雇止めは自己都合?会社都合?失業保険の給付日数
雇用保険の失業保険は「自己都合」と「会社都合」の大きく2つのケースに分けられます。自ら辞表を書いて退職する場合などは自己都合に該当し、失業保険の給付開始まで原則2カ月間の制限があり、最大給付日数は150日となります。
一方、倒産や解雇などの会社都合に該当すれば2カ月間の受給制限はなく、一定の条件を満たせば最大給付日数は330日となります。一般的に自己都合より会社都合の方が有利とされています。
では雇止めの場合はどちらに該当するのでしょうか?「会社都合」で退職する人は「特定受給資格者」といい、倒産や解雇などの条件が詳しく定められています。雇止めは解雇とは異なりますが、契約が何度か更新されて3年以上雇用されていた場合や、労働契約が更新されることが明示されていたにも関わらず更新されなかった場合は特定受給資格者に該当するとされています。それ以外はいわゆる「自己都合」扱いとなります。
なお、自己都合の場合は「過去2年間のうちに12カ月以上、雇用保険に加入していたこと」が失業保険受給の要件になるため、有期雇用の労働者でも失業保険を受給できる可能性は十分あります。
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雇止めが違法のケースも?「無期転換ルール」と「雇止めの法理」
契約内容の確認
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有期雇用であっても、期間の定めのない従業員、いわゆる正社員と同じように働く人も多くいます。そういう人が「期間満了だからこれ以上働くことができないのはしょうがない」とあっさり受け入れることができるでしょうか?もちろん雇用する側の「そういう契約になっているから」という言い分も理解できます。
過去、こういった状況で多くの訴訟などが行われたこともあり、現在は労働契約法で大きく2つ「無期転換ルール(18条)」と「雇止めの法理(19条)」の定めがあります。これらに該当すると雇用主は雇止めができないことになります。以下なるべく平易な表現を用いますので、詳細は法律の条文をご確認ください。
無期転換ルール(18条)
有期労働契約が5年を超えている場合や契約更新が1回以上行われている場合で、労働者が「期間の定めのない労働契約にしてほしい」と申し出を行っている場合
雇止めの法理(19条)
・過去に何度も更新された有期労働契約で、その雇止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められる場合
・有期労働契約の契約期間の満了時にその有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があると認められる場合
何度も契約を更新していたり、次も更新されるのが当然だろうという流れにあったり、単に一定期間だけの業務で1回限りの契約ではないといった働き方をしている場合は雇止めを無効と主張することができるかもしれません。
実際に私立学校で働いていた非常勤講師が1年ごとに契約を更新し、5年目の契約を更新拒絶されたと裁判を起こしたケースがあります。雇用する側、つまり学校側は5年を超えると18条にある無期雇用に転換しなければならないということを想定し契約を満了した可能性があります。ただし、有期契約が既に何度も更新されていることを考慮すると「雇止めは無効、違法」であるという主張も納得できます。
有期契約を交わす場合、雇う側も雇われる側もこういったケースをあらかじめ想定しておきたいところです。