仕事やプライベートで「なぜかうまくいく人」は、どんな言葉を使っているのか? 実は賢い人ほど、相手から期待通りのリアクションを引きだす「ズルくてうまい言いまわし」を日頃から駆使している。
どんな言葉を使えば物事がスムーズに進むのか? 様々なシチュエーションごとに「ダメな言い方」「うまい言い方」を解説した、ひろゆき氏の新刊『賢い人が自然とやっている ズルい言いまわし』から、テクニックの一部を紹介しよう。
◆部下に締め切りを守らせる言葉
優秀だが仕事の締め切りにルーズな部下がいる。何か業務を頼んでも「締め切りギリギリで出せば大丈夫だろう」と、考えてしまう。上司としてはもっとやる気を出してほしいのだが、「やる気出していこう」と言っても梨の礫(なしのつぶて)。うまい締め切り設定の仕方はないか?
◆やる気を出させるのではなく、具体的な設定をするほうがいい
優秀な人ほど、自分の能力と業務内容を比較して「これくらい頑張れば仕事が終わる」と読めるもの。余力を残して納期ギリギリに仕上げる人や、場合によっては「納期をちょっと過ぎても提出物の完成度が高ければOK」と、甘く考える人もいるでしょう。
狡猾と思うかもしれませんが、別に悪いことではないし、そうした行動がとれる時点で優秀な証拠です。ただ、優秀な人にはもっと動いてもらいたいのが上司のホンネですよね。
とはいえ、「締め切りを守ってね」とか、「優秀なんだからもっとやる気を出そう!」と言ったところで何も変わらないと思うのです。そんな言葉の裏にある狙いなど見透かされているでしょうし。
そもそも、「やる気があるかどうか?」という主観的なところで判断すると、考え方のズレが出るので意味がありません。「やりたいことにどんどんチャレンジしよう」とやる気を促す上司が空回りするのと一緒で、多くの人は「特にありません」で終わります。
なので、もっと動いてもらいたいなと思うなら、「何をいつまでにやるのか?」という具体的な話をするほうがいいです。大事なのは本人のやる気ではなく、あくまで決められた仕事を早く的確に完成させることです。
◆2種類の締め切り
例えば、新規企画案の提出期限を決めるとしましょう。
これはスクエア・エニックスという会社の偉い人から聞いた話ですが、その人は部下に仕事を頼む際に、少し変わった締め切り設定をするそうです。
「普通に終わるとしたらいつ?」
「ここまでは遅れないだろうけど、それを過ぎたら最悪クビになってもいいという期限はいつ?」
そんな2種類の締め切りを聞くわけですね。すると、後者の期限を守らない人はほぼいないとか。
◆上司と本人の認識とは違う場合も…
もちろん、上司としては「3日もあれば終わるだろう」と思っていても、本人の認識とは違う場合があります。
部下が「普通なら1週間で終わりますが、遅れたとしても2週間あれば終わります」と返したなら、実際には2週間で終わらせることだって十分に頑張った結果だったりするわけです。
◆内心で「遅いな」と思いつつも…
そういうときは、「遅いな……」と内心では思いつつも、「じゃあ、2週間でお願いね」と許可を出してあげましょう。もちろん、「わざとめちゃくちゃ遅く設定しておこう」と考えるこずるい人もいるので、相手次第ではありますが……。
◆部下に締め切りを守らせるには…
× 締め切りは守ってね!
◎「これより遅れたらクビになってもいい」という期限はいつ?
構成/杉原光徳(ミドルマン)
―[賢い人が自然とやっているズルい言いまわし]―
【ひろゆき】
西村博之(にしむらひろゆき)1976年、神奈川県生まれ。東京都・赤羽に移り住み、中央大学に進学後、在学中に米国・アーカンソー州に留学。1999年に開設した「2ちゃんねる」、2005年に就任した「ニコニコ動画」の元管理人。現在は英語圏最大の掲示板サイト「4chan」の管理人を務め、フランスに在住。たまに日本にいる。週刊SPA!で10年以上連載を担当。新刊『賢い人が自然とやっている ズルい言いまわし』