自由でそれなりに楽しいけれど…【ミッドライフクライシス】50代独身女性が抱える今と老後の不安

離婚の寂しさを受け入れた上で、今後の生き方を再考して

離婚は、二人がより幸せになるための決断だったでしょう。その時点で、自由で楽しい一人暮らしの代償としての寂しさにも嫌な顔をしない覚悟をしたはずです。これも、好きなことをしているのだから嫌な顔はしない生き方の実践と言えます。

しかし、人生はどんな縁が寄ってくるかわかりません。

「今さら誰かと暮らせる気がしない」とありますが、50年も生きてきたのですから、相手の都合を優先させて上手に暮らしていく智恵も身につけているでしょう。1日に1回くらい相手が喜ぶようなことを言っても罰は当たらないことも、すでにおわかりだと思います。

一度しかない(この世の)人生ですから、パートナーと暮らすのもいいと思います。やったことがないのですからどうなるかはわかりません。しかし、できないことをするのを練習と言います。「今さら」とか「どうせ」なんて言葉はゴクリと呑み込んでいきましょう。

一方で、もしこのままいけば、将来妹さんに手伝ってもらうことが出てくるでしょう。

妹さんに迷惑をかけたくないでしょうが、迷惑かどうかは相手が決める問題です。ですから「姉の面倒をみるのは迷惑ではない」と思ってもらえる関係を、今のうちから作っておくことをおすすめします。

50代は、自分の歩いている道がどこに向かっているか……、ちょっと立ち止まって考える良い時期です。

あの世でご両親に再会したとき、「お父さんとお母さんが亡くなってから、私はこんな生き方をしてきたよ」と堂々と笑顔で報告できる生き方をしていれば、60代になっても、70代になっても心配はいりません。

回答者プロフィール:名取芳彦さん

なとり・ほうげん 1958(昭和33)年、東京都生まれ。元結不動・密蔵院住職。真言宗豊山派布教研究所研究員。豊山流大師講(ご詠歌)詠匠。写仏、ご詠歌、法話・読経、講演などを通し幅広い布教活動を行う。日常を仏教で“加減乗除”する切り口は好評。『感性をみがく練習』(幻冬舎刊)『心が晴れる智恵』(清流出版)など、著書多数。

構成=竹下沙弥香(ハルメクWEB)