社会保険料の控除を受けられるカラクリ
納税や社会保険料の支払いは、自分自身で行うことが大前提です。しかし、もしも本人の支払いが難しいという場合、本件のように親が代わりに支払うことで、親が節税の恩恵を受けることが可能です。
ただし、社会保険料控除が適用されるのは、「納税者が自己、または自己と生計を一にする配偶者やその親族の社会保険料」になります。今回の事例では25歳のフリーターでしたが、20歳以上となると在学中の大学生も納付対象になります。
先述した「学生納付特例制度」を使って、10年以内に自身で追納することも可能ですが、この場合、保険料が少し割高です。厳密にいうと、保険料の免除・納付猶予の承認を受けた期間の翌年度から起算して、3年度目以降に割高な保険料となります。
したがって、親の収支状況に問題がないのであれば、学生納付特例制度を利用するよりも、親が代わりに払ってしまったほうが、親子ともにメリットがあるのです。ただし、代わりに支払う際「前納」する場合は注意が必になります。
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やりすぎ厳禁!国民年金保険料「前納」の落とし穴
国民年金は、毎月支払うよりもまとめて支払ったほうがお得です。
前納は、「①6ヵ月分」、「②1年分」、「③2年分」から選択でき、それぞれ毎月納付より、「①800~1,000円分」、「②3,000~4,000円」、「③1万5,000~1万6,000円」保険料が安くなります。
ただし、前納後に子どもが会社員や公務員になった場合、毎月「厚生年金保険料」が給与から差し引かれることになりますが、ここには国民年金保険料も含まれています。つまり、前納しすぎると、子どもが会社員・公務員になったあとの国民年金保険料が重複となってしまうのです。
国の制度を“賢く”利用しよう
このように、毎年支払う所得税は、額面の年収からさまざまな控除を受けて計算されます。毎年12月に給与明細と合わせて受け取る「源泉徴収票」は、自身がどのような控除を受けているのか確認することができます。ぜひこの機会に確認してみてください。
「この所得控除を使えば、もう少し納める税金を圧縮できる!」等、選択肢が出てくるかもしれません。生きていくのに欠かせないお金。きちんと学ぶことは非常に重要です。
中山 梨沙
FP Office株式会社
ファイナンシャルプランナー