理想的な腸内環境とは?

いろんな種類の腸内細菌がすむことで健康をキープできる

「腸内には1000種類以上もの腸内細菌がいます。これらは免疫力を高める、消化や栄養吸収を助ける、炎症を抑えるなど個々に役目を持っています。そのため、さまざまな種類の細菌が腸内にいる、つまり多様性が高いことで健康が保たれている状態が、理想の腸内環境と言えます」 

そこで有効なのは、いろんな腸内細菌を増やしたり、えさとなる食材を欠かさずとること。

「乳酸菌やビフィズス菌が含まれるヨーグルトももちろんいいのですが、1種類の菌しか供給できないのでは不十分です。腸は長い器官なので、場所によって生きている菌が違い、菌によってもえさになる食材が異なります。ですから、腸内細菌のえさとなるさまざまな食材をとって、たくさんの善玉菌を活性化させることが大切なのです」

便の水分を増し、腸を動かす食物繊維は腸活の救世主

便秘に悩み、腸内環境に不安を持つ人が腸活をするうえで大切なのは、どんなタイプの便秘でも、まず食物繊維をとること、という青江先生。

「50代の日本人女性の食物繊維摂取量の平均は14g。目標は18g、理想量は25gです。そもそも食物繊維の摂取量が足りなくて便秘を引き起こしている人は、食物繊維の摂取量を増やして便の水分を増やすことで改善します」 

高たんぱくの食事やダイエットをしている人は、炭水化物が減少しがちですが、そのことも食物繊維の不足を招いているので、見直しが必要です。

「さらに、食物繊維の量を増やすとともに、どういった食物繊維を取るのか、その質にも目を向けてみてください」

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最新の腸活には「発酵性食物繊維」

腸内で発酵しやすい食物繊維で、効果的に腸内環境改善を

食物繊維のなかでも、最新の研究で注目されているのが「発酵性食物繊維」。

「食物繊維といえば、水溶性と不溶性が有名ですが、これは水に溶けやすい、溶けにくいという性質で分けたもの。それ腸内で発酵しやすい食物繊維で、効果的に腸内環境改善をとは別に、今関心を集めているのが、体に良いはたらきが数々発見されている『酪酸菌』のえさとなる『発酵性食物繊維』です」 

6年ぶりに改訂された、医療従事者向けの書籍『便通異常症診療ガイドライン2023慢性便秘症』にもその記述が加わり、関心が高まっています。

「これによると、発酵性食物繊維をとることで、酪酸菌が作りだす酪酸が腸の蠕動運動を促し、便秘の改善につながると書かれています。しかも酪酸は腸のエネルギー源となるので、腸のはたらき自体がよくなり、有害な菌の発育を抑制し、有益な菌を腸内にすみやすくする作用もあります。食物繊維の質にも目を向けて、日々食べるものを取り入れてみるとよいでしょう」