個人年金保険の据え置きのメリットとデメリット

個人年金保険はあらかじめ契約した年金受給開始年齢になると年金が受給できる商品ですが、保険会社や保険種類により据え置くこともできます。(保険会社により取り扱いが違うのでご注意ください)

もしあなたの個人年金保険が受給開始年齢を据え置くことが可能な場合、据え置き期間中の利率がどれくらいなのか確認してください。据え置いた場合、保険会社が運用を続けてくれますので運用益を得ることができ、将来の受給額が増えるメリットがあります。また、個人年金保険は公的年金とは異なり、それまでに支払った保険料を収入から控除できるので、受取年金額すべてに課税されるわけではありません。

一方で、個人年金保険の据え置きにもデメリットがあります。保険の種類にもよりますが、年金受取年齢を据え置くことにより支払期間が延長になる場合もあります。保険料の支払期間が長くなるため、その間の経済的負担が増える可能性があります。

また、この低金利時代なので運用益が思うように上がらないということも考慮する必要があります。さらに、据え置き期間中に保険会社が破綻するリスクもゼロではありません。

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「公的年金」と「個人年金」、どちらを先に受け取る方がお得? 


どちらにするか迷う女性
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個人年金の受給を遅らせるか公的年金の受給を繰り下げるかは、受取年金額がどれくらい増えるかという受取額だけでなく、所得税や住民税を考慮しなければいけません。

公的年金を受け取る際は、公的年金等控除の所得控除があります。65歳以上の場合、年金収入が330万円以下の人は110万円の控除を受けられます(公的年金等以外の合計所得金額が1000万円以下の場合)。

一方、年金保険を受け取る場合は、払い込んだ掛金の総額が必要経費となり利益の部分しか課税されないので、税金面だけ考えると年金保険を遅らせた方がお得かもしれません。

しかし、受取額を比較すると圧倒的に公的年金を遅らせる方がお得です。公的年金を遅らせると年間8.4%増えますが、個人年金の場合据え置き利率は年1%程度です。

さらに健康保険料や介護保険料などの社会保険料の負担も併せて考える必要があります。課税所得が増える分、税金だけでなく社会保険料も増えます。社会保険については、毎年の保険料が増えるだけでなく、70歳以上になると医療費の自己負担割合が増えることにも注意が必要です。

年間課税所得が145万円を超えると自己負担割合が2割から3割に増え、医療費の窓口負担が1.5倍も増えます。また、高額療養費制度も年間課税所得額145万円を境に自己負担の限度額が増えます。

よって年金額を増やすことばかり考えるのではなく、税金や社会保険料の負担も含めて総合的に考える必要があります。