―[メンズファッションバイヤーMB]―
メンズファッションバイヤー&ブロガーのMBです。洋服の買いつけの傍ら、「男のおしゃれ」についても執筆しています。連載第498回をよろしくお願いします。
◆ユニクロU新作、全型チェックしてわかったマストバイ
いよいよ今週末から発売されますユニクロU2024秋冬。エルメスのディレクターを務めたクリストフ・ルメールがユニクロとタッグを組んで展開するシリーズ。
発売前にプレスルームで全型チェックしてきましたので……今回もマストバイ5つピックして紹介していきます。
◆定番のロングコートは過去最高の仕上がり
・オーバーサイズステンカラーコート 1万2900円
ユニクロU定番のロングコート。毎度人気のこちらですが……今回はシルエット・素材・デザインともに段違いでおすすめです。
一番の違いは「ONOFF兼用」をやめたこと。
今までのユニクロUのコートは、ONでもOFFでも使えるように中途半端な着丈が多かった。ON用コートの着丈はジャケットを隠すくらいの膝上丈が理想、それ以上長くなるとスーツスタイルにはいささかオーバーサイズすぎるルーズな印象が出てしまうのです。
他方、OFFシーンのトレンドは思い切り着丈が長いマキシ丈。膝に届くくらいの着丈も好まれるほど長めがここ数年の気分です。
◆一枚で簡単にサマになるアイテム
今までのユニクロUではONでもOFFでも使えるようにと着丈を調整していたように思えますが、だからこそONとしてもOFFとしても中途半端な出来になっていました。
今回は舵をOFFに切り、着丈はすっぽり長く、また裾に向けてたっぷりと生地をとったボリューミーなものにしています。コットンナイロンのヴィンテージ風素材と相まってこれがめちゃくちゃかっこいい!
ヨーロッパなどのファッションスナップで見かけるような、コートをバサッと雑に羽織った雰囲気が簡単につくれる。一枚でサマになるアイテムになりました。
ON用としては少しルーズでヴィンテージのような風合いが気になるので不向き。今回はOFFに的を絞ることで完成度を上げてきたイメージです。
また、雨天時に使うフードも凝っていて……通常フードは襟の中などに収納させることが多いですが、こちらは裏地に収納できる特殊な作り。パッと見にはフードがあるように見えませんが、実は裏地から出てくる優れもの。これで1万2900円は格安すぎます。
◆ヴィンテージ感がちょうどいいニット素材ジャケット
・ラムニットジャケット 5990円
おそらくほとんどの男性が持っていないであろうニット素材のジャケット。どこか温かみとかわいらしさがありあまりメンズでは好まれないアイテムです。
今回、ユニクロUでは強撚ラムウールを使い、ヴィンテージぽい表情をプラスしています。強撚とは系を強く撚ることで、これをするとシャリ感が生まれます。
ふんわりとしたラムウールにヴィンテージぽい粗雑なタッチ感がプラスされメンズライクな雰囲気に。加えてデザインはミリタリーライクなダブルポケットのディティールを追加しており、こちらも男性的な印象。
◆驚くほど脚が長く見える絶妙なデザイン
ニットジャケットといったレディーライクなかわいらしいアイテムに、ほどよくマニッシュな表情が加わっており他にない印象を作り出しています。
着丈はやや短めで今回展開されているハイウエストのワイドパンツなどに合わせるとグッと脚長に。腰の位置が上にあがったように感じるため、鏡で見て驚くほど脚長に感じるはず。
秋はアウター、冬はインナーとしても使えて5990円はお値打ちです。
◆シャツジャケットとしても活用できる肉感
・ドレープシャツ長袖 3990円
今回、マストで購入すべきがこちら。セルロースで光沢とドレープ感をたっぷりつけたシャツ。シルクのような滑らかな素材で高級感抜群です。
この手のドレープ素材だと薄手のものが多いですが、こちらはツイル素材でやや厚手。ウールライクな肉感があり、シャツとしてだけでなく、シャツジャケットとしても活用できます。
◆3990円の風合いとは絶対に思えない
また、光沢の強いシャツは「ホスト」みたいになりかねないですが、こちらは洗いをかけてヴィンテージライクな風合いに仕上げているため、過剰に嫌味な雰囲気になっていません。
テロっとした高級感のある雰囲気で一枚で主役級になれるアイテム。3990円の風合いとは絶対に思えません。今年メンズのトレンドカラーであるチョコレートブラウンのカラーが一番おすすめ。
渋くて秋冬らしい雰囲気があり、また黒でも白でも相性がいい合わせにくさのないカラーリング。これを嫌いな人はまずいないと思います。
◆ユニクロで珍しい「ガチでワイドシルエット」
・コーデュロイタックワイドパンツ 4990円
ユニクロは「ワイドパンツ」と言いながら大して太くないものばかり出していました。
マス向けのアイテムを作るユニクロにとって今のトレンドの「ワイド」はなかなか思い切れない。結果、「ストレート、セミワイド」程度のシルエットのものばかりで不完全燃焼でした。
が。今回はガチでワイドシルエット。太く、たっぷり幅をとったサイズ感でトレンド感ばっちり。
◆太いんだけどルーズに見えない
もちろん天下のユニクロが作るのでただ太いだけでなく、柔らかい重量感のある素材を採用しており、「太いんだけどルーズに見えない」仕様に。
デニムやチノなどでワイドを作るとどうしてもゴワゴワした生地が邪魔して、ルーズすぎる印象になってしまいますが……こちらは落ち感があり、大人なイメージ。
30~40代以上の大人が履いても十分サマになります。
◆超絶ミニマルデザインのボディバッグ
・クロスボディバッグ 1990円
最後はボディバッグ。装飾や縫製がほぼない! 超絶ミニマルデザインのボディバッグです。これがめちゃくちゃカッコいい。
市場ではZIPやポケットだらけのボディバッグが多いですが、便利な反面どこか子供っぽくて安っぽいイメージ。こちらはマットな素材感でシンプルなデザインに徹しており、洗練された印象。
コートスタイルからTシャツスタイルまで幅広いコーディネートに違和感なく合わせることができます。
◆財布やペットボトルも問題なく収納
収納も案外たっぷりで考えられるもの……財布やペットボトルなども問題なく持ち運べる。およそ日常でこの収納で困ることはないでしょう。
ただし、色合わせには注意。黒Tに白ボディバッグなどを選ぶと「マラソンランナーのタスキ」みたいに見えちゃうので、バッグとトップスは同系色を合わせるのがベターでしょう。
以上、ユニクロU今回のおすすめでした!
―[メンズファッションバイヤーMB]―
【MB】
ファッションバイヤー。最新刊『MBの偏愛ブランド図鑑』のほか、『最速でおしゃれに見せる方法 』『最速でおしゃれに見せる方法』『幸服論――人生は服で簡単に変えられる』など関連書籍が累計200万部を突破。ブログ「Knower Mag現役メンズバイヤーが伝えるオシャレになる方法」、ユーチューブ「MBチャンネル」も話題に。年間の被服費は1000万円超! (Twitterアカウント:@MBKnowerMag)