民間の医療保険の請求方法・必要なもの
Hさんが現在加入されている民間の保険は、入院・手術・通院・先進医療の保障のある医療保険で月額1万2470円支払っています。これまで入院したことはなく、保険を利用したことがないとのことです。
保険会社へ入院の給付金等を請求する際には、どのような請求の流れになるか確認しておきましょう。まず、病院で入院や手術をした際は退院時に病院でかかった分の医療費を自分で支払い、領収書と診療明細書を受け取ります。診療明細書とは医療機関が無料で全患者に発行する書類です。診療内容や検査、処方箋薬剤、手術名称などが記載されています。
その後、保険会社へ入院の日数や手術の有無などを伝え、領収書、診療明細書、診断書等を添付して入院や手術の給付金を請求する流れとなります。治療内容や保険会社によって請求に必要な書類は変わることがあるので、注意が必要です。
健康保険に加入していれば病院や薬局で支払う医療費は、医療費の一部(自分の負担割合分)の支払いとなりますが、健康保険に未加入の場合は医療費の全額を自分で支払う必要があります。
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公的な社会保険制度を理解した上で民間の保険利用を
医療
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「入院したらお金がかかりそう、入院だけでなく通院の保障がある医療保険に入らなければ…」と漠然とした医療費の不安から民間の保険に加入されている人もいるかもしれません。しかし、公的な保険「社会保険」の内容をよく理解してから、民間の保険にどのような保障を求めたいのか考えることをおすすめします。
例えば「病院やケガで働けなくなったが入院はしていない」「長期の治療が必要な病気になったが入院ではなく通院のみの治療となった」場合、入院を伴わない通院のみの治療でも給付の対象となるのかなど、民間保険の保障内容を確認して加入を検討されることをおすすめします。
また保険料の負担についても月々の支払額ではなく、一生でどのくらいの保険料を支払うことになるのかトータルコストを考えることが大切です。
Hさんの医療保険は60歳までの保険料負担となっており解約金がないタイプです。25歳から60歳までの総支払保険料は1万3370円×12カ月×35年で561万5400円となります。短期の入院のための準備であれば、民間の保険以外でも貯蓄等でまかなうという選択肢もあります。
高額療養費制度は保険適用の医療費のみ対象となるため、自由診療や先進医療、入院時の食事代などは対象となりません。公的保険でできること、民間保険でできることを理解した上で検討してみてください。
どのような社会保険があるか知りたくなったら
金融庁の「公的保険ポータル」には、老後を迎えた時、家族を亡くした時、介護や認知症になった時、障害を負った時、失業した時などに基本的な備えとしてどのような公的保険があるかや、それを補う民間の保険種類について表やイラストを使用し分かりやすくまとめられています。保険のことを考える際に参考にしてみてください。
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家計管理についてのアドバイス
Hさんは現在手取りの約10%を貯金できています。どんなに収入が少ない時でもできるだけ収入の10%を貯めておくと、10カ月で1カ月分の手取り額を貯めることができます。
Hさんの奨学金返済と貯金を除いた生活費は17万円です。現在の貯金額は60万円。生活費の3カ月分は貯まっており、緊急時の備えとしての「緊急予備資金」は準備できていますから、今後は資産運用等をご検討頂いてもよいと思います。
奨学金返済はあと6年ほどで終わるとのことですので、返済が終われば現在の貯金と合わせて手取りの約15%となる3万1400円の貯金が可能になります。月々3万1400円貯金できると、年間で37万6800円、3年で113万400円と3年で100万円以上貯めることが可能です。
現在のHさんが大切にしたいというヨガの習い事は、生活の充実度を上げる時間だと考え、大事な支出として確保した上で貯金に励んでください。やりたいことのために不要な支出をできる限り減らし貯金をすることが、貯金継続のコツです。これから収入が増える、奨学金返済を終えるなどの場合に向け、お金を貯める目的を考えておくのもよいと思います。
現在加入されている民間の保険も、公的保険の内容を理解してから検討することで充実した内容になり、必要な保障について自信をもって選択できると思います。「民間の保険に加入しているから、社会保険に加入しない」のではなく、「すでに加入している社会保険の内容を理解し、足りない分だけ民間の保険を利用する」ことを検討ください。
アドバイスを受けたHさん談
給与から引かれているものはすべて税金で自分とは関係のないものだと思っていました。社会保険の健康保険や年金保険についても、働けなくなった時などに給付される保障があることを知り驚いています。会社も保険料を半分負担してくれているんですね。今回初めて給与明細をじっくり見ました。
民間の保険についても入院したら病院でお金を払う前にすぐ保険会社からお金をもらえると思っていたのですが、思っていたものと違ったのでもう一度検討しようと思います。
家計簿診断を終えて
公的医療保険には、会社員や公務員などが加入する「健康保険」、個人事業主などが加入する「国民健康保険」、75歳以上が加入する「後期高齢者医療制度」があります。自分が加入している公的医療保険の仕組みをきちんと理解した上で、民間の医療保険を検討することが大切です。
個人事業主は国民健康保険料を自分で納付する必要があります。転職等で公的な医療保険の種類が変わることがあるので注意しておきましょう。