3.リノベーション費用はプランニングによって大きく変わる!

リノベーションの費用は、マンションの広さだけでなく、施工の手間や導入する設備のグレードなどの影響を受けるため、プランニングでこだわればこだわるほど費用が高くなります。ここでは費用が高くなりがちなプラン例を5つ解説します。

【費用が高くなりがちなプラン例】

・内装のタイル仕上げ

通常はクロス仕上げとなる部分にタイルを張ると、高級感が出ておしゃれ度がアップします。しかしタイルは素材自体が高価なのに加え、タイル職人の工賃も必要となりトータルコストが上がります。

こちらの事例では、クロス仕上げよりも16万円のコストアップとなりました。

・フレームキッチン

量産型のシステムキッチンに対し、デザイン性の高いフレームキッチンは生活感を消し去り、理想の空間にピッタリ溶け込ませることができます。ですが標準仕様のキッチンと比べコストアップになるほか、同様の素材の吊り下げ収納もつけるとさらに割高になります。

こちらはフレームキッチンに加え、通常の手元灯ではなくおしゃれなペンダントライトを採用し、さらにキッチンパネルの代わりにタイルを張った事例です。標準仕様のキッチンと比較すると165万円のコストアップになりました。

・室内窓

仕切り壁に室内窓を設置すると、暗くなりがちな奥まった部屋でも明るさを確保できますが、窓そのものの費用と施工費が加わりトータルコストは高くなります。

こちらは通常の仕切り壁に室内窓を取り付けたことで、50万円のコストアップとなりました。

・壁面・天井の間接照明

壁面や天井に間接照明を採用するとおしゃれ度が上がりますが、施工の手間がかかるためコストアップにつながります。

こちらはフラットの壁をクロス仕上げにするのと比較して、約30万円の費用追加となりました。

こちらは間接照明に加え、手間のかかる折り上げ天井を採用。さらにおしゃれな天井板材をセットアップしたことで、約48万円の追加料金となりました。

・パーティションの設置

「壁で区切るのは圧迫感がある」「けれども仕切りはほしい」ときには、コストアップにはつながるものの、パーティションを設置すると効果的です。

こちらの事例では、パーティションの上半分を採光と通風を損なわないようおしゃれな木製の鎧戸をはめ込みました。追加工事費は約43万円となっています。

(写真提供:あなぶき興産)

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4.マンションリノベーションの費用を抑える5つの方法

マンションをリノベーションするには、少なくとも400万円程度の費用がかかることがわかりました。できるだけ費用を抑えたいときには、どのような方法があるのでしょうか?

4-1.地元密着の会社に依頼する

リノベーションのコストは、地元密着型の工務店に依頼すると抑えやすくなります。

大手リノベーション会社は、見学会の開催や広告の掲載等にコストをかけているため、リノベーション費用も高額になりがちです。一方地元で古くから営業している工務店は、広告宣伝費をかけずデザイナーなどの専門人材も置いていません。そのためその分のコストが価格に上乗せされず、比較的安価に依頼できます。

ただし、工務店であってもデザインに自信があるところはデザイン料を高く設定していることもあるので、工務店なら必ず安くなるとは限りません。費用とデザインセンスはある程度相関関係にあるので、デザインにこだわったリノベーションをしたい場合は、費用に妥協しないほうがよいでしょう。

4-2.相見積もりをする

リノベーションに「定価」はないため、同じ内容の工事を依頼しても出される見積もり金額は、業者によって異なります。そのためコストを抑えたリノベーションをしたい場合は、複数社から見積もりを取る「相見積もり」をおこない、費用を比較することが重要です。

とはいえ費用だけで選んでしまい「安かろう・悪かろう」となってしまえば元も子もありません。ある程度の技術力を担保したうえで業者を選びたいときには、業者を紹介してくれるポータルサイトを利用すると効率的です。

不動産屋から紹介されるリフォーム業者は高い?

リノベーションを前提にマンションを購入するときには、不動産会社がリフォーム会社を紹介してくれることがあります。しかし不動産会社が紹介する業者は、金額が高い傾向があるため、ご自身でもリフォーム会社を探して「相見積もり」をし、費用を比較することをおすすめします。

ただし中古マンション購入をする際のローンの仮審査では、リフォーム費用がわかる見積書も提出する必要があります。購入前の段階では、ご自身でリフォーム会社を探して見積書をもらうことは困難なので、まずは不動産会社経由のリフォーム会社から見積もりを取るのがいいでしょう。

4-3.リノベーションの範囲が少なくてすむ物件を選ぶ

リノベーションにかかる費用は、工事の規模が大きくなるほど高くなるのが一般的です。そのためなるべくリノベーションの範囲が少なくてすむ物件を選ぶと、費用を抑えやすくなります。

ただし前の持ち主が水回り設備を入れ替えられたばかりで比較的新しい物件であっても、築年数が古い場合は要注意です。表面的には問題なく見えても、配管など目に見えない箇所の劣化が進んでいる可能性があるためです。その場合、購入後長くならないうちに、水漏れなど深刻なトラブルが発生するかもしれません。

そうならないよう、築年数が古いマンションは、リフォーム履歴と内容を確認のうえ、場合によっては配管の交換も含めたフルリノベーションを検討するのが無難です。

大体どのくらいの築年数でフルリノベーションが必要ですか?

マンションの状態にもよりますが、築40年ほどの物件はフルリノベーションすることが多いですね。

4-4.こだわる箇所を厳選する

コストを抑えたいときには、リノベーションする場所を絞り込むのもおすすめです。

たとえば家族やお客さまが長い時間を過ごすLDKは妥協せず、ハイグレードなキッチン・無垢のフローリングを使う。代わりに寝室は壁紙の張り替えだけに留めておく、お風呂や洗面所はオプションは付けず最低限の機能のものにするなどメリハリをつけることで、限られた予算を有効に使えます。

4-5.補助金・減税制度を活用する

リフォームに対しては、さまざまな補助金・減税制度が用意されています。該当する場合は積極的に利用を検討しましょう。

<マンションリフォームで活用できる主な補助金・助成金制度>※2024年7月時点

事業名
最大補助額
対象となるリフォーム
60万円 断熱リフォームや子育て対応、バリアフリーリフォームなど
200万円 断熱性能の高い窓に交換するリフォーム
15万円 省エネ性能の高い高効率給湯器を設置するリフォーム
25万円 高性能建材を用いての断熱リフォーム
125万円 断熱や蓄熱、調湿を目的としたリフォーム
210万円 バリアフリーリフォームや三世代同居、子育て世帯向けリフォームなど
18万円 手すりの取り付けや段差解消などのバリアフリーリフォーム
<リフォームで活用できる主な所得税の減税制度>※令和5年の内容

事業名
控除額
対象となるリフォーム
住宅ローン控除 年末時点のローン残高の0.7%

(最大10年間)
10年以上のローンを組んでおこなうリフォーム
省エネ改修に関する特例措置 省エネリフォーム工事費用の5〜10%

(上限1,000万円)
窓の断熱を含む省エネリフォーム
バリアフリー改修に関する特例措置 省エネリフォーム工事費用の5〜10%

(上限1,000万円)
バリアフリーリフォーム
同居対応改修に関する特例措置 省エネリフォーム工事費用の5〜10%

(上限1,000万円)
キッチンや浴室の増設などの道教対応リフォーム
長期優良住宅化リフォームにかかる

所得税の特別控除
省エネリフォーム工事費用の5〜10%

(上限1,000万円)
省エネリフォームなどとあわせておこなう一定のリフォーム

▼こちらの記事も参考にしてください。

【2024年度版】マンションリフォームで利用できる補助金・助成金・減税制度について