NISAで資産形成を始める前に知っておくべき3つのポイント 


3つのポイント 
【画像出典元】「stock.adobe.com/Mix and Match Studio」

ここからは、NISA貧乏を避けるためにNISA(積立投資)を始める前に押さえておきたいポイントを3つ解説します。

1. 生活防衛資金を貯めてからNISAを始める

生活防衛資金とは、病気やケガをした時や失業した時に備えとなるお金です。生活費の3カ月~1年分が目安で、会社員や独身の方は3カ月~6カ月分、個人事業主や家族がいらっしゃる方は6カ月~1年分を蓄えておくとよいでしょう。
また、リボ払いやキャッシング、カードローンなど金利の高い借入がある人は残債の返済が先決です。

2. 余裕資金で投資する

余裕資金は、言い換えれば「当面使う予定のないお金」です。毎月の生活費や使う時期・使い道が決まっているお金「以外」の資金を指します。

使う時期・使い道が決まっているお金とは、例えば友人の結婚式で払うご祝儀や、海外旅行費、車の買い替え費用などです。

月々の生活費や不定期のイベント費まで積立投資に使ってしまうと、現金が必要な時に積み立てた資産を売却して現金化する必要に迫られるでしょう。もし相場の下落と重なれば、積み立てた資産が目減りしているおそれがあります。そのまま保有し続ければ持ち直す可能性もありますが、資産を取り崩して出金しなければならないため、回復も待てません。

こうした理由から、毎月の生活費と不定期のイベント費用には手をつけず、生活に支障の出ない範囲で投資を行うようにしましょう。

3. 長く積み立て続ける

積立投資は、少なくとも10年、できれば20年以上続ける前提で始めましょう。あくまで過去の統計結果ですが、20年続けると損をする可能性が限りなく低くなるためです。

下のグラフは投資ビギナーに人気のバランス型投資信託(国内外の株式・債券で運用する投資信託)を5年間 / 20年間積み立て続けた場合の収益率を示しています。

出典/金融庁

保有期間5年では元本割れのケースもみられますが、20年保有すれば収益がプラスで落ち着く傾向がみられます。

長く積み立てを続けていると相場が下落するタイミングもあるでしょう。そうした時でもコツコツ積み立て続けることが資産形成の秘訣です。

(広告の後にも続きます)

毎月の積立額を決める手順 


目標へのステップを書き出す
【画像出典元】「stock.adobe.com/78art」

これまでのポイントを踏まえて、毎月の積立額を決める具体的な手順を解説します。

1. 収入のうちいくら積み立てるか決める

毎月の収入のうち、月々いくらなら積み立てられそうか考えてみてください。毎月1万円、手取り月収の1割など、はじめは「ちょっと少ないかな?」と感じる金額でもかまいません。

もしどれくらい積み立てられそうか分からない方は、毎月生活費にいくら使っているのか把握するところから始めましょう。あるいは1年前と現在の口座残高を差し引きして、1年間で増えた額から算出するのもひとつの手です。

投資枠をすべて使い切る必要はまったくないので、無理のない金額を設定してみましょう。

2. 目標を意識する

次に、資産形成のゴールを思い浮かべてみてください。マイホーム購入資金、子どもの学費、老後の生活資金など、いつまでにいくら欲しいか大まかに考えてみます。

先述のとおり積立投資は長期継続が前提となるため、少なくとも10年以上先の目標を描きましょう。

なお主要なライフイベントにかかる費用は下表のとおりです。地域や各々の価値観によって金額は変わるためあくまで目安ですが、目標を考えるヒントになるでしょう。

【ライフイベントごとの費用の目安】

参考:日本FP協会「主なライフイベントにかかる費用の目安

3. シミュレーションして投資を始める

月々の積立額と、目標の期間・金額をもとにシミュレーションしてみます。金融庁の『つみたてシミュレーター』が便利です。

想定利回りは4~7%で設定するとよいでしょう。
4%は年金積立金の運用利回り、7%は新NISAで人気を集める全世界株式型投資信託の過去20年間の年率平均利回りとほぼ同程度の水準です。

参考までに、毎月1万円ずつ積み立てる場合と3万円ずつ積み立てる場合のシミュレーション結果は下の表のとおりです。

【想定利回り4%】

つみたてシミュレーターをもとに筆者作成

 【想定利回り7%】

つみたてシミュレーターをもとに筆者作成

シミュレーションの結果、毎月の積立額と目標に大きなズレがあった場合は積立額や積立期間を見直して再決定し、実際に積立投資を始めていきましょう。

なお、ネット証券なら毎月の積立額はスマホで変更できます。昇給や転職などで余裕が生まれた際には積立額を増やし、産休や育休など収入が少ない時期には減額して調節していきましょう。