ファミレスに“女子大生バイト目当て”の迷惑客が…撃退した店長が後悔した「まさかの理由」――仰天ニュース傑作選

過去5万本の記事より大反響だった話をピックアップ!(初公開2023年11月16日 記事は取材時の状況) *  *  *

 単に「迷惑な客」と言ってもその詳細はいろいろです。ひとつ言えるのは、その類の人たちが、店にとってはありがたくない客ということではないでしょうか。今回は、ファミレスを舞台にした迷惑客のエピソードです。ただ、その結末は少し複雑だったりするのです。

 都心店から半年前に異動してきた、ファミレスで店長を務める林田さん(仮名・40歳)。異動先の店舗は街道沿いにあり、特に若い層に人気のある郊外型だそうです。

◆足繁く通ってくる男性客

 そのファミレスでは、近くに女子大が2つもあり、アルバイトのほとんどが女子大生だったといいます。そんな活気あふれるお店に、最近毎日のように来店する1人の男性客がいたそうです。

「いつも決まって午後4時前に来店し、コーヒーを一杯だけ飲んで帰るその男性のことを、はじめのうちは特に気にも留めていなかったのですが、いつの頃からかウチの女子大生店員のSさんによく話しかけている様子を目にすることが増えました」

 とくに態度に問題があるとか、執拗に声をかけるということではなかったため、林田さんはあまり気にせず静観していたそうです。

◆ロックオンされた女子大生店員

 相変わらず毎日決まった時間に店を訪れる男性客。ところが、日を追うごとにSさんに声がけする回数が増してきたといいます。

「ランチタイムが終わってからの午後3時頃という時間帯は、比較的店内が空いているんです。そのせいもあってか、私がスタッフのシフトを空いた席で組んでいると、例の男性の声が聞こえてきたんです。視線を向けずにその様子に聞き耳を立てていたところ、どうやら男性がSさんに何かをお願いしているような雰囲気でした。それ以上は聞き取れなかったのですが」

 その当時、他には客もまばらだったせいか、Sさんは、かなりの頻度で男性客のテーブルへ行き来していたといいます。

◆意を決して立ち上がった店長

「僕の座っている席からはSさんの表情が見えなかったので、実際はどうだったのか分かりませんが、なんとなくSさんが困惑しているのではないかと少し心配になりました」

 林田さんは助け舟を出そうと決意します。にレジ付近に戻り、そこから少し大きな声で「Sさーん、少しいいですかー!」と、その男性にもわかるように呼び寄せたといいます。

 そのあと林田さんは意を決して男性のテーブルまで歩み寄り「今後は自分が接客を担当させていただきます」と告げたそうです。

「予想に反して、その男性は少し驚いた表情を浮かべ、すぐに店を出ていきました。それ以来、男性は来店しなくなりました。とにかく今はホッとしています」

◆想定外の展開にあぜん

 ところが、その3日後にアルバイトのSさんが、神妙な面持ちで林田さんに退職を申し出てきたといいます。仕方なく退職を受け入れた林田さんですが、後日同僚の女子スタッフからある情報を耳にしたそうです。

「同僚の話によると、Sさんはその男性に何度も呼びつけられるうちに、どういう訳かその男性に好意を持ってしまったようなんです。そうとは知らずに、僕は迷惑を被っていると思い、助け舟を出したのですが、どうやらSさんのほうからLINEの交換をお願いしていたそうで、そこへ僕が割って入ったものだから、彼女の夢は一瞬にして玉砕ということに……」

 Sさんは、意を決してLINEの交換を申し出るも、それが失敗に終わり、一方、業務を逸脱していた自分への罪悪感も加わり、アルバイトどころではなくなったそうです。

◆店長の複雑すぎる胸のうち

 店長という立場上、自分の判断は間違っていなかったと、自分に言い聞かせている林田さんですが、内心は穏やかではなさそうです。

「正直こんな経験は初めてでした。私は、店をマネージメントする立場なので、店とスタッフを守ることは必要不可欠だと考えていました。ただあの時、もう少し様子を見ればよかったと、今では思っています。そうすることで、Sさんを失うこともなく、あの男性も気分よくまた通ってくれたでしょうし……。なんというか、私は有能なスタッフと大切な客の両方をいっぺんに失った気分です。私もこの業界そこそこキャリアはあるつもりでしたが、まだまだですね」

 少し残念な表情を浮かべながらそう話してくれた林田さん。ただ、落胆する暇もなく、ギリギリの人数で回している職場なので、Sさんの代わりのアルバイト募集に忙しいのだとか。

<TEXT/ベルクちゃん>

【ベルクちゃん】

愛犬ベルクちゃんと暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営