便秘になりがちな50代にとって、「腸活」は大切な習慣のひとつ。
腸活に欠かせない「食物繊維」のなかでも、今注目されている「発酵性食物繊維」について専門家に伺いました。
お話を伺った方
大妻女子大学教授
青江誠一郎先生
日本食物繊維学会理事長。大麦の食物繊維とメタボリックシンドローム予防に関する研究、穀類含有食物繊維の肥満関連指標に対する改善効果に関する研究などで受賞歴がある。
50代はなぜ便秘に悩まされるの?
食生活のトレンドや健康の思い込みが便秘の原因になっている!
そもそも便秘の原因はなんでしょうか。
「便秘の原因はふたつあり、ひとつは食物繊維の不足により、便の水分が保持できずに便が硬くなって出づらくなること。もうひとつは、ストレスなどにより腸の動きが悪くて便が出づらくなること。50代の女性はどちらの可能性もあり便秘に悩む人が多いのです」
食物繊維が不足する理由は、50代特有の食生活が影響している可能性も。
「更年期はたんぱく質不足も気になる年頃。たんぱく質ブームも手伝って、低糖質の食事に傾き、食物繊維不足を招いているかもしれません。また、女性ホルモンのバランスの乱れで太りやすくなり、野菜ばかり食べている人も要注意。
実は、レタスやキャベツは不溶性食物繊維が多く、それだけでは便秘の改善は困難です。食物繊維を野菜でとる場合、腸内の水分を保持する力の強い水溶性食物繊維が豊富な、ごぼうなどの根菜類や穀物をとることが有効です」
さまざまな環境変化によるストレスが腸の動きを鈍くしている可能性も
食物繊維不足で便秘になる場合は、摂取量を増やすことである程度改善が望めます。
一方で、腸の動きが悪いことによる便秘は、食物繊維の摂取量を増やすだけでは改善にはつながらないと、青江先生。
「大人世代は、子どもから手が離れ、老後を考えはじめると同時に、親の介護や仕事の責任など、ストレスをためがちな環境です。ストレスによって自律神経のバランスが崩れると、腸の動きが鈍くなり、便秘になりやすくなります。
食生活とともに、ストレスを軽減する生活を心がけましょう。質のよい睡眠も大切です」
(広告の後にも続きます)
便秘が続くと健康にどんな影響があるの?
便秘により腸内環境の乱れが続くと命にかかわるリスクも上がる
便秘が続けば腸内環境が悪くなるというのは多くの人が知っていること。腸内環境が乱れると、健康にはどんな影響が表れるのでしょうか。
「最近では〝腸漏れ〟という状態が注目されています。腸内環境を荒らす悪玉菌によって、腸と腸の間の細胞をくっつけるたんぱく質が緩み、腸の粘膜バリアがはがれてしまうため、腸内の毒素が体に漏れ出てしまいます。それによって肌の炎症、肝機能の低下、慢性腎臓病、脂肪肝などさまざまな不調を引き起こすもので、注意が必要です」
では腸内環境の状態は、どのように知ることができるのでしょうか。
「便が臭い、においが消えにくいのは腸内環境が乱れているサインです。食物繊維を意識して摂取したとき、ガスがたまるのは、腸内環境が変わる合図でもあるので必ずしも悪いわけではありません」