排せつなどはひとりでできる。しかし自分だけで立ったり、歩いたりするのが困難。爪切り、着替え、立ち上がり、歩行などに介助が必要な状態。
そのプランによると、実家に戻った母親は、平日は主に機能回復のために通所リハビリテーション(デイケア)に通い、医師の指示のもと、リハビリの専門職による機能訓練や入浴、食事の世話を施設に通って受けることになっていました。施設までは送迎車があるようです。
また、自宅で使う車いすや介護ベッド、四脚杖などの福祉用具もレンタルし、毎月の自己負担額は、施設での昼食代を除いて毎月約1万8,000円でした。
費用負担を心配した大輔さんは、毎日の朝食と夕食、平日の夜間や土曜、日曜の母親の世話は自分ですることにしたのです。
金銭的な問題だけではない…「要介護者」の母を持つ大輔さんの悩み
「母親は、骨折する前より物忘れがひどくなったようで、認知症や年齢からも身体の衰えが心配です。僕も休める時間がなく、心身ともにボロボロです。会社を辞めたらどんな生活になるんでしょうね?」と大輔さんは言います。
筆者が見ても、大輔さんは疲労困憊のようです。
とはいうものの、今後母親の要介護度が上がって介護費用がさらに必要になり、看護の費用も必要になったとしても、出費が現在母親の受給している遺族厚生年金199万円(月額16万5,000円)内に収まるか、また約2,000万円の貯蓄があり、それを効率的に取崩していくことができれば、母親の家計に心配はいりません。
今後、施設に入所したとしても同様です。
なお、厚生労働省「介護サービス概算料金の試算」から、要支援要介護ごとに選択したサービスに応じた、居所や施設に入居したときの毎月の費用概算が試算できます。